福島原発事故から1年 原爆症訴訟がまた勝訴! 裁判で確定した放射線に起因する全病名はこれだ
Everyone says I love you !様のブログより
(雨の中、全員勝訴の旗だし 原爆症認定訴訟 近畿弁護団通信 より)
広島で被爆した神戸市の男性(84)と中村武吉さん(83)が、原爆症と認めなかった国の処分の取り消しを求めた訴訟の判決が、大阪地裁でありました。山田明裁判長は処分を取り消したほか、行政事件訴訟法に基づいて原爆症認定の義務づけを求めた男性の訴えも認めました。
ですから、今回の裁判所が国に認定を義務づけた判決について、原爆症認定訴訟 近畿弁護団は「裁判所が認定を促す積極的なメッセージ」と評価しています。
いずれにしても国・厚労省敗訴の判決が出続けている大きな理由の一つは、厚労省の認定基準のもとになっている放射線影響研究所が被爆者を追跡調査した12万人調査が内部被曝を考慮しないなどの重大な欠陥があり、とそれに基づくICRP(国際放射線防護委員会)の基準がずさんであることにあります。
(2006年5月13日 大阪地裁での第一次訴訟一審全面勝訴判決 原爆症認定訴訟 近畿弁護団通信 より)
この確認書の対象は認定訴訟を集団で起こした原告ですので、男性と中村さんは対象外だったので、また認定訴訟を起こすことになられました。
お2人は1997年と2002年に心筋梗塞(こうそく)を発症し、2008年に認定申請したのですが認められませんでした。
国は訴訟で「たばこなどが原因の可能性がある」と主張しましたが、判決は「広島での行動や症状などに照らすと、放射線が原因の心筋梗塞と認められる」と判断したものです。他の原因があってもそれと放射線があいまって病気を引き起こすということは、これまでの判決でも何度も確認されています。
これはしきい値を否定した画期的な判断です。
「本当に長かったです。60何年を経てようやく終戦がきました。」
と涙ながらに話されたそうです。
判決はこうした国の姿勢を改めるべきだと指摘していて、判決後、大阪市内で記者会見した近畿原爆症集団認定訴訟弁護団は「認定行政の誤りを強く指摘した判決。国は被爆者の命のあるうちに救済責任を果たすべきだ」と求めました。
厚生労働省は、これだけ負け続けているのに、まだ「関係省庁と協議した上で対応を決めたい」とコメントしています。広島・長崎から福島まで続く無責任行政も極まれりと言えるでしょう。
原爆症集団認定訴訟また被爆者勝訴 原発推進のため被曝の影響を矮小化する国の原爆症認定行政は許されない
(2011年12月11日判決 原爆症認定訴訟 近畿弁護団通信 より)
さて、厚労省の「新しい審査の方針」で「積極認定」とされる病名は、
①悪性腫瘍(固形ガンなど)、
⑦放射線起因性が認められる慢性肝炎・肝硬変
です。
内部被曝は外部被曝よりはるかにダメージが大きい 内部被曝の恐怖39
骨 変形性脊椎症 変形性膝関節症 骨粗鬆症
血液・血管 貧血 骨髄異形成症候群 白血球減少症 網膜動脈閉塞症
脳 脳梗塞 椎骨脳底動脈循環不全
消化器 糖尿病
皮膚 熱傷瘢痕(ケロイド)
その他 体内異物
市民と科学者の内部被曝問題研究会 (編集)
放射線被曝によって、頭から足まで、全身にこんなにいろいろな病気が起こるのです。
原爆症訴訟では、原爆症であるという立証責任は被爆者側に負わされます。そして、その証明の程度は一般の民事訴訟の原則通り、高度の蓋然性(確率)まで求められており、被爆後半世紀以上経った被爆者には非常に過酷なものとなっています。
今後の福島の被害に関しては、被害者が証明しなければいけないという認定制度には絶対すべきではありません。
それはともかく、これほどの過酷な証明を果たし、裁判所が認定した判決が確定した病名が以上の一覧表なのです。
いくら、原発推進派(最近では、放射脳を持つ「安全厨」というらしい)がなんと放射線の影響を過小評価し、強弁しようとも、日本の裁判所が放射線に起因する=因果関係があると認めたのが、被爆者達の以上の疾病なのです。
年間100ミリシーベルト以下の放射線の発がんリスクが高いことは原爆症認定訴訟の判決で決着がついている
原発推進派の「放射脳」がまき散らす「内部被曝は特別視する必要がない」という都市伝説
(2011年12月11日判決 原爆症認定訴訟 近畿弁護団通信 より)
ですから、事故後の被曝の問題は福島の方が深刻です。
原発をゼロにするしか選択肢はあり得ないはずです。
福島原発事故でセシウム137が広島型原爆の168倍放出 うち22%が陸地に落ちた=原爆37発分
2012年3月9日
原爆症認定近畿訴訟・大阪地裁判決についての声明
2 今回の判決は、厚労省が、2008年4月から採用した「新しい審査の方針」(2009年6月改定)において積極認定の対象疾病とした心筋梗塞について、「放射線起因性が認められる」という不当な条件をつけ、ごく限られた近距離被爆者しか認定しない行政がなお誤っていることを断罪した。また、原爆症認定の義務付を求めていた原告について、その義務付を初めて認めるなど、画期的な内容となっている。
3 国は、「新しい審査の方針」によって、爆心地から3.5kmで直接被爆した者、原爆投下から約100時間以内に爆心地から2km以内の地点に入市した者を、積極認定の対象者としたにもかかわらず、現実にはごく限られた近距離被爆者のみ認定する運用を行っている。とりわけ、今回、判決を受けた原告らの申請疾病である心筋梗塞については、2008年4月から2011年3月までの間に認定を受けたのはわずかに122名のみで、却下数は971名にのぼり、認定率は11.1%に過ぎない。
原告らは、何れも「新しい審査の方針」策定後に却下処分を受けた被爆者であり、直爆2.5km、原爆投下直後に爆心地から1.5km付近まで入市した積極認定対象者である。
また、裁判所は、心筋梗塞と放射線被爆との間には放射線量の程度にかかわらず(しきい値の否定)、有意な関連を認めることができることを指摘した。このことは、現在の認定基準すら守らず、内部被曝の影響を無視し続ける国の姿勢を改めることを強く要請するものである。
4 国は、2009年8月6日、「原爆症集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書」を締結したにも拘わらず、自ら定立した「新しい審査の方針」を無視して原爆症認定行政を再び後退させ、被爆者をなお苦しめ続けている。不当に認定却下処分を受けた被爆者は、これを甘受することができず、大阪地裁での本件提訴をはじめとして、広島、熊本、札幌、名古屋、岡山、長崎でもこれに続き、現在59名が集団訴訟後も新規に提訴して、司法による解決を求めている。
5 国が、21万余の被爆者の命ある内に、原子爆弾による被害救済の責任を果たすことこそ、地上から核兵器をなくすという人類の取るべき道を進めることであり、同じ放射線被害を受けた原発被害者の真の救済につながるものである。
以上