内部被曝の恐ろしい現実。柿澤議員(みんなの党)/福島原発

体内被曝の恐ろしい現実。柿澤議員(みんなの党
 
 
2011年5月16日 (月) 衆議院予算委員会
柿澤未途(みんなの党)議員の質問に対する原子力保安院の答弁で、
体内被曝、内部被ばくの真実が明らかに。
内部被ばく、1500cpmを超えた人・・・4956件
このうち、事故発生後に福島県内に立ち寄ったケース・・・4766件
さらにそのうち、10000cpmを超えたケース・・・1193件
 


 
○柿澤委員  
 まず、一枚目のパネルをごらんいただきたいと思います。こちらは、五月六日に文部科学省が発表した、文科省及びアメリカのエネルギー省による航空機モニタリングの結果というものでございます。福島第一原発周辺の地表面へのセシウム134、137の蓄積量をマッピングしたものです。
 
 この赤の部分、四月二十九日現在の値に換算して、平米当たり三百万から三千万ベクレルということになっております。それが福島第一原発から三十キロ圏の外にまで広がっている。さらに、黄色の部分、これが百万から三百万ベクレル、そして、緑色の部分が六十万から百万ベクレル、平米当たり。
 
 チェルノブイリにおけるセシウムによる土壌汚染の最大値は幾らだったかといえば、平米当たり三百七十万ベクレルです。平米当たり五十五・五万ベクレルを上回ったところは強制移住の対象になっております。緑色の部分が、この図でいえば六十万ベクレル以上ですから、緑色の部分に至るまでがチェルノブイリ強制移住のレベルを超えているということになる。その面積は、約八百平方キロに及んでいるということであります。
   
 先日、各党・政府震災対策合同会議の実務者会合でこのマッピングの地図を取り上げさせていただきました。そのときには、原子力安全委員会の方がたしかお答えになられていたと思いますけれども、被曝線量で見るのが国際基準である、だから、土壌の汚染、地表面での累積放射性物質の量がこの水準に上っていても、やはり空間線量で見るべきであって、これは直ちには問題とならないんだ、こういうことをおっしゃっていて、ちょっと驚いてしまったという場面がありました。
 
 空間線量、被曝線量について、どうなっているかということを次のパネルでごらんいただきたいというふうに思います。
 
 次のパネルは、いわゆるSPEEDIで試算をした内部被曝臓器等価線量の積算線量というものであります。外気中に放出された放射性物質の量から推計をして、そこにいる一歳児の甲状腺にどれだけの放射性沃素がたまっているかということを予測したものであります。これは、最も高い赤の実線のライン、何と一万ミリシーベルトということになっています。そこから、五千ミリシーベルト、千、五百、百ミリシーベルトと広がっているわけです。
 
 今、子供の校庭使用基準で、年間二十ミリシーベルトが高くてとんでもない、こういうふうに言われておりますけれども、この図では一万ミリシーベルトです。どういうふうに政府はこのSPEEDIの試算をごらんになられているんですか。これも伺います。
  
○柿澤委員 後から子供の甲状腺被曝については調べて、大丈夫だった、こういうお話でありますけれども、しかし、一部の子供の甲状腺を調べて大丈夫だということで、本当にこの周辺の住民が大丈夫だということが保証されるんでしょうか。
 
 放射性物質が北西に広がるというのは、二号機が破損した三月十五日の時点で、政府はSPEEDIの試算データからほぼ予測をしていたと言われています。にもかかわらず、それから一カ月にわたって、政府は同心円状の二十キロ圏内の避難指示区域を維持し続けたわけです。結局、今の今まで住民はそこで生活を続けて、場所によっては、地表でチェルノブイリを上回るような高い放射性物質の蓄積にさらされ続けて、私から言わせれば、避けることのできる被曝をしてしまったということになるのではないかと思います。
 
 このSPEEDIの情報を、試算が行われた時点で直ちに出すことがなかったというのは、後から考えると、それで本当によかったのかというふうに思います。
 
 このSPEEDIの試算されたデータを公表するかしないかということについて、統合本部の記者会見で、安全委員会の方が問われて、公表するかしないかということについて内部で明確な意思決定がなされていなかったということを述べられています。こういう形で、一体政府のだれがこのSPEEDIについて当面出さないという決定をしたのか、はっきりしていないということが言われております。
 
 
○柿澤委員 三月二十三日に公表したと言っておられますけれども、実は、このSPEEDIのデータを、その後も含めて公表したのは、三月二十三日と四月十一日の二回、二枚だけ。最終的に、遡及して三月十一日以降のすべてのデータを出したのは、五月の三日のことだと思います。この五月の三日というのは、ちょうど前日に第一次補正予算が国会で成立をしている日であります。
 
 私は、このデータは大変いわばショッキングなものだというふうに思います。要するに、余りにもショッキングな試算だから、出すと騒ぎになるから、一次補正が国会を通るまでの間、公表を抑えていたんじゃないですか。現に、細野総理補佐官は、パニックになるのを恐れたというふうにマスコミに対して話しているではありませんか。
 
 いいですか、後からこういうことを出されても遅いんですよ。わかった時点で逃げようとしたって、マスクをしたって、後の祭りなんです。幾ら追及しても時間は巻き戻せません。
 
 住民の健康を守るため、これからどうしていくかということも大事であります。にもかかわらず、政府は周辺住民の内部被曝に関する追跡調査を、子供を除いて、原則として行っていない。それでいいんでしょうか。
 
