言論統制の合法化?!コンピューター監視法案が可決された

 
『コンピュータ監視法案』が可決
 
 
言論の自由がなくなるのか!!これは言論統制なのか
 
 
 
本日午前、(5/31)衆議院法務委員会において
「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」
(通称コンピューター監視法)が可決。
即日午後、衆議院本会議に緊急動議が上程されて可決されました。
 
 
 
震災への対応や原発の対策は遅いのに、こういうことは光の速さで可決!!
 
 
コンピューター監視法案のQ&A
 
Q:「コンピュータ監視法案」というのはどのような法案ですか?
 
A:共謀罪」として私たちが問題にしている法案は、「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」が正式名称で、この法案には、共謀罪と連動するいくつもの刑法、刑事訴訟法の改正が盛りこまれています
「コンピュータ監視法案」と呼んでいるのは、このうち、警察などが捜査の必要があるときに、
裁判所の令状なしに、プロバイダーなどに通信履歴を一定期間(90日を想定)保管させることができるというものです。
Q:通信履歴って何ですか。
 
A:通常「ログ」とよばれるものですが、メールの場合であれば、発信者と受信者、通信の日時、どの経路を通って通信がおこなわれたのか、メールソフトは何を使っているかなどがわかります。webページの場合であれば、どこのwebページを閲覧したのかなどがわかります。
ブロードバンドで常時接続の場合には、かなりの確率で使用しているコンピュータを特定することも可能になります。
 
Q:通信履歴の保管だけで、警察が直接ログを見ることはできるのですか。
 
A:表向きはできません警察は、この法案が通過することによって、通信履歴を入手するふたつの選択肢をもつことになります。ひとつは、法律に基づいて履歴を保管させるという正攻法の方法
もうひとつは、これまでにも行われてきた任意で通信履歴を提供させるという違法ともいえる方法です。通信履歴の保管はやっかいな仕事なので、法律で強制されるよりは任意で警察に協力したほうが都合がいい、という判断にプロバイダーは傾きがちではないかと思われます。
言い換えれば、通信履歴の任意提出の強要(語義矛盾ですが)の手段として監視法が使われる可能性が高いと考えられるのです。
 
Q:私たち市民にとって、とくに問題になるのはどのような点ですか。
 
A:警察が監視していることは、一切外部に漏らすことが禁じられていますから、まったくわかりません。
 
特に、通信履歴を保全させ、任意でそのなかから必要な情報を提供させるけれども、最終的には、警察が令状を取得して正式に通信履歴を入手することなく捜査を終えるというようなやりかたをされた場合、警察の行動はまったく表に表れません。警察を取り締まる警察はありませんから、警察の捜査は、適法な範囲を逸脱しやすいことは、裏金作りから違法盗聴まで、これまでの経験からなかば常識になっています
 
Q:ジャーナリストなどの取材源の秘匿ができなくなるといわれていますが、どうしてですか。
 
A:たとえば、なんらかの刑事事件を取材している記者が、被疑者とおもわれる人物やその関係者に携帯電話やメールで接触したとします。警察が被疑者の通信履歴を監視していれば、とうぜんこの記者からのコンタクトを知ることになります。
警察が悪意をもってマスコミを見張るというケースもあると思いますが、そうではない場合であっても、ジャーナリストの取材行動はこれまで以上に大幅に把握されていしまいます。
この点については、マスメディアの関心が薄いのが大変気にかかります。
 
Q:共謀罪とどのように関係しますか。
 
A:共謀は、相談の事実を把握することなしには立件できません。したがって、通信の監視は、共謀罪捜査の大前提となります。先の記者のメールが監視される場合も、その結果として共謀の罪に問われるというケースもありうると考えなければなりません。
たとえば、権力犯罪の取材では、部外秘の情報を内密に内部の提供者から得るなどが必要な場合がありますが、こうした調査報道が大変困難になると思われます。また、もうひとつの問題として、共謀罪が成立すれば、共謀の容疑で捜査を開始できることになり、この段階でコンピュータ監視も開始されると考えてよいでしょう。たとえば、選挙違反は、共謀罪の対象犯罪になりますから、選挙の開始とともに、選挙運動全体を警察がひそかに監視するということも可能なのです。共謀罪に反対するということは、同時に、この法案にもりこまれているコンピュータ監視の立法にも反対することであるという理解が必要です。共謀罪が成立すれば、警察はまさに秘密警察そのものになるのです。
 
 
会長声明集 Subject:2011-5-23

「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(コンピューター監視法)について慎重審議を求める会長声明
 
