福島県健康調査】 山下副学長のおふれ 「カルテ見せず」「再検査2年後」
田中龍作ジャーナル
【福島県健康調査】 山下副学長のおふれ
「カルテ見せず」「再検査2年後」
2012年6月2日 22:17 http://b.st-hatena.com/images/entry-button/button-only.gif http://parts.blog.livedoor.jp/img/cmn/clip_16_16_w.gif http://static.evernote.com/article-clipper-jp.png
病院で受診したあなたの子供が深刻な病気の予兆を示しているにも拘わらず、診察結果をろくに知らされず、再検査も受けさせてもらえない、としたらどうだろう。
子を持つ親が胸を掻きむしるような事態が福島県で起きている。
問題の中心にいるのは、「Mr.100mSv」こと山下俊一・福島医大副学長だ。
うち386人の子供に結節(しこり)が認められたが、5ミリを超えない場合は、次の検査を受けることができない。次の検査は2年後となる。20ミリ以下の嚢胞(のうほう)も同様の扱いを受ける。
山下副学長から甲状腺学会の医師あてに「おふれ」(写真)が回っているためだ。「保護者からの問い合わせがあっても次回検査まで追加検査の必要はないことを充分に説明するよう」とする内容である。
5ミリ以下の結節と20ミリ以下の嚢胞が発見された子供は13,460人。全体の35・3%にも上る。5・1ミリ以上の結節と20・1ミリ以上の嚢胞は186人(全体の0・5%)となった。こちらは「念のため」とされ2次検査の対象となる。
ある親が福島県保健部に「見せてほしい」と要望したところ「情報開示請求を出すように」と回答された、という。秘密主義もここまでくると尋常ではない。エコー画像やカルテは本人の物であるのに、本人やその親は知ることができないのである。
福島の住民と環境団体は、国会議員を通して事前に17項目の質問を提出していたが、政府の役人が回答したのは、うち2項目(厳密には1・5項目)だけだった。「初期の放射能プルームによるヨウ素などの内部被曝に関する評価は今年度末までには行う」と「福島県の患者調査は今年度には行う方向で検討している」だ。
ほとんどの質問(17項目のうち15項目)については、「国は答える立場にない」「専門的なところは(福島県の)検討委員会で進めている」などとして無回答に終始した。木で鼻をくくったような態度とは、この事である。
「なぜ答えないんだあ?」。会場の怒号はひっきりなしだった。福島県健康調査は山下副学長のデータ取得に供されている、との見方が強い。会場を訪れた福島の人々はそれを激しく憤っているのである。
「高校3年生の息子が検査を受けたら嚢胞が見られる、と言われた。楽観したいけどチェルノブイリの例があるから半年ごとに検査をした方がいい。甲状腺は進行が遅いガン。だいたい皆甲状腺に被曝している。予防原則だから2年後に検査はダメです」。福島市に住む母親の悲痛な訴えは、山下センセイには届かない。
《文・田中龍作/諏訪京》
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