 周辺住民にどのくらいの内部被曝が生じているかを推しはかる上で、重要なデータがあります。それは、国内の原子力施設にある内部被曝を測定する全身測定装置、ホール・ボディー・カウンターでの測定結果の数値であります。国内の原発等に四十数台あると聞いております。福島県内に立ち寄ったほかの原発の作業員らが、職場に戻るために放射線管理区域への入域登録というのをするんですけれども、そのときにホール・ボディー・カウンターによる全身測定を受けるんですが、測定をしてみたら、この福島県内に立ち寄ったほかの原発の作業員、精密検査が必要なスクリーニングレベルの千五百cpmを大幅に上回る内部被曝の値が測定されたという人が続出をしたということであります。これらは、放射線量の高い第一原発の現場で作業している人たちとは違って、基本的に、福島県内に立ち寄っただけの人であります。だから、彼らの数値を見れば、周辺住民の内部被曝の実態を推しはかることができるんです。
 
 そこで伺いますけれども、国内の原子力施設にあるホール・ボディー・カウンターで三月十一日以降測定した全ケース、福島第一原発の作業員だけは除きますけれども、において、スクリーニングレベルの千五百cpmを超えたケースが何ケースあるか、そのうち、原発事故発生後に福島県内に立ち寄ったケースは何例あるか、そして、スクリーニングレベルをさらに大幅に超える一万cpmを超える測定結果は何例あるか、御答弁ください。
 
○寺坂政府参考人 お答え申し上げます。
 
 各電気事業者から聴取した数字を集計いたしますと、千五百cpmを超えたものは四千九百五十六件と聞いております。一部電力会社におきまして基準が少し違うことがございますけれども、基本的には、千五百cpmということで、四千九百五十六件でございます。
 
 このうち、事故発生後に福島県内に立ち寄ったケースにつきましては、判明している限りにおきまして、四千七百六十六件、先ほどの四千九百五十六件のうちの四千七百六十六件と承知してございます。
 
 さらに、一万cpmを超えた件数は千百九十三件というふうに承知をしてございます。
 
○柿澤委員 これは大変な数字ではありませんか。私は、四月の上旬から、実務者会合や、内閣委員会でしたか質問で取り上げて、この数値を出せ出せとずっと言ってきました。ようやくこの単純な測定数値をきょうの委員会で出していただきました。四千九百五十六件、そのうち、四千七百六十六件が福島県内に立ち寄った。そうした方々が、精密検査が必要な千五百cpmを超えている。そして、一万cpmを超えている方々も、測定件数として千百九十三件報告をされている。こうした実態が今回明らかになりました。
 
 本来、こういう大量の放射性物質が確認をされた時点で、周辺住民の内部被曝の実態に関する調査を行ってしかるべきだと思うんです。しかし、それをやらないので、私はずっと、このホール・ボディー・カウンターの数値を周辺住民の内部被曝の実態を推しはかるデータとして求めてきたんです。
 
 結局、こういうふうに時間がたつことによって、時間の経過とともに内部被曝の実態がだんだんだんだんあいまいになってきてしまうんですよ。内部被曝の健康に与えるリスクというのは、すぐに出るのではなくて、晩発性のものであります。だから、今内部被曝の実態を明らかにしておかないと、後々になって健康被害が生じたときに原発事故との因果関係が断定できないで、責任の所在がうやむやになってしまいかねないんです。
   
○柿澤委員 周辺住民の内部被曝の実態を示唆する、福島県内に立ち寄ったほかの原発の作業員のホール・ボディー・カウンターの測定数値、先ほど細川厚生労働大臣もお聞きをされたと思うんですけれども、しかし、それを踏まえてもなお、採尿やあるいはホール・ボディー・カウンター、移動式の車もあるんですけれども、そうしたものを使って内部被曝の測定を周辺住民に対して行う必要はない、こういうふうに今おっしゃられたんですね。本当にそれでいいのかと私は思います。
 
 さらに加えて言うと、内部被曝の健康リスクについては、定まった評価の基準そのものがありません。これこれの内部被曝をしていましたと仮に測定結果が出たとしても、それが何を意味するのかという基準がないのでは、これはリスクの評価しようもありません。
 
 これについては、四月十五日に厚生労働委員会で取り上げて、大塚副大臣から、次の喫緊の課題である、こういう御答弁をいただいていますが、いまだにこうした基準すら示されておりません。これはどうなっているんでしょうか。
  
 放射性物質を吸入等で内部に取り込んだ、体内に取り込んだ、その放射性物質の量がどれだけあればどういう健康リスクが生じるのか、こういうことに関するサーベイがなされていない、こういうことを私は申し上げているのであって、私の質問の趣旨をお受けとめいただきたいというふうに思いました。
   
○柿澤委員  今回の原発事故への対応は、事後的検証を要する点が本当にたくさんあります。そういう意味から、菅総理も、原子力専門家らでつくる事故調査委員会を五月中には立ち上げたい、こういうふうにおっしゃっているわけであります。しかし、事後的検証にたえ得るだけのちゃんとした資料がそろっているのかということについては非常に疑わしい、こういうふうに思っております。
 
○柿澤委員  統合連絡本部も、また原子力災害対策本部も、正式な形の議事録が残されていないということは枝野官房長官も既に認めておられるところだと思います。そうした中で、本当に検証にたえ得るような調査が政府のもとで行えるのかどうか、大変私は疑問に思っております。その意味で、やはり国政調査権のある国会のもとに超党派の調査委員会を立ち上げる、これが正しい方向性だというふうに思いますが、総理の答弁を求めて質問を終わりたいと思います。
  
(文字制限のため抜粋)
http://ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/2297406/ より (全文はこちらで)


 

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