儲かったのは誰だ?!【戦争から儲けをなくせ】スメドリー・バトラー著「戦争はペテンだ」 まず資本家、事業家、労組指導者を徴兵せよ。その1

http://enzai.9-11.jp/?p=13917山崎淑子の生き抜くジャーナルより転載
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『War is a Racket(戦争はいかがわしい商売だ)』 スメドリー・バトラー著
国際ジャーナリスト・元桜美林大学教授、吉田健正氏の翻訳、
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戦争はペテンだ─バトラー将軍にみる沖縄と日米地位協定
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戦争は美辞麗句で飾り立てられているが、
「殺したり、逆に殺されたり、血みどろの蛮行」である。
その「蛮行」を国家はなぜ強行しようとするのか。
実のところ、そこに一部の資本家にとっての利益がひそんでいるからだ
そう喝破したのが、米海兵隊の将軍スメドリー・バトラーという軍人なのである。
岩上安身
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戦争はいかがわしい商売だ。
わずかの人が儲け、多くがツケを払う。
 
ものすごく少数の人だけが戦争から膨大な利益を得る。
戦争中に多くの企業は、平時の10倍にのぼる収益を上げた。
 
しかし、最大のツケを払うのは兵隊だ。
青年たちが農場や企業や工場や教室から連れ去られ、軍隊に放り込まれた。
彼らは改造され、作り直され、「回れ右」をさせられ、殺人を当然と教え込まれる
彼らは互いに肩の組みあいをさせられ、群集心理によって完全に改変される。
 
恐ろしさに子守唄を求めて死にゆく者たちのうめき声と叫び声を聞きながら、
誰かを撃ち、自分自身が撃たれ、何日も腹を空かし、泥と冷気と雨のなかで眠る塹壕のなかで、彼らはツケを払ったのだ。
 
彼が、眼や足を失い、あるいは心に傷を負って帰宅すると、家族も同じように、あるいは彼以上に苦しむ。
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【いかがわしい商売をつぶす方法】
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若者たちを徴兵する1カ月まえに、資本家、事業家、労組指導者を徴兵しなければならない。
 これらの企業で働くすべての従業員、社長、経営幹部、部長、課長たち、すべての銀行家たちにも、同じ給料を払ったらよい。
銀行、投機家、武器メーカー、造船会社、航空機メーカー、戦時に収益をもたらす、その他もろもろのものを製造する企業の役員たち、部長たち、強力な経営幹部たちを徴兵せよそして、塹壕で若者たちが得ているのと同じ月30ドルを支払ったらよい。
 そうだ。あらゆる将軍、提督、将校、政治家、官僚たち──この国のすべての人は、塹壕にいる兵士に支払われる月給以上の給料をもらってはならない。
 もしも戦争交渉に関して秘密が禁止されていれば
もしも報道機関がこの会議に招かれていれば、
もしも会議の模様がラジオで中継されていたならば、
米国が大戦に参加することは絶対になかっただろう
 
しかし、戦争に関するほかのすべての会議と同じように、この会議も厳しい秘密に隠されて行われた。
そして、若者たちは、「民主主義にとって安全な世界にするための戦争」とか「すべての戦争を終わらせるための戦争」だと言われて、戦場に送られたのだ。
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◆「インディペンデンス・ウェブ・ジャーナル」  
2013/1/16
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【引用開始】
いずれサイトにのるだろうが、非常に重要な内容なのでここでも紹介したい・・・略・・・
 
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         岩上安身のIWJ特報!
     米国海兵隊の英雄スメドリー・バトラー将軍の「告発」
~『戦争はいかがわしい商売だ』(前編)
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戦争は美辞麗句で飾り立てられているのが常だ。また、飾られ美化されなければ、憎くもない見知らぬ相手を殺したり、逆に殺されたり、そんなおぞましい血みどろの蛮行を正当化できるものではない。
では、そもそもそんな蛮行を、偽りの修辞で厚化粧を施したりしながらも、国家はなぜ強行しようとするのか。実のところ、そこに一部の資本家にとっての利益がひそんでいるからだ──そう喝破した人物がいる。その人物とは、反戦運動家でも、聖職者でもない。米軍の”殴りこみ部隊”たる海兵隊の将軍として、2度も叙勲の栄誉を受けた(海兵隊史上、2人しかいない)スメドリー・バトラーという軍人なのである。
 
・・・略・・・
 
吉田氏は、1941年沖縄生まれ、ミズーリ大学大学院(ジャーナリズム専攻)修了後、沖縄タイムスAP通信ニューズウィーク誌などの記者、カナダ大使館広報官を経て、1989年から桜美林大学国際学部で教鞭をとり、2006年に退職し、沖縄に戻られた。その後も国際ジャーナリストとして、米国政治・沖縄の問題を中心に執筆活動をされている。現在は病床に伏しておられるとのことだが、今回の転載について、著作権フリーで全文公開することを快く承諾してくださった。この場を借りて深く御礼申し上げたい。
 
