野党共闘の二大政策は「原発再稼働の停止」と「消費税減税・廃止」と植草氏
野党共闘の二大政策は「原発再稼働の停止」と「消費税減税・廃止」と植草氏
当ブログではこれまで何度も取り上げてきましたが、欧州諸国とは異なり 日本には「所得の再分配後も貧困率が改善しない」という決定的な欠点があります。所得の再分配によって経済弱者を救済するというのが社会保障制度であり税制の理念の筈なのにです。
理由は色々あるにしても、根源的なことは生活必需品にも一律の消費税を掛けている上に消費税税収を社会保障制度の財源の大きな部分にしているからで、要するに「経済的弱者は自分たちが収めた税金の還元を受けているだけ」だからです。
消費税が逆進性の高い不当なものであることが周知されているにも関わらず、「消費税減税や廃止」が社会の声にならないのは、いわゆる「中産階級」を含めて、消費税の比重が大きい方が自分たちに有利だからに他なりません。
経済学者の植草一秀氏が、かつての民主党時代に前原代表がダウンした後を小沢一郎氏が引き継いで、最終的に民主党を政権党に押し上げた事例に触れながら、「『消費税減税・廃止』は次の総選挙最大の争点にふさわしい、最重要政策テーマである」とする主張を掲げましたので紹介します。
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(阿修羅 赤かぶ投稿 より転載)
年内に衆院総選挙があるかも知れない。
しかし、「災い転じて福となす」、あるいは「禍福はあざなえる縄のごとし」である。
しかし、日本政治刷新を阻止しようとする既得権勢力の執念はすさまじかった。
小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏に対する人物破壊工作を激化、民主党の内部に手を回して政権転覆を図った。革新政権は破壊され、既得権勢力の傀儡政権である菅直人政権、野田佳彦政権が樹立され、安倍自民に大政が奉還されたのである。
今回、安倍政治を打倒するべき局面で前原民進党がこけて、安倍政治の延命可能性が浮上している。
再び小沢一郎氏が民進党の救世主として登場し、局面の大転換を実現するのか。極めて重大な局面が到来している。政治を刷新するには、何よりも選挙に勝たねばならない。安倍政治を打破する勢力が結集しなければならない。
何よりも重要なことは、主権者国民が結集することだ。主権者国民が全面的に支援する体制を構築しなければならないのだ。
そのためには、主権者にとって最も重要で、最も切実な問題に焦点を当てる必要がある。
原発稼働停止=原発廃止については、すでに多数の主権者がこれを求めていることが明確になっている。原発についての政策を選択する選挙では、「原発NO」の旗を明確に掲げた勢力が、これまでの知事選等でも勝利を収めている。
もう一つの最重要テーマに消費税を掲げるべきだ。
日本政府は2014年1月以降の景気後退を隠蔽したまま、景気回復が続いていることにして「いざなぎ超え」などという虚偽情報を流布している。
2016年度の税収55.5兆円が消費税が導入された1989年度の税収54.9兆円とほぼ同額であるから現実の変化を理解しやすい。主要税目の税収は、1989年度が所得税21.4兆円、法人税19.0兆円、消費税 3.3兆円だった。
さらにもう一つ、決定的に重要な財務省の「ウソ」がある。
それは、日本政府が1000兆円の借金を抱えて、「いつ財政破綻の危機に直面してもおかしくない」という「ウソ」がバラ撒かれてきたことだ。
政府が発表している国民経済計算年報という資料に基づくと、2015年末の日本の一般政府債務残高は1262兆円で、たしかに1000兆円を超す債務は抱えているが、その一方で、1325兆円の資産を保有していることが分かる。
差し引き63兆円の資産超過なのだ。
このような財務状態で財政破綻に陥る可能性はゼロである。
「消費税減税・廃止」を次の総選挙の最重要争点に掲げるべきである。
表面的には、普天間基地の県外・国外移設の断念が政権崩壊の原因になったが、これはあくまでも表面的な現象である。民主党政権失敗の本当の原因は、民主党内部から政権崩壊の強い力が働いた点にある。民主党内の既得権勢力が革新的な民主党政権を内部から破壊し、権力を強奪してしまったのだ。
小沢-鳩山民主党政権は、対米隷属からの脱却官僚支配構造の破壊大資本による政治支配の打破という三つの大政策を掲げた。文字通り、日本政治を根底から刷新する大改革の方針が明示されたのである。既得権勢力がこの政策路線に驚愕し、死に物狂いの反抗を示したのは当然のことでもあった。
沖縄問題では、岡田克也外相、北沢俊美防衛相、前原誠司沖縄担当相、平野博文官房長官が主要閣僚であったが、この4名が鳩山首相の指示ではなく、横田政府(=米軍横田基地内のジャパンハンドラーズ)の指示に従って動いたのだ。その結果、普天間の県外・国外移設方針が破壊された。
つまり、米国が支配する日本官僚が支配する日本大資本が支配する日本への完全回帰を基本に据えた政権だったのだ。
と声を張り上げた。
「消費税増税を実施しても消費減退や不況への転落のリスクはない」
「消費税増税を実現しなければ日本は財政危機に陥る」
というのは、すべてが「真っ赤なウソ」である。
安倍政治は経済の弱肉強食化を全面推進している。
その結果として、労働者の実質賃金が第2次安倍政権発足後に約5%も落ちた。
社会保障制度はずたずたに引き裂かれ、所得がゼロ、所得が乏しい国民からも容赦なく税をむしり取る消費税増税が強行推進されてきた零細事業者で、消費税増税を価格に転嫁できない者は、消費税を消費者に代わって自己負担している。そのために発生する零細事業者の破たんが後を絶たない。
また、消費税が日本の個人消費を強く強く抑制していることは明白だ。
消費税を導入したのが1989年度。日本経済の長期低迷は1990年から始動している。
とりわけ深刻な状況が始動したのが1997年だ。消費税を3%から5%に引き上げた。
2014年度にはこれがさらに8%になった。
爾来、日本経済の低迷が持続している。
「消費税減税・廃止」は次の総選挙最大の争点にふさわしい、最重要政策テーマである。
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