原発緊急情報 心配な方はどうぞ!武田先生からの説明&アドバイス

武田邦彦 (中部大学)
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最新のものを、転載します。
長いので、関心のあるところだけ読まれても結構です。


原発 緊急情報(26) 赤ちゃんをお風呂に入れても大丈夫?


福島原発が爆発して放射線をもつ「粒(目に見えない小さな粒)」がホワーと原発の上に立ち上りました。イメージとしては小さな火山が噴火して火山の煙が立ち上ったようなものです。
福島原発は太平洋に向いていますし、風は西風なので、ホワーと舞い上がった「粒」は風にのってほとんどは太平洋にいったと思いますが、わずかの「粒」がどうも北西(福島)の方と、南に行ったのです
つまり、福島原発から放射線が四方八方に飛んででたのではないので、そこを誤解すると(国がそのように説明したから誤解しても無理はないのですが)、判らなくなります
ホワーと上がった「放射線の粒」は風にのって福島市などに行きましたし、遠くは利根川上流にも飛んでいきました。
福島市の「放射線」は20マイクロ(シーベルト)ぐらいになったのですが、その時の様子を詳しく書きます。この情景を思い起こせれば、「東京の水は飲んでもよいの?」、「子供をお風呂に入れても良いの?」ということもわかります。

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情景を目に浮かべるために、自分(読者の方)が「目に見えない粒」に変身して、風に乗り、福島原発から福島市まで飛んでいったとします。
上空から見ると福島市が見えてきます.そこで風が弱くなったので、徐々に下に降りてきて、地上1.5メートルぐらいで止まりました。
そこに文科省の車がきて「放射線」を測ります.そこで測っているものは「粒から光のようにでる放射線」です。
つまり、福島原発から放射線(光のようなもの)が飛んでくるのではなく、「粒」が飛んできて、その「粒」から放射線がでるのです。

文科省の車が行った後、読者のお一人がそこを通りかかるとします。「粒」は放射線を出し続けていますから、その人は、まず「粒からでる放射線で被曝」します。またその人は人間ですから、息をすって呼吸をします.その時に、「粒」はその人の肺に入ってしまうのです
つまり、「粒からでる放射線(外からの被曝)」と「粒を吸い込むので、体内での放射線(体内からの被曝)」の二つの放射線あびることになります。


おそらく、今の福島市役所は、「飛んできた粒」から放射線あびること、その後、自分がその「粒」を吸い込んでしまう事を知らないのではないかと思います。
だから、マスクがいるし、雨が降ると放射線が上がるのです。
また外出するとその「粒」が衣服に付着しますから、家に帰ったら玄関の外でティッシュで拭かなければなりません。


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実はここで読者の方に謝らなければならないことがあります。


放射線の法律によると、「ある場所」の「実効線量(放射線の量)」は「外からのもの+体内からのもの」を合計することになっています.たとえばそれが3ヶ月で1.3ミリシーベルトになりそうだったら、「管理区域」にしなければならないなどとなっています。
この通達は文科省からでているので、同じ文科省の発表だから発表される数値はこの2つの合計と思っていたのですが、今日、調べたら、もしかすると「外から」だけかも知れないのです。

かなり調べましたが、まだ判りません。

もし、文科省が公表している放射能が外からだけのものなら、それを約2倍しないと正しい放射線の量になりません。
約2倍というのは、チェルノブイリの時には、「外から」と「体内から」の比率はおおよそ同じでした。だからもし文科省のデータが「外から」だけなら、2倍にしなければなりません。
福島が20マイクロなら正しくは40マイクロになります。もう少し調べます
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ところで福島市に降ってきた「放射線を出す粒」は人の肺に入るだけではなく、地面、ホウレンソウ、どんな作物、樹木、ネコ、イヌ、川、ビルにも降り注ぎます
「粒」はえり好みしませんから、どこにでも同じく降ります。ただ、人間、ネコ、イヌ、ウシなどの動物は呼吸するので、体の表面につくと同時に肺に入るというだけ余計に被曝します。
このように「粒」がおおよそでもイメージできると、「なぜホウレンソウ?」、「なぜ水道?」というのが判りますし、「ホウレンソウはどのぐらい危ないの?」、「水道は飲んで良いの?」というのも判ります

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放射線をだす粒」はどこでも誰でも何でも「平等」に降ります. 人間も、イヌも、土も、ホウレンソウも、小松菜も、川にも同じく降ります

ということは、ザッと言って、「自分が汚染されると同じく」、ホウレンソウもウシも川も汚染されます.もちろん、「粒」は野菜の好き嫌いもないので、どの野菜がどうということはありませんが、「根菜類」は地下に潜っているので、汚染されません。

ホウレンソウが汚染されているのは、「粒」が降ってくるからです
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牛乳が汚染されているのは、ウシが呼吸するときに「粒」を肺にいれるからです。

水道水が汚染されるのは「粒」が川にも落ちるからです
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だから、ザッと言うと{「自分」+「食べた野菜」+「飲んだ水道水」+「飲んだ牛乳」}になります。汚染されたものを体に入れれば、自分が被曝した量が何倍かになりますので、できるだけ採らない方が良いと言うことになります。

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そうすると次のことも判ります。

「なぜホウレンソウ?」・・・「ホウレンソウだけ測定したから」

「なぜ水道水?」・・・・・・「川から水をとったから」ということになります。

でも、良いこともあります。「粒」は平等に降りますから、自分にも川にも同じだけ降ります。だから「ドンドン汚れる」というのではなく「自分が汚れたと同じぐらい汚れる」ということですから、限度があるのです。
その点では限度があるから安心です
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また、赤ちゃんをお風呂に入れると水道水からの放射線をあびますが、人間の皮膚は放射線に強いので、飲むのに比べれば10倍で同じぐらいになります。

(非常時の被曝ですが、皮膚は10倍大丈夫とされています。)

だから、お風呂は大丈夫です。回数をやや少なくするのも良いと思います。

また「粒」は「こすると落ちやすい」という性質がありますから、お風呂からでたら良くタオルで拭いて上げるのも良いでしょう

ご質問が多いので、時間の許す限り書いていきます。特に、水、洗濯、台所で使う水、安心な食材、ベクレルとシーベルト、体外被曝と体内被曝、規制値がなぜ低い値になっているのにテレビに専門家は高い数字を言うのか?など数字が入る難しい問題も徐々に書いていきます
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平成23年3月23日 午後9時 執筆)

武田邦彦

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