「わたしは、きつね。」「ぼく、たぬき」

「わたしは、きつね。」

「ぼく、たぬき~。」

大阪では、よくあるこの会話。

・・・何のことでしょう?


きつねうどんと(きつね)そばの注文です。

関西ではキツネうどんのことを「きつね」と言います。
きつねうどん↓
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これは甘く煮しめた油揚げをのせたうどんのことで、関西を代表すると言っていいくらい好きな方が多いきつねうどんのこと。

油揚げをキツネと言うのは全国共通の認識だと思いますが、

たぬきは??

「たぬき」は、大阪と東京、京都では指すものが全然違います。

 *大阪では、「油揚げの入ったそば」が「たぬき」。
  たぬき↓
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 *関東では「たぬき」は天かすのこと。

   天ぷらの種を抜いた「種抜き」がなまって「たぬき」になったとか・・。

 *京都で「たぬき」とは、きつねのあんかけうどん・・つまり、揚げの入ったうどんの
あんかけを指すそうです。



 大阪では 「油揚げを乗せたうどん」=「きつね」

      「油揚げを乗せたそば」=「たぬき」

「そば」や「うどん」をつけなくても、「たぬき」=「そば」で、

「キツネ」=「うどん」と決まっているからなのです。

  

きつね=きつねうどん たぬき=きつねそば・・・と思っている関西人が

東京で知らずに「たぬきそば」と注文するとどうなるでしょう?

天かすのいっぱい入ったそばが出てきます。(><)!

関西育ちの夫が知らずに「たぬき」を注文して・・・

「な、なんだ?これは~!」と困惑した顔を思い出します。


関西の方、東京での注文には気をつけてくださいね!

関東の方、関西には、たぬきうどんときつねそばは存在しませんので、ご注意を!



では、関東のように天かすを入れたものを大阪では何と呼ぶのでしょうか・・

調べてみましたら、「はいから」とか「天かす」うどん・そばと呼ぶようです。

でも、関西在住30年に近い私ですが、ハイカラうどん・そばの注文は、一度も聞いたことがありません。関西では、麺類には甘い油揚げが一般的で、好みなのでしょうね。


  
・・・うどんの思い出と関西人気質・・・

実は私は東京出身なので、初めはうどんの色の薄さに驚き、何か味が薄いように感じた
ものです。

でも、何回か食べてみると、昆布だしの利いた薄口のだし汁はとても美味しいもので
(好みもあるとは思いますが・)以来、すっかり大阪のきつねうどんのファンに成ってしまいました。

関西のうどんの味に慣れてしまうと、東京の黒っぽいうどんのつゆは食べられないと言われています。・・本当だなぁ・・と思ってしまいました。
(東京の方、ごめんなさい。)

大阪のうどん出汁が美味しいのは、大阪に北海道から運ばれた昆布問屋がたくさんあって昆布が容易に手に入ったことにも遠因があるようです。

驚いたことに、そんな美味しいだし汁を、関西人のお母さんは、いとも簡単に家庭で作ってしまいます。

業務用だし(粗く削った鰹節)ひとつまみに昆布を入れて薄口醤油ちょっととみりん、塩・・これで美味しいうどん屋さんと同じ味のうどんが出来てしまいます。

子どもが幼稚園の頃、子どもの友達のところに迎えに行くと、「○×ちゃんのおばちゃんの作るうどん、うどん屋さんみたいに美味しかった~」としきりに感心していました。うどんばかりでなくたこ焼き、お好み焼きも然り。
友人宅で呼ばれる関西代表の気取りのない食事は子どもの楽しみになりました。

うどんとお好み焼き、たこ焼き・・・粉物文化の大阪は、どちらも家庭で上手に作れるのが当たり前みたいです。

東京者の私は、うどんもお好み焼きもたこ焼きも家庭で食べる機会もなく、今だに作る方は苦手。
たまに上手くできると、子ども達に「これでおかあさんもやっと関西人だね」と冷やかされる始末です。

しかし、関西の食文化が苦手な母親に育てられても、子ども達は友人の家でご馳走になりながら、ちゃんと関西の食文化を学んでいくのですね。

ついでに、もう一言付け加えれば、お好み焼きやうどんなど、家庭で気軽に振る舞ってくれるのも、大阪人らしい文化の一つではないかと思うのです。

私の場合、全く親戚も友人もいない関西で結婚して、身内や親戚の助けなしで、何とか子育て出来たのも、関西の人たちの温かさや親切に支えられたことが大きかったと思います。

私の具合が悪いときには、長男の手を引いて、幼稚園に連れて行ってくれたR君のお母さん、
次男が生まれて体調を壊したときに、料理の差し入れや、お掃除にまで来てくれたMさん、
次男の病院通いの時に長男を預かって、いつもご飯を食べさせてくれたWさん、

思い出すと、こちらからお願いしたわけでもないのに、いつも、周りの方々の温かい手が自然にさしのべられていました・・・。
みなさん、ありがとうございました!
今でも、この当時のことを思い出すと、感謝で胸がいっぱいになります。


関西人特有の人情味と親切なおせっかい?文化?

関西には、いつどんなところに集まっても、みんなで仲良くやっていこうとする文化があるような気がします。

私の入っている温泉学も、人間学塾も、老若男女、いろんな職種のいろんな方達が集う会ですが、一度参加したらもう仲間。
いつもみんな仲良く気遣い合って楽しくやっています。

夫が亡くなっても、親戚の多い東京に戻らずにこちらで暮らすのは、そんな温かい関西文化圏が気に入っているからなのだろう・・とよく思うこのごろです。