福島原発事故 当時5歳が甲状腺がんの疑い&飯舘村 国が来春避難指示解除の意向 &汚染水問題打開策なし

2016年6月7日火曜日

福島原発事故 当時5歳が甲状腺がんの疑い

 福島原発事故の影響を調べる福島県の「県民健康調査」検討委員会は6日、当時5歳の1人が甲状腺がんかその疑いがあると明らかにしました。
 これまで同委員会は、「5歳以下の発症例がない」ことを「甲状腺がん発生放射線起因とは考えにくいとする理由の一つにしてきました。これからどれくらい出るか検証する」としています。 
 
 チェルノブイリ事故では、当時5歳以下でも甲状腺がんが多発していましたが、それらが大量に確認されたのは事故後10数年経ってからと言われています。 
 検討委員会は「(影響が考えにくいとする)論拠を変える必要はない」としていますが、それに対する住民の疑惑の思いは続くと思われます。
 
(関係記事) 5月13 甲状腺がん多発原因は、被ばくしかない
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福島原発事故 当時5歳が甲状腺がんの疑い
毎日新聞 2016年6月6日
 東京電力福島第1原発事故の影響を調べる福島県の「県民健康調査」検討委員会は6日、当時5歳の1人が甲状腺がんかその疑いがあると明らかにした甲状腺がん発生で放射線の影響は考えにくいとする理由の一つだった「5歳以下の診断例がない」状況が変わる可能性があるが、同委は「(影響が考えにくいとする)論拠を変える必要はない。これからどれくらい出るか検証する」としている。 
 
 福島県によると、放射線への感受性は大人より子どもの方が高く、チェルノブイリ事故では、当時5歳以下でも甲状腺がんが多発していたという。 
 健康調査は県が2011年6月から実施。甲状腺検査は事故時18歳以下だった約37万人を対象に15年4月まで1巡目を実施し、14年4月からは2巡目に入っている。これまで5歳以下の診断例がないことなどから、検討委が1巡目の結果に基づき作成した今年3月の中間まとめで、甲状腺がんの発生について、放射線の影響は「考えにくい」としていた。 
 
 検討委は、今年3月までに2巡目で30人ががんと確定したことも報告。昨年末と比べ14人増で、「疑い」は同8人減の27人だった。「疑い」が減った理由について、県は「8人ががんと確定されたため」と説明している。【曽根田和久】 

07- 飯舘村 国が来春避難指示解除の意向

  全域が避難区域の福島県飯舘村に対して政府の原子力災害現地対策本部は一部地域を除き、20173月末に解除する意向です。1771世帯5924が対象となります。
 飯舘村菅野典雄村長はこれまで、国に同様の内容を要望してきましたが、住民からは放射線や生活インフラに関する不安の声も上がっていました
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飯舘村避難指示 国が村議会に来春解除の意向
東京新聞 2016年6月6日
 東京電力福島第一原発事故で全域が避難区域の福島県飯舘村は六日、福島市内で村議会全員協議会を開き、避難指示の解除時期などを政府の原子力災害現地対策本部と協議した。対策本部は一部地域を除き、二〇一七年三月末に解除する意向を表明した。解除までの間、住民が自宅に夜間も滞在できる準備宿泊を今年七月一日に始める考えも示した。
 
 飯舘村菅野典雄村長はこれまで、国に同様の内容を要望しており、村の考えに沿った形。今後、住民らに国の方針を説明する。
 解除の対象は村の大半を占める居住制限区域と避難指示解除準備区域で、二区域の人口は四月末現在、千七百七十一世帯五千九百二十四人。村にはほかに、放射線量が高い帰還困難区域もある。
 村は「解除時期を早く示してもらい、村民が見通しを持てるようにしたい」として四月以降、五回にわたり住民懇談会を開いて理解を求めてきたが、住民からは放射線や生活インフラに関する不安の声も上がっていた。

いまだに汚染水問題の打開策見えず 福島原発

 全額国の費用で施工した凍土遮水壁が完成しましたが、いまだに凍結しない部分があって、いつになれば正規の性能が発揮できるのか見当もつきません。
 事故から丸5年が経過しているのにまだ汚染水問題の打開策が見えていない福島原発の現状について、福島民報がレポートしました。
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汚染水打開策見えず 凍土壁・保管タンク・海洋放出 第一原発
福島民報 2016年6月5日
 東京電力福島第一原発の汚染水対策は、抑制の切り札である「凍土遮水壁」に凍結しない部分が見つかった。東電は未凍結部の追加工事や山側の凍結範囲拡大などを目指すが、効果を疑問視する声も上がる。汚染水を保管するタンクは、漏えいリスクが小さい「溶接型」への交換も計画通り進まない。浄化処理後も残る放射性物質トリチウムを含む水の処理を巡り、政府の有識者会議は「海洋放出が最も短期間・低費用」との案を示したが、漁業者らの理解は得られていない。 
 
■効果に疑問 
 凍土遮水壁は建屋周囲の地盤を凍らせ、汚染水の源となる地下水の流入を遮る。東電は3月末から凍結を開始し、今月2日の原子力規制委員会の会合では、凍結範囲の大半で地中温度が零度以下となった点を強調。地下水のせき止め効果が出たと主張した。ただ、東電の資料では凍結後に減ると予想していた建屋海側の地下水くみ上げ量に変化がない。委員は凍土壁に隙間が残って効果が出ていない可能性を指摘した。 
 東電は前回までの地下水の流れの推計方法を突如変更し、「効果は出たが、くみ上げ量が減るのはまだ先」と新たな主張を展開。規制委側から疑問の声が続出したが、東電は「つじつま合わせでない」と釈明。規制委側との溝は埋まらず、議論は次回に持ち越された。 
 
■目標にずれ 
 汚染水の保管用タンクには当初、鋼材をボルトで接合した簡易型(フランジ型)が導入されたが、接合部からの汚染水が漏れた。継ぎ目のない溶接型への切り替えを進めているが、5月19日現在、タンク総数937基のうち2割に相当する210基がフランジ型のままだ。 
 東電は昨年6月の廃炉工程表で「28年度の早い時期に全て溶接型で保管する」とした。しかし、多核種除去設備(ALPS)で処理後に残る放射性トリチウム水の保管が優先され、交換にまで回せていない。 
 東電が今年4月に公表したタンク運用計画では、フランジ型の使用は来年2月まで。廃炉工程表の目標とずれている。東電は遮水壁の計画の遅れなどを理由としており、「地下水流入対策の効果が表れれば、交換も進む」との立場だ。 
 
■海洋放出の提案 
 ALPS処理後のトリチウムの最終的な処分方法は今もって結論が出ていない。 
 処分方法を検討してきた政府の有識者会議は5月に海洋放出が「短期間・低費用で実施できる」との報告書案をまとめた。原子力規制委はトリチウム水の海洋放出を進めるべきとの立場だ。しかし、漁業関係者は風評の助長などを懸念して海洋放出を認めない姿勢を示している。政府側は「特定の方法に予断を持っているわけではない。あくまでたたき台だ」と強調しており、打開策は見いだせていない。