織田瑟瑟の桜画と桜画を伝え続ける人たち



江戸時代後期の女流画家、織田瑟瑟(しつしつ)の描いた桜画は日本一。
そんな話を聞いて、彼女の故郷,東近江に桜の絵を見に行ったのは3年前のこと。
その時の記事はこちら。


来客用名簿に記帳したので、それからは毎年織田瑟瑟桜画展の案内が届くイメージ 1

桜の季節に合わせての桜画展、これもまた桜の便りである。

しかし、東近江は遠い。
近江八幡まで2時間。さらにそこから近江鉄道で30分ほど。更にバス。

案内ハガキに申し訳なく思いながらも、その後行くことはなかったのだが、
今年は母を亡くしたこともあり、久々に行ってみようという気持ちになった。

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それは、彼女の美しい桜の絵に会いたい気持ちはもちろんだが、
こうして毎年、彼女の絵を観にきてほしいというハガキを出される
地元の方々の熱い気持ちに応えたかったからかもしれない。
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西蓮寺では、桜画展開催の2日間、桜画を見に来てくれる人たちへのおもてなしに
あけくれる。入場料も鑑賞も無料。
それどころか、足を運んでくれた人たちへの心遣いで
地元のもち米や小豆を使った桜餅と
やはり地元のこんにゃく芋から作ったこんにゃくの煮物が振舞われる。
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その数も400個という。
手間と時間とお金をかけての温かいおもてなしに感動する。

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ボタニカルアートのように、細部まで描き込まれた美しい桜画

今年で17回目を迎えた桜画展は、西蓮寺ご住職の町おこしの提案から始まった。
織田瑟瑟の桜画を多くの人たちに見てほしい、瑟瑟を知ってほしいという願いから
「花と緑と桜画のロマンが薫る町づくり」が合言葉になって、有志が集い、
桜の季節に「織田瑟瑟桜画展」を開催する運びになった。

桜画展の費用はお寺持ち。見学者からはお金を一切取らず、おもてなし付き。
毎年入れ替えで、10数点ほどの掛け軸の桜画をじっくり鑑賞した後は、桜餅をいただきながら、ご住職や江戸桜画の研究者たちと気軽に話ができることも魅力だろう。
こんな会が17年続いていることに感嘆する。

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ご住職も有志の皆さんも素敵な方ばかりで、こういう方たちの力で、
織田瑟瑟の桜画は世に広まっていくのだろうと思われた。
(「湖国と文化」に掲載されていた写真、杉山ご住職を囲んで)

彼女の桜画は美しい。

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 その桜画に、更に魅力を与えているのは、この会の方たちだと思う。

こちらは、ご住職の所蔵されている織田桜画の掛け軸

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遠くから来ている私に「この掛け軸は写真を撮っても良いですよ」と言ってくださった。

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こういう温かい心遣いが嬉しい。

運営される人たちの魅力も重なる桜画展
 遠くまで出かけ時間はかかったが、それ 以上の感動を持ち帰れた桜画展であった。

 桜画の彩色は自然のものを使った顔料で(青は緑青、白は牡蠣殻、紅は珊瑚をそれぞれ砕き粉にして色づけしたそうで、自然物なので、200年経っても変色しない
 
そして…こちらがお礼を申し上げたいくらいなのに、もう、お礼状が届いていた。

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