 
通信履歴の保全要請については、プロバイダ等に対して、差押え等をするため必要があるときに、業務上実際に記録している通信履歴(通信の送信元、送信先、通信日時など)を消去しないように任意で要請することを認めるものである。 法案提出時に保全の必要性を要件としたこと、保全期間の短縮及び保全要請を書面で行うこととした点は評価できる。しかし、そもそも、我が国においては、憲法が保障する通信の秘密の保障には通信履歴も含まれると伝統的に解されており、その取得は強制捜査として令状主義による裁判官の審査の下になされるべきものであって、通信の秘密の制約については、慎重に考える必要がある。しかるに、法案は、通信の秘密の制約となり得る保全要請を任意捜査としているために、実際の運用に当たり、捜査機関による濫用を抑制できないおそれがある。さらに、この法案が成立すれば、我が国もサイバー犯罪条約を批准することになるが、その結果、通信傍受法の改正につながる可能性もある。
よって、この法案の審議に当たっては、国民の権利・利益を侵害することがないように、審議における質疑を通じて、この法案の規定内容をより明確にし、恣意的な運用がなされることがないように、慎重な審議がなされるよう求める。 (-抜粋-)
2011年(平成23年)5月23日 
日本弁護士連合会 
会長 宇都宮 健児
 
前文みたい方は下記の記事からどうぞ↓
 
 
菅内閣が急いだコンピュータ監視法案の
 
“本当に危険な箇所”
 
 
本誌『週刊ポスト』が前号(4月22日号)で〈翼賛大連立〉を批判した
「菅・仙谷がほくそ笑む『30兆円復興利権』と『原発恩赦』」と題する記事をめぐって
、「デマ騒動」が持ち上がった。
記事で、菅内閣が震災のドサクサの中で「コンピュータ監視法案」を推し進めていることを指摘したところ、ネットなどで「誤報だ」と騒ぎになったのである。ま
ず指摘されたのは、法案を〈震災のドサクサの中で閣議決定した〉と書いた箇所である。
菅内閣が同法案を閣議決定したのは震災発生当日の3月11日で、閣議は午前8時17分から開かれていた。震災発生は午後2時46分だから、〈震災のドサクサの中で閣議決定〉という記述は時系列の誤りだと指摘された。これはその通りで、本誌の間違いである。率直にお詫びしたい。だが、震災のドサクサの中で問題法案が推し進められていることに変わりはない。
なぜなら菅内閣は同法案を閣議決定すると、4月1日に国会に提出したからである。しかし、国会は3月末に予算と関連法案が成立した後、震災対応のために開店休業状態にある。重要法案の多くが、今国会での審議を断念して提出が見送られるなかで、コンピュータ監視法案の扱いは明らかに特異で、前号執筆時点で、この法案の扱いが永田町で物議をかもしていた。
問題は法案の中身だ。ネットでは、「閣議決定」の部分だけでなく、法案そのものが
「ウイルス作成を禁じるもので、ネット監視の内容ではない」と、本誌報道を批判する声が多かった。確かに政府は「ウイルス防止」を前面に押し出し、大メディアは、〈ウイルス作成罪新設へ 閣議決定 サイバー犯罪に対応〉(朝日)、〈ウイルス作成に罰則 刑法改正案閣議決定 ネット犯罪抑制〉(日経)などと報じた。本誌への批判は、そうした大メディアの報道を引用していた。
しかし、法案の本当の危険は別の箇所にある。「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」という長い名称と長い条文のうち、刑事訴訟法第197条に新たに加えられた「3項」を引用する。
 
〈検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、(中略)電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、三十日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求めることができる
 
日本弁護士連合会国際刑事立法対策委員会委員長でネット犯罪に詳しい山下幸夫・弁護士が解説する。
「この条文は、捜査当局がプロバイダなどに対し、裁判所の令状を受けていなくても通信履歴の保管を要請できるようにするもので、当局が『あいつは怪しい』と思えば、捜査のためと称してメール履歴をプロバイダに保管要請できる。この手続きには裁判所のチェックも働きません」
だからコンピュータ監視法案、もしくはネット監視法案と見られるのである。
そもそもこの法案をその観点から問題視しているのは本誌だけではない。もともとは小泉政権時代の2003年に法制化が検討されたものの、野党だった民主党日弁連が「令状なし捜査」は問題だと指摘し、何度も条文改正が協議されてきた問題法案なのである。
その後も日弁連は法案に反対する立場を変えていないが、菅政権になった民主党はガラリと態度を変え、問題個所をほとんど直さないまま閣議決定→国会提出を急いだのである。
しかも「震災のドサクサの中」で。 ※週刊ポスト2011年4月29日号
 
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