絵になる織物「宮井喜久子タペストリー展」
タペストリー展は初めてのこと。
やはり写真よりも、「本物」との出会いは感動的でした。
絵として見ても美しいデザイン
これは「プール」という作品の一部。下は全体像。
作品「漂泊」の一部 糸の色合いが美しい。
作品全体はこんな感じ、「漂泊」は、流氷のイメージとのこと
色、デザイン、そしてタイトルが詩的で味わい深い。
この作品は「今宵降る」
月光が植物の上に降り注ぐイメージだろうか…
「黄昏(煌めく海へ)」
背景を透かして織るインレイ技法での織物なので、影を計算に入れた面白い作品もあった。
「祈ること」
影の部分も含めて、たくさんの手が千手観音を思い出させられる。
タイトルが素敵な作品「生きていることが好きになる」
少女が嬉しいことがあって、ジャンプしているように見える
「風は時に強く吹く」
風に吹かれているのは野の草とのこと。
野の草のテーマ「野の草のように(月光)」
野の草のように(ふたたび)
「つきのひかり」
皆さまはどの作品がお好きでしょうか。
宮井さんの作品の素晴らしさ、美しさは写真のとおりだが、
彼女は染色家。
デザインを考えて、色を決め、染色から準備が始まる。
織物も一織り一織りを積み重ねていく途方もなく時間のかかる根気強い作業。
タペストリーのような大きな作品は、1年ほどかかることもあるそうだ。
全て手作業による膨大な仕事時間を思うと感慨深い。
まさに大木を支える「木の根」の仕事であると思う。
詩人でもある彼女が紡いだタイトルの言葉も素敵で、
どちらも楽しませていただいた。
宮井さんの言葉
「表現の中心は水。私の中に水脈があり、時々その水が枯渇していないか心配し、草原を分け入り、水は満々と湛えられているか覗きにいきます。水辺には、心のありようや来し方行く末なども表れていると感じます。
創作で大切にしているものの一番は「内なる声」でしょうか。
それがなめらかに表現できるよう努めたいと思っています。」