「非正規を正規化する」んじゃなくて「正規を非正規化」するのか…

「非正規を正規化する」んじゃなくて「正規を非正規化」するのか…

みなさん、今年の通常国会の施政方針演説で晋三くんが、
以下のような大見得を切ったこと、覚えてはりますかね↓
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(このとき、晋三くんは「働き方改革を断行する。『非正規』という言葉をこの国から一掃します」… と言ったんだよね)

ボク、この言葉を聞いたとき、
これって「労働時間の短い、いわゆるパートタイマー」以外の「フルタイム非正規雇用者」をなくす(=一掃する)…という意味なんだろうな…と素直に受け取りつつ、
一方で、そんなコト、ホントにできるのか(≒する気があんのか)…と疑ってたんです

そんでも、晋三くんは「非正規の一掃」をいわゆる「働き方改革」のなかで断行する…と強い決意を示してたので、まぁ、それほど強いやる気があるならやってくれたらええねん…と思ってたんだけど

働き方改革」関連の一括法案のなかで「非正規の一掃」につながるような内容が入ってるのか…

といえば、唯一「同一労働同一賃金」(正規と非正規の待遇に不合理な差をつけることを禁止する)だけが、それに該当しそうな内容だったんですね

けど、これは「非正規をなくす(=一掃する)」というのとはちょっと違うような気がするところ、
これって、要するに、「(賃金をはじめとする)正規と非正規の間の待遇格差」をなくせば、それは「非正規」であっても「正規といっしょ(の待遇)」ということになるんだから
「非正規をなくすことだ」ということなんでしょうか

(そんでもなんか、釈然とせえへんな、この説明…)

そんでもまあ、非正規と正規の待遇がいっしょになって、
両者の間で違うのは「正規か非正規かという」地位の違いだけ…ということになるのであれば
まぁ、それでも一歩前進ではある…と気を取り直して考えてみるんだけど
じゃ、(フルタイム)非正規で働く人たちの不満がいったいどこにあるのか…と言えば
それは、正規とおんなじ仕事してるんだから正規雇用にしてほしい(=安定した雇用契約の元で働きたい)…
ということだと思うので、「同一労働同一賃金」が「非正規の一掃の内容だ」というのは、やはり、納得できないところです

では次に、「同一労働同一賃金」についても考えてみると
それは正規と非正規の(賃金をはじめとする)待遇格差をなくす…ということだから
これは、正規とおんなじ仕事をしているのに、
「非正規という地位の違いだけで」賃金をはじめとする待遇が正規よりも悪い…という、非正規労働者の不満を一定程度は解消するもの…だということはいえると思うんですけど…

それは「正規よりも悪い待遇」を「正規並みに揃えてくれ」という要望だったはず…

あぁ、それなのに、
日本郵政は、「正規よりも悪い待遇」の解消を「正規の待遇悪化で非正規と揃える」とゆうてまっせ…↓
正社員の待遇下げ、格差是正 日本郵政が異例の手当廃止(4/13:朝日新聞デジタル

【今春闘で決まった内容】日本郵政グループは正社員だけに支給していた手当を大幅に見直した
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 日本郵政グループが、正社員のうち約5千人の住居手当を今年10月に廃止することがわかった。この手当は正社員にだけ支給されていて、非正社員との待遇格差が縮まることになる。同一労働同一賃金」を目指す動きは広がりつつあるが、正社員の待遇を下げて格差の是正を図るのは異例だ。

 同グループは日本郵政日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の4社でつくる。廃止対象は、原則として転居を伴う転勤のない条件の正社員(約2万人)のうち、住居手当を受け取っている約5千人。毎月の支給額は借家で最大2万7千円、持ち家は購入から5年間に限り6200~7200円で、廃止で年間最大32万4千円の減収になる。

 廃止のきっかけは、民間の単一労組で国内最大となる日本郵政グループ労働組合(JP労組、組合員数約24万人)の今春闘での要求だ。同グループの社員の半分ほどは非正社員非正社員の待遇改善を図る同一労働同一賃金の機運が高まっているとして正社員だけに認められている扶養手当や住居手当など五つの手当を非正社員にも支給するよう求めた

 これに対し、会社側は組合側の考え方に理解を示して「年始勤務手当」については非正社員への支給を認めた。一方で「正社員の労働条件は既得権益ではない」とし、一部の正社員を対象に住居手当の廃止を逆に提案。組合側は反対したが、廃止後も10年間は一部を支給する経過措置を設けることで折り合った。今の支給額の10%を毎年減らしていくという。さらに寒冷地手当なども削減される。

 同一労働同一賃金は、安倍政権が今国会の最重要法案とする働き方改革関連法案に柱の一つとして盛り込まれている。厚生労働省ガイドライン案では、正社員にだけ支給されるケースも多い通勤手当や食事手当といった各種手当の待遇差は認めないとしている。

 政府は非正社員の待遇が、正社員の待遇に引き上げられることを想定
非正社員の賃金を増やして経済成長につなげる狙いもある。ただ、日本郵政グループの今回の判断で、正社員の待遇を下げて対応する企業が広がる可能性がある。

これはもともと、労組が「正社員だけに認められている扶養手当や住居手当など五つの手当を非正社員にも支給するよう求めた」…ということで、

「非正規の待遇を(できるだけ)正規と揃えてくれ」という要求だった…のに
なんと、日本郵政は「正規の待遇を非正規に揃える(ことで待遇格差を縮める)」という、真逆の対応で応えたわけで、これは「非正社員の待遇が、正社員の待遇に引き上げられることを想定」している、
同一労働同一賃金」の趣旨を逆さまに発揮するというべらぼうな話…
こういうコトができる、こういうコトを許す…ということになれば
非正規労働者の待遇を正規労働者に揃える」という「同一労働同一賃金」制度の趣旨がまったく生かされない…どころか、悪用される…ことになるわけでして、こんなのは、「ゼネスト」で阻止せなアカンくらいのレベルの暴挙だと思います