<1>ー支援者による説明ー下地准教授らの不当逮捕抗議記者会見 12/22(文字起こし)

支援者による説明

下地さんの署名活動と嘆願書の呼びかけ人、朴勝俊さんの方からお話
朴勝俊 関西学院大学准教授:

私は下地真樹君と大学院時代、神戸大学の経済学研究科で一緒に勉強した仲間でございます。
彼はその後阪南大学に就職されまして、

組合活動、もちろん研究活動もそうですけれども一生懸命やってあられまして、

私も別の学校で私立大学の組合で活動しておりましたので、

その関係で年に一度ぐらい会うということだったんですけれども、

昨年の東日本大震災福島第一原発事故を契機に

彼は以前から原子力原発というものに批判的な目を向けていたんですけれども、

彼自身が本格的に活動をはじめられまして、

私も原子力に関して批判的な立場からの講演とか、あるいは論文発表だとか、というのを続けてきました。

下地君は本当に正義感の強い人でして、

脱原発」に関する意見・主張・デモなんかも私たちと一緒にやってまいりました。

そして関西電力大飯原発再稼動問題の時も非常に強く反対の意見を述べていたんですけれども、

一番精力的に活動されておられたのが、震災がれき。

放射性物質を含む、あるいは焼却することによって有害物質が発生される

そういう恐れのある東北地方からの震災がれきを広域処理すること
 
関して非常に懸念を持っておられまして、

それが行われた法的手続き、必要性、経済性、安全性、
 
そのいずれの面から見ても、がれきの広域処理というのは正当化できない
 
という立場から、活動をしていました。


大阪市の橋下市長は、震災がれきは,安全とみなして、いち早く受け入れる・・と。

そこに大きな対立がありました。

逮捕から拘留に至るまでの経緯を簡単にわかりやすく説明いたします。

12月9日、日曜日でした。

朝の8時ごろですけれども、下地君の自宅に警官が7人が訪れまして、

そして戸が開きますと、下地君に手錠をかけて連行して行ったと

そしてその後4時間にわたって、家宅捜索を行い

非常に些細なものまで押収をしていったということであります。

下地君はデモを主にやっていたんですけれども、

下地君がひとりでやっているデモというのがありまして、

ひとりで、軽いスピーカーを肩に掛けまして、マイクで替え歌を歌うと。

がれき反対、原発反対の非常に面白い替え歌を歌うという、

街角で歌うという、そういうデモをしていたので、

ですから、その時に使っていたタンバリンなんかも押収をしていったという事です。

その押収品の目録、私自身は逮捕状は見せてもらっていないんですけれども、

押収品の目録に書いてあった罪状

鉄道営業法違反」「威力業務妨害」「不退去」この三つが書かれていました。

しかしこの、12月9日の朝には当然下地君は何もしていない。

むしろ寝ていたんです。

で、何故こういう逮捕が行われたのか?と申しますと、

それは「10月17日にやった抗議行動がけしからんものであった」と、そういう事です。

どういう事か?と言いますと、
 
10月17日には現行犯で逮捕されるという可能性がありますので、

徒のみなさんは警官とはぶつかることの無いよう、みんなで固まって安全に移動しましょう。というような呼びかけをしながら、駅の構内を通り過ぎて行った。

それが、鉄道営業法違反と、威力業務妨害と不退去の罪に当たる。ということなんですね。

で、逮捕された次の日12月10日、

検察が、下地君を10日間拘留したいと、「勾留請求」をした訳ですけれども、

いったんは裁判所がこれを却下しました。

これに対して検察が準抗告を行い、別の裁判官が拘留を認めるという形で拘留が行われました。

12月16日に、長谷川さんが中心となりまして、記者会見がいったん行われたんですけれども、12月18日に「勾留理由開示公判」というのが行われまして、

そこに下地君が出てこられて、沢山支援者の方々が集まったんです。

でも部屋には入りきれない。
 
沢山の人達が聞いている廊下にまで聞こえる大きな声で、

「いかにこれが不当な逮捕であるか」というような、そういう陳述を行っていました。

しかしながら12月19日は拘留の延長が決まってしまい、

20日間プラスアルファの拘留が行われているという事であります。

これが逮捕から拘留に至るところの説明でした。

長谷川:

