原発が全停止中も炭素排出量は増加せず 日本
原発が全停止中も炭素排出量は増加せず 日本
関電 大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた福井地裁の樋口判決(2014年5月21日)は、 「被告の電力会社は、原発稼働がCO2(二酸化炭素)排出削減に資すると主張するが、福島原発事故はわが国始まって以来最大の環境汚染であり、原発の運転継続の根拠とすることは甚だしく筋違いである」と述べました。これに反論できる人はいない筈です。
それは兎も角、米国エネルギー省エネルギー部(EIA)がこのほど発表した調査結果によると、日本は福島原発事故以後、2年近くにわたってすべての原発を稼働停止させましたが、節電や再生可能エネルギーの増加などにより二酸化炭素排出量は増加しませんでした。
EIAが原発による二酸化炭素発生量をどのように算定したかの明記はありませんが、文章の趣旨から「ゼロ」としているものと思われます。日本の原子力ムラもこれまで原発(原子炉)は二酸化炭素を発生させないと主張してきました。
しかし二酸化炭素を発生させないというのは発電の過程に限定した場合の話で、ウランの採掘から核燃料に仕上げるまでの過程では莫大なエネルギー(二酸化炭素発生を伴う)を消費するうえに、使用済み核燃料を長期間水で冷やす過程では地球を暖めます(冷却水が暖められる)。そののち数万年間地中埋設する過程でも計算できないほど莫大なエネルギーを消費する筈です。
より決定的な問題として、原発の熱効率は火力の半分程度なので、原子炉で発生する熱量の2/3は海水冷却水を暖める=地球を温暖化させるために使われます(火力発電の倍量)。
また、そもそも二酸化炭素が地球温暖化ガスであるというのは単なる仮説にすぎず、武田邦彦氏などはそれを否定しています。同氏は、日本はいま特異的に夏場暑くなることが続いていますが、地球全体としては氷河期に向かっているとしています。
いずれにしても「原発はクリーンエネルギーだから・・・云々」とか、「地球を温暖化させない」というような愚かな主張は止めるべきです。
なお、グラフは省略しましたので、原文を参照してください。
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WIRED JP 2016年9月14日
福島第一原子力発電所でのメルトダウン発生後、日本ではすべての原発の稼働が順次停止された。ほかの原発を検査し、より厳格な安全基準を設定するためだ。2015年8月から一部の原発が稼働を再開したが、日本はそれまで、2013年9月以来、2年近くにわたってすべての原発を稼働停止させていた。
米国エネルギー省エネルギー部(EIA)がこのほど発表した調査結果によると、日本では石炭の使用量は増加したものの、その増加率は10パーセントを超えていない。徹底した節電により、日本の電気の総使用量は、それまでの水準を下回った。
上のグラフ(添付省略)を見ると、福島原発で事故が発生する前から、原子力は日本の電源構成において減少傾向にあり、一部が天然ガスや石油で置き換えられつつあったことがわかる。グラフによると、その傾向はその後もずっと続いている。
原発事故後の節電努力により、日本の電気使用量はペタワット(1千兆ワット)時を下回った。さらなる努力によって、電気使用量の減少傾向は現在も続いている。
石油使用量は増加しているが、予想されたほどではない。石炭の使用量の増加は8パーセント、液化天然ガスは9パーセントだ。これらによって、原発事故前に始まっていた「石油使用量の拡大」は減速された(なお、EIAの資料は、2011〜14年の間に液化天然ガスの価格は37パーセント、石炭の価格は19パーセント下がったにもかかわらず、日本の電気料金は2パーセントしか下がっていないとも指摘している)。