がれき広域処理の合理的根拠なし (青山貞一先生のブログより)

(転載不可なので要点だけ・・)詳しくはこちらでご覧下さい。↑
 
 広域処理量の大幅見直しと31基に及ぶ被災地に設置する仮設焼却炉・溶融炉により「がれきの広域処理」は、もはや根拠がなくなったことが総合調査により判明した。

   ※1 
環境行政改革フォーラム特別調査チーム 
     
 青山貞一代表(環境総合研究所顧問、東京都市大学名誉教授)
      池田こみち副代表(環境総合研究所顧問、元福島大学講師)
      鷹取敦事務局長(環境総合研究所代表取締役、法政大学講師)
      
がれき広域処理問題特設ページ

  ※2 奈須りえ議員調査グループ
      奈須りえ(東京都大田区議会議員)
      大田レディース(東京都大田区の女性調査スタッフ)
      
ブログ:奈須りえ日誌

 根拠とした詳細データを添えた告知は6月9日におこなう予定である。

 ここでは、6月1日に実施した合同調査チームの調査概要を速報する。またYou Tube / USTREAM の動画による第三回目の座談会でも詳報する予定である。 

 以下は合同チームからの速報。

①見直しにより広域処理希望量は大幅に激減

②被災地で全面稼働する31基の仮設焼却炉・溶融炉で処理能力激増!

仙台市分はもともと仙台市自身が処理し広域処理を希望していない

④結論:広域処理はなくても期限内に可燃物のがれき処理は十分可能!

 以上により、本年の7月以降は、がれきの広域処理をしなくても、被災地に仮設する31基の焼却炉・溶融炉によって、当初の期限内に十分、被災地側で処理が可能なことが判明した

 上記はヒヤリング調査結果、仮設の焼却・溶融能力調査、既存の処理能力調査、災害廃棄物量の内訳調査などをもとにしており、来週後半に詳細な報告書とパワーポイント、同PDFをつくり公開する予定である。

◆すでに行われている広域処理の課題について

 環境省は、2年間で1兆数1000億円で被災地における仮設焼却、溶融炉建設、稼働、維持管理、撤去に金を投入するとともに、他方で広域処理に手を挙げた自治体(都道府県、政令指定都市基礎自治体)に補助金交付金の形で湯水のような財政支援をしている可能性が高い。

 自治体へのがれき処理関連の補助率は95%とされており、機材、機器、維持管理、固定費などなどありとあらゆるものが対象となっている実態がある。これらは税金、公金の二重投資であり、環境省は即刻がれき広域処理を停止させなければならないだろう。

 この間、全国各地から呼ばれこの問題で講演会で指摘してきた通り、受け入れを表明している自治体には、まさに、この機に乗じて焼却施設の更新、バグフィルターなどの機材の更新、通常の維持管理費、固定費を国から得ようとしている事例も多くある。

 またがれき広域処理に都道府県や市町村が民間の産廃業者を絡ませ、産廃業者に1トンあたり高額の処理費を支払い最終的に環境省に請求書を出すことが推察される。

 さらに都道府県、政令指定都市基礎自治体の中には自治体が出資した第三セクターで処分場をもっている場合があり、その焼却施設や処分場に1トンあたり通常よりはるかに高額の処分料を自治体が支払い、それを国に請求することが推察される。

 上記の中には、業務の再委託などで地方自治法地方財政法に違反する可能性がある事案も見受けられている。

◆政策提言
 被災地のがれき広域処理の合理的根拠はなく、
 環境省は、即刻、広域処理の停止を宣言すべきである


 以上速報したように、すでに震災がれきの広域処理の根拠はまったくないことが分かった。ここに報告した内容は環境省自身が十分把握しているはずである。


 仮に放射能濃度が低い場合であっても、放射性物質はじめ焼却することで各種汚染物質が発生する可能性が高い災害瓦礫を1000km以上運搬し、住宅地近くの既存の焼却炉・溶融炉で焼却処理することはLCA(ライフサイクルアセスメント)から見ても地球温暖化対策の観点から見ても愚行であると言わざるを得ない。

 日本は先進諸国で最もゴミを燃やし埋め立てるいわゆる「ゴミ焼却主義」大国である。日本のゴミ政策は、何でも燃やして埋める思考停止の施策しかない。このゴミ焼却主義は、巨額の費用がかかり、かつ燃やさなければ出ない多くの種類の有害化学物質により空気と水を汚染する。

◆青山貞一:災害廃棄物広域処理への疑問 岩波書店「科学」,2012年5月号

 もとよりゴミは分別すれば資源であり、カナダノバスコシア州における20年近くに及ぶ社会実験では、燃やして埋める日本的ゴミ処理に比べ、脱
焼却と5Rにより雇用が10倍近く増加したという実証的報告もある。

 巨額の税金、公金を浪費し、放射性物質、有害化学物質、温室効果物質を増やす広域処理は即刻中止しなければならない。その意味で、環境省はいち早く、「撃ち方止め」宣言を行い、がれきの広域処理は不要なことを宣言すべきである。

 全国で受け入れをめぐり紛争が起きており逮捕者、けが人まで出している現状をいち早く終息すべきである。

 また私たちが昨年夏以来、政策提言(以下を参照のこと)しているがれきによる防潮堤、防波堤づくりだが、横浜国大名誉教授の宮脇昭さんの提案についても、環境省はいろいろ揚げ足を取って反対してきたが、私たちの案を受け入れれば、巨額の公金、税金によって仮設の焼却炉をつくる必要もなく、今後の津波にも備えうる防潮堤、防波堤も地元の力で構築でき、一石二鳥、一石三鳥となる!
 
◆青山貞一・池田こみち 復旧・復興提案①がれき処理・防潮堤
◆青山貞一・池田こみち 復旧・復興提案②高台移転