大飯差し止め控訴審 揺れ想定「過小の可能性」と 島崎東大名誉教授

2016年6月9日木曜日

大飯差し止め控訴審 揺れ想定「過小の可能性」と 島崎東大名誉教授

 関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟の控訴審で、元原子力規制委委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授が、関電が基準地震動の策定に用いた方法に「過小評価の可能性がある」とする陳述書を提出しまし
 
 島崎氏は日本地震学会長などを歴任し、規制委発足委員長代理に就任しましたが、厳格さで知られ、原発関係者から忌避されたため、最初のメンバー交代で更迭されました。
 基準地震動は、基本的に原発の原子炉や格納容器等が現有の強度のままで再稼働ができるように定められているので、「過小の可能性」があるというのは極めて納得のいく話です。
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大飯差し止め訴訟 揺れ想定「過小の可能性」 元規制委員長代理 陳述書
東京新聞 2016年6月8日
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止め訴訟の控訴審で、元原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授(70)が名古屋高裁金沢支部に、関電が基準地震動の策定に用いた方法に「過小評価の可能性がある」とする陳述書を提出したことが分かった。住民側の弁護団が明らかにした。
 
 弁護団によると、規制委の委員経験者が自ら審査に当たった原発の運転差し止め訴訟で陳述書を出すのは初。弁護団は「関電が策定した基準地震動の根底が揺らぐ重要な証拠になる」と説明した。島崎氏は本紙の取材に「応じられない」としている。陳述書は二日付。住民側は八日、高裁金沢支部で開かれる口頭弁論で内容を説明する。
 陳述書では、活断層の長さから地震の大きさを予測する場合に過小評価となる可能性を指摘した二〇一五年の学会発表に言及。関電が行った断層の想定や計算式も「過小評価の可能性は変わらない」とした。
 島崎氏は日本地震学会長などを歴任し、規制委が発足した一二年九月に委員長代理に就任。厳格さで知られ、大飯原発の審査では、現地で断層調査のまとめ役を務めたが、一四年九月に退任。規制委は同年十月、同原発の基準地震動を了承した。
 
 この訴訟では一審福井地裁は一四年五月に再稼働差し止めを命じ、関電が控訴している。
 関電は七日、「地震動を評価する手法の一部だけを取り上げるのは適切ではなく、島崎氏の陳述書を踏まえても過小評価ではないとの考えは変わらない」とのコメントを出した。

甲状腺がん、2巡目 30人に増加

 福島県は6日、福島原発事故による影響を調べるため、事故当時18歳以下だった県民を対象2巡目の甲状腺検査で、3月末時点で30人が甲状腺がんと診断されたと発表しました。
 これは2013年度以降に甲状腺がんを発症したひとが30人いたということで、不通であれば放射線被曝以外の理由は考えられない筈ですが、検討委員会は、相変わらず甲状腺がん発生は原発事故の影響とは考えにくい」との見方を変えていません
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甲状腺がん、30人に増加 18歳以下検査2巡目―福島県
時事通信 2016年6月6日
 東京電力福島第1原発事故による影響を調べるため、福島県が事故当時18歳以下(胎児を含む)だった県民を対象に実施している2巡目の甲状腺検査で、県は6日、3月末時点で30人が甲状腺がんと診断されたと発表した。
 
 県は、昨年12月末時点の16人から増加した原因を不明としているが、「甲状腺がん発生は原発事故の影響とは考えにくい」との見方を変えていない。
 2巡目の検査は、約38万人の対象者のうち約27万人で完了。「悪性ないし悪性の疑い」と診断されたのは57人(昨年12月末時点は51人)で、このうち30人が手術により甲状腺がんの確定診断を受けた。

<原発事故> ため池 除染 工法特殊深まる焦り

河北新報 2016年6月8日  
 福島県内の自治体が農業用ため池の除染に焦りの色を見せている。東京電力福島第1原発事故による営農への影響を回避する狙いがあるものの、特殊な工法が必要な上、工期が限られるなど厳しい条件での作業が予想されるためだ。担当者からは「業者の奪い合いになるのでは」と不安視する声も聞かれる。(南相馬支局・斎藤秀之)
 
 除染は底土(乾燥状態)の放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超える場所が対象。福島県は本年度以降、県内700~800カ所の施工を見込む
 工事は汚染された底土を重機で除去したり、ポンプ吸引した後に放射性物質を分離したりする手法がある。専用プラントや特殊資材が求められるケースもあり、専門業者の助力が必要になるという。
 福島県南相馬市内の土木業者は「他の工事への転用が難しく、ため池除染に絞った設備投資は困難。地元業者だけでは対応できない」と指摘する。
 
<予想外のトラブルも>
 ため池ならではの事情も作業を難しくする。公道から外れた場所では、重機を搬入する仮設道路の敷設が不可欠。防火用水を兼ねていれば水は抜けない。準備が大掛かりになっても、工期は稲刈り後から翌年の春先までに限られる。
 試験的に1カ所で除染工事を実施した同県川俣町では、工期を農閑期に当たる今年1~3月に設定した。営農への影響は避けられたが、氷が張るなど予想外のトラブルに見舞われた。
 同町では計50カ所程度で施工が予定されている。担当者は「試験工事は公道沿いにあり、作業スペースが確保できるため池を選んだ。効率的な施工に向け、今後は発注段階から工夫が求められるだろう」と気を引き締める。
 
<除去物の仮置き場は>
 円滑な除染作業には地元住民の同意が欠かせない。南相馬市は秋以降の施工をにらみ、5月に行政区単位の説明会を始めた。汚染状況や工法に加え、除去物を保管する仮置き場の必要性にも触れている。
 市農林整備課は「地元の反発があれば作業は進められない。工事の有用性について広く理解を求めたい」と説明する。
 ため池除染の工費は国の交付金で賄われるが、財源が確保されているのは2020年度まで。今後5年間で各地からの発注が集中する事態も予想される。川俣町の担当者は「自治体間で業者確保の競争になる。少しでも早く工事手続きを進めたい」と話した。