アベノミクスが加速されたら国民は壊滅だ (植草一秀のブログより)
アベノミクスが加速されたら国民は壊滅だ
植草一秀の「知られざる真実」 2016年6月14日
7月10日の参議院選挙を主権者である市民はどのように戦うべきか。
「極めて少数の者に、世界の富が集中している。生産性が高まったけれども、分配の仕方が悪いので、社会的な弱者に恩恵が及ばないのだ。
「政治に関心がない」「政治は重要じゃない」と言う人がいるが、政治を放棄することは少数者による支配を許すことにつながる。
民主主義には限界がある。それでも社会をよくするために闘わなければならない。政治とは、すべての人の幸福を求める闘いである」
ムヒカさんは、「政治とは、すべての人の幸福を求める闘いである」と言われている。
私たちは、この言葉を胸に刻んで参院選に臨むべきだと思う。
安倍政権は「アベノミクス」という言葉を掲げて参院選を戦おうとしているが、「アベノミクス」がもたらしたものは何か、そして、この言葉の裏側に隠されている安倍政権の本当の目論見は何か、を考えて参院選に臨むべきである。
ムヒカさんは、「分配の仕方が悪いので、社会的な弱者に恩恵が及ばない」ことを政治の最重要問題であると指摘しているが、
「アベノミクス」と呼ばれる安倍政権の政策運営がもたらしてきたものが、「社会的な弱者に恩恵が及ばない」という現実である。
2012年12月の衆院総選挙から数えて、今回が4回目の国政選挙になる。
実は過去3回の選挙のたびに「アベノミクスの是非を問う選挙」という情報が流布されてきた。
私たちはマスメディアの情報に誘導されてしまいがちだが、真実を正しく洞察しなければならない。
しかし、これだけをもって日本経済が良くなったとはまったく言えない。
経済の良し悪しを測る最も基本的な尺度は経済成長率だが、安倍政権が発足してからの経済成長率は平均で0・7%である。
しかし、安倍政権が発足してからの経済成長率は、その半分にも満たないのである。
株価が上昇したと言うが、東京証券取引所第1部上場企業の数は約1900社。
日本の法人数400万社の0・05%にも満たない。
1%対99%の二極分化と言われているが、良くなったのは1%にも満たないような日本経済の上澄みの、さらにその上澄みの部分だけなのだ。
失業率の低下、有効求人倍率の上昇は、就業者が増えたことを意味するが、全体のパイが小さくなり、大企業の分け前だけが大幅に増大し、残りの部分を分け合う人数が増えたということだから、一人あたりの取り分は大幅に減ったということなのだ。
これこそまさに、ムヒカさんが言う、「分配の仕方が悪いので、社会的な弱者に恩恵が及ばない」ということそのものではないか。
経済全体を超低迷させる。
一握りの上澄みの企業だけが利益を拡大する。
一般の労働者は人数は増えるけれども、手取りの所得が大幅に削り取られる。
これが「アベノミクス」がもたらすものであるから、こんなものを加速させられたらたまらないのである。
安倍首相は「この道しかない」と言うが、日本の主権者の立場から言い換えれば、「この道はありえない」ということになる。
メディアの情報誘導に惑わされてはならない。
(以下は有料ブログのため非公開)