消費税増税の前に、法人税は7兆円、所得税は8兆円、合計で15兆円/年も「減額」を忘れるな!
「消費増税待ったなし!」は全くのデタラメ
かなり革新的な人からも「財政健全化のためには消費税アップはやむを得ない」という発言がよく聞かれます。
消費税を課す分 法人税と所得税を安くした、逆の言い方をすれば、法人税と所得税を減らすために消費税を導入した ことは一目瞭然です。こうして30年間の累計で数百兆円が「減額」されたのですから、国家財政がおかしくなるのは当たり前のことです。
消費増税は確実に消費を縮小させ、法人の収益を縮減させ、それを通して国民の所得も確実に縮小させるが、所得税(や企業の収益に掛ける法人税)を上げても経済への悪影響は消費増税よりも格段に小さいと述べています。
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藤井聡 消費税を凍結・減税すべし!
<4>「消費増税待ったなし!」というデタラメを叫ぶ愚か者
「日本の財政危機は深刻だ。だから消費増税はもう、待ったなしなのだ!」――。
これが、一般的な消費増税推進論者たちの主張だ。
しかしこの主張は、「真実」をしっかりと認識する冷静な人びとからすれば鼻で嗤うほどに滅茶苦茶でデタラメな代物だ。
その理由は実にさまざまにあるのだが、中でもとりわけひどいのが、「増税するにしても、なぜ消費税なんだ?」という点だ。今日はこの点について解説してみよう。
しかし誠に不思議なことに、消費増税論者は、「日本の財政危機は深刻だ。だから所得増税はもう、待ったなしなのだ!」とか「日本の財政危機は深刻だ。だから法人増税はもう、待ったなしなのだ!」などとは決して言わない。彼らが口にするのは、いつも「消費税」なのだ。
そもそも、所得税や法人税は、かつては今よりもずっと高い水準だった。所得税について言うなら、高額所得者は今よりもずっと高い税金を払っていたし、法人税については、すべての法人において今よりも2倍近くもの税率が課せられていた。
これによって、日本のトータル税収は大きく縮小した。
一方で、増税され続けたのが「消費税」だった。
だから、「消費増税が必要だ!」と主張する論者たちは、こうした経緯を無視し、法人税や所得税の減税は当たり前のこととして受け入れ、わざわざ消費税をあげようと主張している人びとなのだ。結局そんな主張は「財政再建のため」、というよりは、「所得税を減らしたい金持ち連中や、大規模な利益をたたき出し続けている大企業達における減税を正当化するため」に活用されたに過ぎないわけだ。しかしそういう御仁たちは、自分がそうやって「利用されている」ことなどまったく気づいてはいない。もうこの時点で、愚かきわまりないと言えるわけだ。
なぜなら、消費増税は確実に消費を縮小させ、法人の収益を縮減させ、それを通して国民の所得も確実に縮小する。そうなれば、低額所得者の税率は低いから平均的な所得税率はさらに下がる。結果、消費増税は所得税収と法人税収を大きく減らすのである。
一方で、所得税を上げても経済への悪影響は消費増税よりも格段に小さい。そもそも所得税率が高いのは、その利益の多くを貯蓄に回す高額所得者だからだ。さらに言うなら低額所得者においても所得の一部は確実に貯蓄に回るのだから、結局、所得税の多くは「銀行で眠り続けるはずのカネを吸い上げたもの」なのであり、その分は景気への悪影響はまったくない。
ところが、消費税は経済成長のメインエンジンである消費そのものの「罰金」として機能し、消費を冷え込ませ、激しく経済を停滞させるのだ。
こうした真実を知る論者からすれば、「日本の財政危機は深刻だ。だから消費増税はもう、待ったなしなのだ!」なぞと叫ぶ学者や専門家の額には「私はバカです」と大きく書いてあるようにしか見えないのである。