TPP批准阻止に全力をつくすしかない &安倍官邸が隠したスティグリッツ教授のTPP大批判
TPP批准阻止に全力をつくすしかない
TPPは農産物の関税のほとんどを撤廃させるのでそれによる日本の打撃は甚大ですが、決してそれに留まらないで食の安全、医療、雇用、保険・共済、政府調達、さらに投資家対国家紛争解決(ISD)条項などあらゆる分野で日本の経済主権をアメリカに売り渡すものです。
政府は日本の皆保険制度や薬価基準、保険診療制度などは守られるかのような言い方をしていますが、そんな保証はありません。
アメリカの製薬会社や医療企業が、「日本の皆保険制度や薬価基準等によって日本における金儲けが制約されている」とISDで訴えれば、世銀傘下の裁定機関(米人弁護士2人ともう1人の弁護士によって一審制で行われる)が審議することになります。
裁定は「その制度の良し悪しではなく、それによって実際に企業の利益が失われているかどうかで判断する」と明記されているので、裁定者が「非関税障壁に当たる」と判断すれば、「米企業が本来得べかりし利益金」として、多分「兆」円に及ぶ賠償金の支払いが日本政府に命じられることになります。
そしてその訴訟は、それらの制度がなくなるまで毎年繰り返されるので、結局 皆保険制度その他は全て廃止せざるを得なくなります。
裁定機関の決定には、日本政府は勿論米政府すら口出しすることはできません。企業が政府に代わって世界を支配すると言われる所以です。
この機関は別に公正を行う機関ではなくて、米大企業の利益を守るためのものです。北米通商協定NAFTA(米・加・メキシコの3国)における訴訟の実績では、40数件の提訴に対してアメリカの全勝となっています。
ISDでは提訴されるたびに、被告国側が審査手数料として裁定機関に約8億円を払うというシステムになっているので、米・韓通商協定では韓国はその負担に耐えかねて、数十の国内法を協定に適合するように改定しました。
最も重要なことは、TPP協定は加入したが最後、関係国家がすべて了承しない限り脱退することができないという点で、国家が丸々その蟻地獄から逃れられなくなります。
通常、そこから得られる利益によって参加する協定であれば脱退は自由な筈です。あらゆる協定はそうなっていますが、TPPだけはその逆で、不利益を受ける標的を手放すことはしないという仕掛けになっています。そんな恐ろしい協定がかつてあったでしょうか。とにかく絶対に参加してはならず、協定を批准してはいけません。
通常、そこから得られる利益によって参加する協定であれば脱退は自由な筈です。あらゆる協定はそうなっていますが、TPPだけはその逆で、不利益を受ける標的を手放すことはしないという仕掛けになっています。そんな恐ろしい協定がかつてあったでしょうか。とにかく絶対に参加してはならず、協定を批准してはいけません。
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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衆院、TPP特別委設置 与党、今国会成立目指す
産経新聞 2016年3月24日
衆院は24日の本会議で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)承認案件と関連法案を審議する特別委員会の設置を議決する。参院で平成28年度予算案を審議中のため、特別委での実質審議入りは4月となる見通し。与党は今国会での成立を目指すが、会期末を6月1日に控え、審議日程は窮屈だ。
TPP批准阻止に全力 志位委員長が表明
徹底審議で関連法案廃案へ
しんぶん赤旗 2016年3月25日
日本共産党の志位和夫委員長は24日、国会内で記者会見し、同日衆院に特別委員会が設置され、後半国会の最大の焦点となる環太平洋連携協定(TPP)について「徹底審議を通じて協定の批准を阻止し、関連法案を廃案にするために院外のたたかいと連携して全力を尽くす」と表明しました。
志位氏は、TPP協定は国会決議や自民党の選挙公約に明確に違反すると指摘。日本農業に壊滅的な打撃を与えるとともに、食の安全、医療、雇用、保険・共済、政府調達、さらに投資家対国家紛争解決(ISD)条項など「あらゆる分野で日本の経済主権をアメリカに売り渡すものです」と強調しました。
その上で、国会での徹底審議を行うためには次の2点が当然の前提となると述べました。
第1は、安倍政権が秘密裏に進めてきた交渉の全経過を国会と国民に報告することをはじめ、十分な情報開示を行うことです。
志位氏は「これは国会決議でも求められていることです」と指摘。付属書などを含む協定全文の和訳の提出が求められているのに、英文で8400ページのうち6000ページ分もの和訳が提出されていないと述べました。
第2は、TPP協定を実施した場合の影響試算を、政府が責任をもって提出することです。
