神戸大学教授の山内知也氏による、「瓦礫の受け入れに反対する理由]

すべては「気づき」様のブログよりhttp://sekaitabi.com/yamauchi.html
 
神戸大学教授の山内知也氏による、「瓦礫の受け入れに反対する理由」見解です。
残念ながら、元ソースが削除されてしまいましたので、残っている内容のコピーをここに貼付します。こちら木下さんのブログのコメントにも同内容の記載があります。

放射能を拡散・移動させない

放射能の管理については拡散させないこと、飛散させないことが基本的に重要である。 したがって、現在瓦礫のある地域から他の地域に放射能で汚染された瓦礫を移動させるべきではない。

②復旧・復興のための予算は被災地が使う。

瓦礫を処理する仮定で被災した地元に雇用と街づくりを進める必要がある。大阪や他の被災地でない地域で瓦礫を処理するにしても予算が必要となる。
復旧・復興のための予算は地元で使うべきであり、瓦礫を処理するバグ・フィルターのみならず、ヘパ・フィルター等のセシウム遮断性に優れた機能をもった施設を地元に建設することが望ましい。その建設において、また運用において雇用を確保する手段とするべきである。
焼却施設に発電設備を備えると、瓦礫の処理が終わっても、東 北の豊かな森林の間伐材などを利用した、バイオタイプの発電所が造れることになる。復旧・復興を焦る必要はない、時間をかけて、美しい東北を確実に取り戻すことが重要である。

放射能が焼却施設に濃縮し、外部にも飛散する。

焼却施設からのセシウムの放出に関して計測時間や試料の採取時間が短すぎる結果、検出限界以下 という報告が出ているが、ここには大きな問題がある。ゴミ焼却施設からの排は時間当たりにして数万立方メートルから数十万立方メートルにもなる。
放射能管理区域からの排気中にはセシウム137だと立方メートル当たり30Bqという基準があるが、この基準を守っても総量で非常に大きな量のセ シウムが外部に放出されることになる。
検出限界が立方メートル当たり0.1Bqだとしても、排気量が大きいので相当量のセシウムが外部に出る。
燃焼させるとセシウムは飛灰とともに飛び出し、施設の低温部に集まる。施設内のセシウム濃度が高くなり、長時間の後には、管理区域として扱わなければならないようなレベルに到達すると見込まれる(関東地方の多くの焼却施設がこのような状態になっている)。
バグフィルターがあっても内部の濃度がどんどん高くなるので外部に出る量も増 えることになる。これは短時間の燃焼の調査では評価できない。

④放出放射能量について

フィルターが99.9%の除去能力があると仮定する。瓦礫を100トン処理するとし、瓦礫に100Bq/kgのセシウムが含まれているとする。100トンの瓦礫に含まれるセシウムは 10,000,000Bqである。
99.9%除去できるとすれば、外部に出る量は100,000Bqになるように思えるが、フィルターの通過前面と通過後面のセシウム濃度の比率が99.9対0.1になっているのだとすれば、前面のセシウム濃度 がどんどん高くなっていく場合には話は単純ではなくなる。
さらに多くのセシウムが放出されることになる。

⑤施設の汚染

放射能を利用する仕様になっていないゴミ焼却施設が汚染し、解体時に除染する必要性が出てくる が、それにどの程度の労力と予算が必要になるかについて考えられていない。

⑥低線量内部被曝の危険性は高い

低線量の内部被曝の危険性は、広島・長崎の調査にもとずいた国際放射線防護委員会のモデルでは 正しく理解できない。このことは旧ソ連諸国において確認されており、ベラルーシでは事故前の水準から40%増加している。
スウェーデンで取り組まれた百万人を対象にした疫学調査では、セシウム137について平方メートル当たり100kBqというレベルの地域で生活するとガンの発症率が10%高くなることが示されている。
これはセシウム 137 からの年間の外部被曝が 3.4mSv程度であるような 汚染地帯であり、福島各地よりも低レベルである。このような最近の疫学調査チェルノブイリの被害を受けた欧州各国では受け入れられているが、日本の放射線影響の専門家は非科学的だと決めつけるのみで事実を見ようとしていない。
幸いにして汚染レベルが低かった関西地方を放射能から守ることは日本全体にとって重要である。
 

極めて論理的に、「なぜ瓦礫を受け入れてはいけないのか」ということを丁寧に説明してくださっています。
対して、国・環境省は「絆」「被災地を助ける」などと感情論でしかものを言っていません。
被災地は自分たちで処理したいと言っているのに、それを阻止しているのが国だという事実がありながら・・。