それで、この呼びかけ人の何名かで始めた署名ですけれども、

現在始めてから約1週間で8000筆を超えました。

呼びかけ人も主に大学研究者の方にやっていただいているんですが、

次々に申し出がありまして、現在92名となっております。

に学長、そして副学長の先生方に直接手渡しをしております。

これも研究者の方を中心に、その時に56名の賛同人の名簿とともに

第一次集約として阪南大学側に提出をしております。

石埼学 龍谷大学

10月17日に憲法研究者の声明を出しました、メンバーの一人の石埼学と申します。

私たちは今回の事件をネットや産経新聞の報道などで知りまして、正直びっくりしまして、

「こんなことで逮捕されるのか」というのが正直な印象です。

いくつか簡単に説明しますと、

まず、下地先生達3名で行った街頭での宣伝活動であるとか、コンコースの通り抜けであるとかは、ごく日常的に見られる表現活動で
私もそういう事をやった事が何度かあります。

、「威力業務妨害罪」や「不退去罪」や「鉄道営業法違反」が成立するとは

考えにくい事例だという事なんですね。

先ず一点にちょっと特徴的なのが、

威力業務妨害」が付いているという事なんですね。

今まで、駅頭での宣伝やさまざまな抗議活動で、角材を持っていたら別ですけれど、

そうではないもので「威力業務妨害罪」で検挙されたというような事例はないと思うんですね。

一つ一つの行動を見ていくと、
下地先生の行動も、別途にビラを配っていた人の行動も、あるいは駅を通り抜けようとした際に、駅長に制止されたから抗議したという行動もあるように聞いていますが、コンコースを通り抜けたという行動も、一つ一つをバラバラに見ると、何ら罪に問われるところはないんですね。

捜査機関は宣伝活動とそこからコンコースを通過していく1時間半ぐらいの行動全体を捉えて、「威力」と考えているんではないかと分析しています。

日本国憲法は21条1項で集会の自由だとか結社の自由

人が集まる自由というのを明文で保証しているんです。

この、人が集まってこれをデモと見るかどうかという議論は捜査機関と私たちとでは違うと思いますけれども、人が集まること自体を危険視するという発想自体が
憲法学者としては許しがたい事なんです。

日本国憲法は「集会の自由」「結社の自由」と「人が集まる自由」を保証している。

だからこれを「威力」と捉えること自体が憲法学の観点から到底認められないという事です。

成澤孝人 信州大学

いま石埼先生が、今回もしJRの敷地であってもという話がありましたけれども、

これをご覧になっていただいたらわかるように、

下地先生は敷地内でやっている訳じゃないんですよね。

http://www.google.co.jp/gwt/x/i?client=twitter&wsc=tb&u=http://blog-imgs-55-origin.fc2.com/k/i/i/kiikochan/20121209190035dcds.jpg&ei=KBbbUMS7N4j1kQXFo4GQCg&whp=013bd7ce8fcc

とすると、これは鉄道営業法で言われているところの、いわゆる鉄道地ではないんですよ。
ということは、これ自身を問題にして、JRの側には退去を要求する権限が無いと思うんですね。