・・・略・・・
 
以下、吉田健正氏の翻訳による、スメドリー・バトラー著「戦争はペテンだ」全文を掲載する。
 
 
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もっとも古い悪質な商売
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 戦争はラケット、すなわちいかがわしい商売だ。
 戦争は、おそらくもっとも古く、何にもまして金になり、はっきり言ってもっとも悪質な行為だ。唯一、国際的な広がりをもつ。そして、儲けをドルで、損失を命で勘定する唯一のものだ。
 いかがわしい商売とは、大半の人々にとってはそうは見えないもの、と言ってよい。その実体を知っているのは内部の少数グループだけだ。それは、大勢の人が犠牲を払って、少数の人だけが戦争から膨大な利益を得るのだ。
 
第一次世界大戦では、一握りの人が戦いの儲けに浴した。この戦争〔第一次大戦〕で、少なくとも2万1千人の百万長者や億万長者が新たに誕生した。それだけの人が、所得税申告で多額の利益を報告したというわけだ。
 ところで、これら百万長者のうち何人がライフルを担いだだろうか。何人が塹壕を掘っただろうか。ねずみが走り回る地下壕でひもじい思いをするのがどういうものか、何人が知っていようか。銃弾や散弾や機関銃弾をよけながら、恐ろしい、寝られぬ夜を、何人が過ごしただろうか。敵が突く銃剣を何人がかわしただろうか。何人が戦闘で負傷し、あるいは殺されただろうか。
 国々は、戦争に勝てば、それによって新たな領土を獲得する。単に奪い取るだけだ。この新しい領土は、戦血から金儲けをした同じ少数の連中が利用する。ツケを払うのは一般大衆だ
 ツケって?
 それは恐ろしい計算になる。新しく建てられる墓石。めちゃくちゃになった遺体。粉々にされた心。失われた望みと家庭。経済的な不安定。憂うつと、それに伴う苦痛。何世代にわたって人々を悩ませ続ける税金。
 
長い間、兵士として、戦争はいかがわしい商売だ、と私は疑ってはいた。
しかし、退役して民間人になるまで、そのことをきちんと認識していなかった。
世界的に戦雲が近づいている今〔1933年〕、私はそのことに向きあい、声を上げなければならない。
 
 
・・・略・・・
 
 儲かったのは誰だ
 (第一次)世界大戦は、わが国の参加が短期間〔1914~18〕であったにもかかわらず、米国は520億ドルもの費用がかかった。これは、つまり、米国の男、女、子どもの一人一人に、400ドル〔現在の日本円で約160万円〕もかかった、ということだ。しかも、負債はまだ返済していない。今返済中であるが、われわれの子どもたちも払い続けることになろう。その子どもたちもだ。
 
米国の企業の利潤は、通常、6パーセント、8パーセント、10パーセント、あるいはときには12パーセントといったところだ。
ところが、戦時の利潤ときたら、なんと、20パーセント、60パーセント、100パーセント、300パーセント、ときには1800パーセントにまで跳ね上がる。まさに青天井だ。商売に限度はない。アンクル・サム〔米国政府。United States=U.S.をUncle Samと言い換えたもの〕には金がある。それを利用しようじゃないか。
 もちろん、戦時にこんなあからさまな言い方はしない。愛国心に訴えるとか、「本腰を入れてかかろう」といったスピーチに化粧して盛り込むのだ。そして、一方では、利潤は天井知らずに跳ね上がり、まんまと誰かのポケットに入る、という仕組みだ。いくつか実例を挙げよう。
 
たとえば、爆薬メーカーのデュポン(※注13)。その代表の一人が、上院委員会で、デュポンの爆薬によって戦争に勝ったとか、民主主義のために世界を救ったとか、と証言したのを覚えているだろう。第一次大戦で、この企業はどういう成果を上げたのだろうか。1910年から14年までの同社の平均収益は年間600万ドルであった。それほど大きくはないが、デュポンとしてはこれでうまくやっていけた。それでは、1914年から18年までの戦時中の平均利潤を見てみよう。なんと、年間5千800万ドルの利潤をあげている。通常の10倍近くというわけだ。通常でさえ、結構いい利潤をあげていたのに、それが950パーセント以上も増えたのだ。
 
愛国的に鉄道やガーダー(桁)や橋の製造を棚上げして、戦需品の製造に切り替えた小さな鉄鋼会社の場合はどうだろうか。1910年から14年までのベスレヘム鉄鋼(※注14)の年間利潤は平均600万ドルであった。
そして戦争がやってきた。同社は忠誠なる市民と同じく、ただちに武器製造に取り組んだ。1914年から18年までの利潤は年間4千900万ドルに達したのである。
 
ユナイテッド・ステーツ・スティール(※注15)はどうだったか。戦争前の5年間における同社の利益は、年間1億500万ドルであった。それだけでもたいしたものだ。そして戦争がやってきた。利潤はアップ。1914年から18年までの平均収益は年間2億4千万ドル。悪くない。
 これは鉄鋼や爆薬からの利潤の一部だ。ほかにもある。たとえば銅。戦時にはこれもいい商売になる。
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ツケを払うのは誰だ
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 あの20パーセント、100パーセント、300パーセント、1千500パーセント、1千800パーセントというどでかい収益は、誰が負担するのだろうか。われわれみんなだ。そう、税金で。われわれが100ドル〔約40万円〕で自由公債〔米国政府が第一次大戦中に発行した証券〕を買い、銀行に84ドルあるいは86ドルで売り返したときに、われわれは銀行にそれだけ稼がせた。
 
 
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