放射能測定所から見る福島への思い・・色々

昨年の東日本大震災5周年企画の川柳
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これは、奈良市放射能測定所の壁に貼ってある写真です。

原発事故に遭遇した方たちの無念さ、悔しさ、憤りが言葉から溢れています。
人々の暮らしと人生を破壊し、さらに美しい自然と文化と歴史をも台無しにした原発を憎み、私も共に憤っていきたいと思っています。

この悔しさと憤りは、事故が起きた後の政府、東電の無責任と冷酷さからくるものです。被曝した方たちには、何の落ち度もないのです。
日本のような地震国で、安倍氏も東電も地震対策を拒否、専門家からの警告を無視して甘く考えた結果がこの放射能事故でした。

この事故で多くの方が亡くなっています。
地震津波から生き残れたのに、原発放射能のせいで体調を壊した方、生業が出来なくなった方、子供を連れて避難した方・・大勢の方が人生を狂わされることになりました。

でも、国と東電は人の命を何とも思いません。
チェルノブイリの前例があるにもかかわらず、危険な地域に人を留め、汚染瓦礫や汚染された食物を外にばらまき、「放射能は安全だ」とか「食べて応援」等という言葉で真実をごまかし、果ては補償金を打ち切り、未だ放射線量の高い地域に人を帰還させようとしています。
ウソと隠ぺいの6年間の後は冷酷な仕打ちです。

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常磐線がつながり復旧して、町も復興ムードになっています。

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楢葉町での稲作開始のビラ
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しかし・・。
ここは昨年もセシウムが出ている地域です。
安易にお米を作ってもらっていいのでしょうか?

私たちスタッフも、昨年の福島米のいくつかを測定して、放射能が残っていることを確認してます。
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楢葉町に戻ることは農業をすることを意味します。しかも土地が汚染されているので、お米への影響も必至。
ここで農業を??
農家の人たちだって、喜んで食べてもらえるものを作りたいと思っているはず。それなのに、汚染された地域でのコメ作りを強要??
これでは農家は、仕事への誇りも生きがいも持つことはできません。

初めからこのような不安な土地でコメ作りをさせておきながら、「風評被害「食べて応援」という言葉で押し切ろうとするのは間違っています。どちらも便利な言葉で、福島産は安心という刷りこみを与えます。応援するならせめて測って食べて応援」にすべきです。
(ただし、測定下限値をせめて1Bq/kg以下に
福島産が全て危険なのではなく、安全な野菜もあるからです。

福島産、東北産、という言葉に惑わされず、安全がわかっているものは、積極的に利用したいと思います。
魚は個体によって違いますが、野菜や米は作られた土地全体が汚染されているか否かで汚染の目処がつきます。だから一様に福島産と決めつけるのは本当はよくないのです。
栗原市には祖母と叔母夫婦がいて、毎年お米やリンゴを送ってもらっています。原発事故後は「お米とりんごを送ってもいいかしら?不検出ですよ」と電話があり、私も一応二か所で長時間測定(時間が長いほど正確な数値が出る)不検出を確認、安心して子供たちもいただいています。
栗原市は風向きで汚染された地域として知られていますが、叔母からのお米もリンゴも今まで一度もセシウムは出ていません。不思議に思って地図で確かめてみると、幸運にも栗原市の汚染地域からは全く外れた場所にありました。このように地域差がありますから、測定してみることは大事です
もう一つ例をあげると、山形から来るお蕎麦の販売員が、原発事故後は売り上げが落ちたことを嘆いていらっしゃいました。蕎麦は実を丸ごと挽くので汚染がそのまま取り込まれるという危険があります。そこで、買って測定所で測定させていただくと不検出でした。売り手は、測定所で測った結果を添えて販売したら安心して買ってもらえるのではないでしょうか。もちろん信用が前提ですが・・。

セシウムの基準を満たすために汚染米は汚染されていない米と「ブレンドして出荷」ということがされています。しかし、米粒なので、極端に汚染された米粒が入ることもあり危険です。汚染されていない米を混ぜてBq値を下げて出荷すればいいという問題ではないのです。汚染が確認された土地で作物を作ってはいけません。
しかし、東電はその補償費用を出すのが惜しいので、汚染された土地でも強引に作らせているのです。これこそが、糾弾すべきことで、風評被害のもとを作り出しているのは東電だということです。非難の矛先は農家ではなく東電に向けましょう。

また、福島=汚染という見方があるので、そこからいじめも派生していると思われます。本来、汚染地域は、作物作りだけでなく、人も移住した方が良いところなのです。
その点チェルノブイリでは汚染地から人を移動させ、食べ物への汚染の警告、また被爆者への国からの保養や検診など手厚い政策がとられています。日本はもっと見習うべきです。

福島の人たちを追ったドキュメンタリー映画「たゆたいながら」を鑑賞しました。
若い監督は福島出身。
映画は 放射能の危険ではなく、放射能で汚染された福島に住む家族が何を優先させるか?という選択や迷いを描きたかったと語られました。
印象的だったのは、「自分が作った野菜がかわいいし一番美味しい・・放射能なんて知らない方が良かった。そんなものないと思えばいい・・」と言われた農家のおばさんの言葉でした。愛情を持って作った作物を「汚染されている」と言われることへの悲しい抗議の言葉です。

いろんな事情で避難できない方も多く、今は、また逆に帰還政策で放射線量の高い土地に帰還すべきか?悩まれる方も多いでしょう。
答えは一つではありません。正しい正しくないでは判断できない。
家族が放射能の問題で引き裂かれる事実、それぞれの抱える悩みなどが淡々と描かれていました。

原発の事故がたまたま福島で起きたから、福島の人たちが苦しんでいるのであって、それは自分の地域で起こる可能性だってあったのです。
事故を免れた私たちはせめて、できることを探して応援していかなければ・・と思います。
国の方針を変えることはなかなか難しいでしょう。
それでも、東電と政府にはきちんと最後まで被災者たちの面倒を見る責任があるのは事実です。それを地道に抗議し続けることはとても大事だと思います。
また、隠ぺいしようという政府東電にごまかされず自分の健康を守るためにも科学的に検証された事実やチェルノブイリに学ぶこと。
福島での人々の暮らしを知ること。
被曝させられた福島がどのような地域かも知ってほしいです。
何より大事なことは、想像力をはたらかせて、被害を受けた人たちに寄り添うこととだと思います
原発避難者いじめの問題も、教師も子供も共に学んでほしい。
チェルノブイリからは、学ぶのには最適ないくつもの良い教材があります。共に学ぶことで、事実を知り、放射能への正しい知識を得て、避難者たちの苦労に思いを馳せることができればいじめの問題も少しは解決できるのではないかと思います。

お勧めDVDはチェルノブイリ28年目の子供たち」見てほしいです。
参考

チェルノブイリ・28年目の子どもたち - NAVER まとめ

OurPlanetTVではチェルノブイリ事故後28年経つウクライナへ足を運び、子どもたちの健康状態や学校生活などを取材した。汚染地域の子どもや住民の罹患率が今も上昇する中、医師、教師たちの懸命な努力が続けられている。日本はここから何を学べるか。

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1986年に発生したチェルノブイリ原発事故から28年が経つウクライナを現地取材.現在も,多くの子どもが白血病やがんなど様々な疾患を抱える.子どもたちの命と健康を守るために,学校と医療機関の連携や定期的な保養など,国・自治体による多様な ...