志位氏は「(昨年12月に公表された)政府の試算は、農業への影響を軽微に描き、経済面でも失業を見込んでいないなど、TPP協定が本来与える影響を覆い隠し、ばら色に描くものとなっています」と強調。各県やJAの試算はより大きな生産減少額を見込んでおり、「政府の試算は到底国民の納得を得られるものではない」と述べました。
その上で「交渉の全経過を明らかにし、十分な情報公開を行い、きちんとした試算を行うということが当然の前提です。それをもとにしつつ徹底審議を通じて批准阻止、廃案に追い込むために全力をあげたい」と力説しました。
環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案を審議する衆院特別委員会の設置が24日の衆院本会議で賛成多数で決まりました。日本共産党と社民党は反対。与党は4月5日の本会議で両案の審議入りの日程を描いています。
塩川氏は、TPP協定は「あらゆる分野で国民の命や暮らしを脅かす一方で多国籍大企業の要求を最大化する仕組みで、国民の利益とは相いれない」と強調し、国会決議にも明確に違反するものだと指摘。米大統領選挙の主要候補もTPPに反対するなど日本が前のめりに議論を進めていく状況にはなく、秘密交渉を行い、今も情報を開示せずに審議を進めるのは到底認められないと述べました。
26- 安倍官邸が隠したスティグリッツ教授の本当の提言 TPP大批判
安倍首相が構想した「国際金融経済分析会合」は、22日に第3回が開かれました(全5回)。
首相がその会合をテコにして消費税再増税を延期して、衆参同時選挙になだれ込むというのは、今や公然の秘密となっています。
ところが蓋を開けてみると同教授は、(事前に渡されたレジュメによれば)量的緩和政策は失敗で格差の是正が必要であるとしてアベノミクスを全否定しました。そして消費税増税やその延期については言及しなかったということです。
これは官邸としては大変な読み違いでした。
同教授はさらにTPPについては
同教授はさらにTPPについては
・米国にとってTPPの効果はほぼゼロ
・TPPは悪い貿易協定であるという一致した認識が広がりつつあるので、米国議会で批准されないだろう
とこき下ろしたということです。官邸の当惑が目に浮かびます。
そんな内容だったため、官邸はレジュメの和訳を会合当日に出すことが出来なくて、2日後の18日に公表したということです。
政府にとって不都合なことは隠したままにしておきたいものの、招待者の資料なので隠しきるわけにもいかないということで渋々出したのでしょう。
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
(関係記事)
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政府公表資料はウソ 安倍官邸が隠した米教授“本当の提言”
日刊ゲンダイ 2016年3月24日
22日に第3回が開かれた「国際金融経済分析会合」。米ニューヨーク市立大・クルーグマン教授も来年4月の消費増税反対を提言したが、増税延期の風向きが強くなったのは、先週16日に行われた第1回の米コロンビア大・スティグリッツ教授の提言がきっかけだった。
だが、ちょっと待って欲しい。会合から2日後の18日に政府が公表したスティグリッツ教授提出の資料を見ると、消費増税についての記述はどこにもない。むしろ教授が提言したのは、TPPの欺瞞や量的緩和政策の失敗、格差の是正、つまりアベノミクスの全否定だった。
提言のレジュメとみられる資料は48ページにわたり、例えばTPPについて次のように手厳しい。
〈米国にとってTPPの効果はほぼゼロと推計される〉〈TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、米国議会で批准されないであろう〉〈特に投資条項が好ましくない――新しい差別をもたらし、より強い成長や環境保護等のための経済規制手段を制限する〉
「〈特に投資条項が好ましくない=Investment provisions especially objectionable〉ですが、強い不快感を表す単語【objectionable】を使っています。正確には、〈投資条項が、とりわけ、いかがわしい〉と訳すべきでしょう」
「『大不況に関する誤った診断』と題するスライドでは、旧『第1の矢』の金融緩和には期待された効果がないとし、『企業が投資に積極的にならないのは、需要が足りないからだ』と断言しています。世界で最も権威のある経済学者が日本国民のために全力で提言した結果が、アベノミクスの全否定でした。スティグリッツ教授は安倍首相に、アベノミクスを停止し、経済政策を百八十度転換することによって、7月のG7サミットで主導権を取ることを提言しているのです」(田代秀敏氏)
政府にとって“好ましくない”ことを隠し、消費増税への教授の意見を必要以上に“強調”したのだとすれば、大問題だ。