これを見る限りにおいては。

ビラを配っている人がいるかもしれないけど、彼自身は全然そっちには行っていない訳ですから、それで彼が逮捕という意味が全然わからない。

そもそも鉄道側に退去の権限がなければ、業務妨害という事はないわけですよね

さっき石埼さんがおっしゃったように、全体を一体として捉えて、

で、まるで1時間半にわたって、ハンドマイクを持ってデモ行進をしたみたいな、

そういうような事では全然ないということです。

要するに、問題になる移動についてはJR側が、要するに止めたというか、

「移動しないでください」と言ったんだと思うんですね。

だけど、「移動しないでください」という権限が、おそらくJR側には無いんじゃないかな、と、

僕には思われてしょうがないんですけど。

そうすると今回についてはやはり疑わしい逮捕であると、

黙って見ていたら、

「だれしもが同じようになってしまうかもしれない」というそういう危機感で今日参りました。


石川裕一郎 聖学院大学

埼玉県にある聖学院大学憲法の授業をやっています石川と申します。

事件そのものの法的な問題点については、

いま石埼先生と成澤先生からお話がありましてほぼ出つくしていると思います。

私が一つ付け加えるとしますと、この問題、

憲法的に一番問題になるのは今繰り返しお話があったように、

憲法で言うと21条の表現の自由あるいは集会・結社の自由。
 
もうひとつあえて付け加えると、

今回逮捕・拘留の必要があったのかどうか」ということですね。

100歩譲って起訴する必要があるとしても、身柄の拘束をする必要があるだろうか?と。

どう考えても逃げも隠れもしないので、拘束する必要はないわけですし、

証拠を押さえるにしても、これは押収という手続きが別にあるんですね、逮捕しなくても。

押収、家宅捜索はありますので、

最低限の手段で捜査取調べはできるはずなんです。

ですので、100歩譲って捜査機関側に立件する必要があったとしても、

今回の逮捕拘留は必要なのか?

どう考えても無いと思います。

最後にまとめるわけではないんですが、表現の自由を保障するという事は、

権力にとって耳が痛い事を保証しなければいけない。

かなり不自然な事を権力側に要求しているんですね。

そういう自分とは考え方の違う人間が気にくわない事を言っている。

あるいはちょっと不気味な事を言っている。

それだけで取り締まる、あるいはそういう人を抹殺するという事になったら、

そもそも表現の自由を、日本だけに限らず、自由主義、民主主義国家が保証している事の意味が、根本から崩れ去ってしまうんですね、

石埼学:一点補足させていただきますが、

今回の行動は、鉄道営業法にも、威力業務妨害罪にも不退去罪にも私たちは当たらないと思っています。
しかし、百歩譲って、犯罪に該当するとしても、憲法が人権を保証している。
 
なので、仮に何か犯罪に当たるような行為があったからといって、ただちに処罰していいものではない。

成澤孝人:26:09

今までこういう事例って、無かったと思う。
逮捕起訴っていう事が…

それは憲法があって、「簡単にそういう事は出来ない」と思っていたからだと思う
 
最近、そういうふうではなくなってきているところがあってですね、

我々はそれに対して、非常に不安というか、問題を感じております。

その一環の事件かなという気がしています。

朴勝俊:26:36

これは下地君の逮捕に始まった事ではありません。

下地君とずっと一緒に抗議活動をしてきた子どもを連れたお母さんたちとか、

若い人たちとか沢山いたんですね。

その中で、まず10月5日に関電本社前でデモをしていた時に、

下地君のお友達が逮捕されているんです。

彼の前で警察官がわざと転んで、で、「公務執行妨害だ」と、

いわゆる転び攻防。と言われる形で逮捕されています。

また、11月13日に、大阪の此花区でこのがれき焼却に対する説明会がありましたが、この時も仲間が3人逮捕されている。

この間下地君はお友達の救援に全力を注いでいたと、そういう経緯にありますので、

ちょっとその点を押さえておいてください。

つづくーー↓

<2>ー大学側は逮捕の3日前、すでに下地先生が逮捕されることを知っていたー

下地准教授らの不当逮捕抗議記者会見 12/22(文字起こし)

<3>ー「立派な独裁国家、警察国家ですよね、もう完全な」山本太郎・メディア質疑応答ー

下地准教授らの不当逮捕抗議記者会見 12/22(文字起こし)~テレビ局にお願いしよう~

<許されない!>下地先生不当逮捕 

「駅での訴え 犯罪?」東京新聞こちら特報部12/21(書き出し)