野田幹事長は民主党政権崩壊の“A級戦犯”:「火中の栗拾う者」でなく「焼け野原に現れた放火犯」by植草一秀
19- 野田幹事長は民主党政権崩壊の“A級戦犯”
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日刊ゲンダイ 2016年9月18日
この党はもう終わったんじゃないか――。新体制をスタートさせた民進党が初っぱなの蓮舫人事で大モメしている。民主党政権を崩壊させた“A級戦犯”の野田前首相を幹事長に起用したものだから、不満が噴出。挙党一致で党勢回復どころか、四分五裂は必至だ。
新人事の承認を求めた16日の両院議員総会はガラガラ。全議員の半分にも満たない60人しか集まらなかった。反発した議員がボイコットしたからだ。
「演台に近い前列は空席だらけ。出席議員の一部は〈これで成立するの?〉と文句タラタラだった。野田さんがマイクの前に立つと、野党転落の総括を求める声が上がり、会場がザワつきました」(民進担当記者)
野田氏は「幹事長人事が進まないと、他の人事が先に行けないという話もあった」と収めるのがやっとだった。
旧民主出身者の野田氏に対する恨みつらみは根深い。それも当然で、官僚に取り込まれ、自公に乗せられ、公約違反の消費増税を3党合意。反対する小沢一郎グループを追い出し、果ては安倍総裁(当時)に「約束ですね」と迫られて衆院解散を断行し、173人を落選させる大惨敗を喫した。
「また表舞台に出てくるなんて、いまだに国会に戻れない仲間のことをどう思っているのか。時計の針が2回り戻った感じです。これじゃあ党刷新どころか、先祖返り」(中堅議員)
「野田さんを見ると、あの忌まわしい記憶がよみがえるし、負の遺産だと思っている人は少なくありません」(若手議員)
引退か蟄居すべき人物を登用する蓮舫氏のセンスのなさにはア然とする。
「党内基盤が弱い蓮舫さんが信用しているのは、師匠の野田さんくらい。自分は発信に徹して、党運営は野田さんに全権委任するということでしょう」(別の中堅議員)
これで党内はガタガタだ。政治アナリストの伊藤惇夫氏は言う。
それが狙いなのか。蓮舫・野田コンビはあえて党消滅を誘発しようとしているとしか思えない。
「火中の栗拾う者」でなく「焼け野原に現れた放火犯」
植草一秀の「知られざる真実」 2016年9月17日
日本政治を暗転させたのは民主党悪徳10人衆である。
「悪徳」の中核は、「政策転覆」にある。
鳩山政権の使命は日本政治刷新だった。既得権勢力が支配する日本政治を主権者が支配する日本政治に変える。これが鳩山政権の使命だった。
米国が支配する日本、官僚が支配する日本、大資本が支配する日本を刷新する。これが鳩山政権の目標であり、存在意義だった。
この基本政策をすべて転覆したのが、上記「悪徳10人衆」である。
菅直人氏は日本政治刷新の路線を明示した小沢-鳩山ラインが、既得権勢力から総攻撃された状況を観察して、手のひらを返した。敵に寝返り、権力を強奪したのである。
これが2010年6月政権の本質である。
2010年6月17日の参院選公約発表会見においてのことだ。
増税法を強行制定したのが2012年8月。
そして、野田政権は2012年12月に衆院総選挙に突き進んだ。権力を自民党に献上すること、そして、消費税増税決定を許さず新党を結成した小沢一郎氏が率いる「国民の生活が第一」をせん滅するための解散総選挙だった。
「火中の栗を拾う者」ではなく「焼け野原に現れた放火犯」でしかない。
(植草氏の公表ブログはここまでです。「世相を斬る あいば達也」氏のブログによれば、それ以後以下のように続いています)
この演説を含めて、2009年8月総選挙に向けて、当時の民主党が具体的にどのような公約を掲げていたかを示す三大演説がある。 この内容を改めて確認しておきたい。
2.2009年8月15日野田佳彦氏街頭演説
<!--[if !supportLists]-->3.<!--[endif]-->2009年8月11日岡田克也氏街頭演説 (誰の作為によるかは不明だが、この動画は削除されている。 岡田氏は歳出の見直しで財源確保は絶対に可能であると主張したが、のちに全面否定に転じた。)
4.2009年8月15日の、野田佳彦氏による「シロアリ演説」を改めて提示しておく。
「マニフェスト、イギリスで始まりました。 ルールがあるんです。
書いてあることは命懸けで実行する。 書いてないことはやらないんです。
それがルールです。書いてないことを平気でやる。これっておかしいと思いませんか。
書いてあったことは四年間何にもやらないで、書いてないことは平気でやる。
それは、マニフェストを語る資格はないというふうに、ぜひ、みなさん、思っていただきたいと思います。
その一丁目一番地 税金の無駄使いは許さないということです。天下りを許さないわたりを許さない。
それを徹底してゆきたいと思います。
消費税1%分は二兆五千億円です。十二兆六千億円ということは、 消費税5%ということです。
消費税5%分の皆さんの税金に、天下り法人がぶら下がっている。シロアリがたかっているんです。
それなのに、シロアリを退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?
消費税の税収が二十兆円になるなら、また、シロアリがたかるかもしれません。
鳩山さんが四年間消費税を引き上げないと言ったのは、そこなんです。
徹底して税金の無駄使いをなくしていく。それが民主党の考え方であります。」
(後 略)