エイプリルフールの日に・・・

昨日は4月1日だったが、この日になると思い出す長男のウソがある。
 
エイプリルフールのように公然と人をかつげる日、
ひょうきんな長男は「待ってました!」とばかりに、あの手この手でウソを考える。
 
小さいときから、
「お母さん、大変!ネス湖ネッシーが現れた!」とか
「つちの子が見つかった!」とか
・・誰も信じないようなウソをわざわざ言いに来た・・(笑)
 
ところが・・
 
7年ほど前の4月1日の晩・・・・まだ九州の大学生であった長男から驚くようなメールが入った。
 
「結婚します。」
 
思わず「今年は趣向が違うなぁ・・。」と思いつつ・・メールを開けたが
 
・・・その真剣な調子に、思わず・・判断が揺らいだ。
 
文面は、今まで彼女と交際していたことを隠していたことについてのお詫びや弁解から始まり、
まだ学生なので、今後どうやって生活設計を建てるか・・
いろいろ考えてみたが、彼女と二人でアルバイトをしながら、つつましく暮らして行こうと決心した・・
最後は、どうか僕たちの決心を快く理解してほしい・・と結んであった。
 
えー、まさか・・??
こんなことを突然言い出すような息子ではない・・。
 
ウソだろう・・・と思いつつも・・・・・あまりに真剣な調子で、せつせつと訴えてくる内容に、
 
騙されやすい母親は、一瞬うろたえた。
 
 
よくよく見ると  
 
最後に「4月1日」と書いてある。
 
・・・・・・  
 
私も、理解ある母親のふりをして、長々とメールを書くことにした。
 
・・・・・お母さんはびっくりしました。
 A子さん、どんな方なの?
 まだお会いしたことないけれど、会うのを楽しみにしています。
はやく一緒に会いに来て下さい。
 当面は生活費が足りないでしょうから、お祝いに少しばかりお金を援助したいです。
・・・そんな申し出も添えて、結構真剣に書いてみた。
 
もちろん最後に  4月1日   母
 
と書くのも忘れなかったが・・・。
 
送信すると、間髪を入れずに・・電話が鳴った。
 
長男からである。
 
「おかん、今日は何の日や?エイプリルフールやで!信じたらあかんやん。」
 
「あ、そうだったね。」と言いながら 「メール、最後まで読んでみた?」とたずねてみた。
 
「・4月1日・・あ、やられた。 こっちがだまされてしもた!
       お金を送るなんて書いてあったから・・・これはいけないと思って慌ててしもた・・・!」
 
 私のは、なかば、かまをかけたメールでもあったのだが、       
「これは大変!」とばかりに、慌ててウソを白状してしまった長男 。
 
正直ほっとしたものの・・・なんと手の込んだウソだろう。
 
母親が信じてしまいそうな文面作るのにも、時間かかったんだろうなぁ・・・。
      
 ちょうど夫を亡くしたばかりで寂しがっている母親を、
        とてつもないウソでびっくりさせようという魂胆・・・、
              ひょうきんな長男一流の気遣いだったかもしれない・・・。
 
そう思ったら・・・ 
    あぁ・・最後まで騙されたふりをしてあげれば良かった・・・と思えた。
 
あの日以降、エイプリルフールの長男のお遊びはなくなった。卒業したのだろう。  
長男の苦心のウソを、自ら白状させてしまったのが、ちょっとだけ悔やまれる母親であった。
 
本物の「結婚します」メールはいつのことだろう。
長男のことだからこんな大事なことも、わざと4月1日に知らせてくるかもしれない。
 
 
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ウソを信じ込ませるには、心情に訴えるのが一番のようだ。
政府のウソにもそれが見える。
細野大臣の絶叫
  「被災地を助けて下さい。5年も10年も被災地の人たちをそのままにするんですか~」。
ところが、東北の首長は言う
  「地元こそが瓦礫を迅速に処理できるし、雇用にも繋がる。地元で時間を掛けて処理したい。」
 
環境省廃棄物対策課調査係長・豊村氏は言う
 「仮置き場に瓦礫が積もっているのを見て、周辺住民はどうやって暮らしていくのか。早く処理をしない   と」
ところが、東北市民は言う
 「ほとんどの仮置き場は(人が住んでいる)街にはありませんよ。仮置き場に行ったことあるんですか?」
政府は、地元の訴えや声を無視して、今日も地元のために」と声を張り上げる。
「被災地は大変な思いで瓦礫処理に取り組んでいます…(中略)…被災地のために力を貸して下さ~い。」
心情に訴えるだけで、なんら科学的根拠は持ちあわせていない
こちらは騙されてはいけない。
ひとたび地域が汚染されれば元に戻すことはできない。