守田敏也さん講演書き起こし(1)「原発事故から3年 広がる放射能被害と市民測定所の役割」

3月30日、奈良市放射能測定所は設立一周年を迎え、記念セレモニー に、
世界に向けて行動、発信されているフリー・ジャーナリスト守田敏也さんの講演がありました。守田さんはブログ「明日に向かって」も書かれています。
私(みみ)も聴きたかった‥という要望に応えて、測定所のスタッフふたさんがさっそく1間半の熱い講演の文字おこしをしてくださいました。
みなさま。どうぞ、一緒に読んで、感動を共にしてください。

原発事故から3年 広がる放射能被害と市民測定所の役割
チェルノブイリとフクシマをむすんで〜」

【トルコ政府によるデモ隊の弾圧に抗議して 】
3月11日にトルコのシノップの街で講演をしたのですが、そこで知ったのは、トルコ政府が民衆運動に激しい弾圧を行ってきたことでした。どう、激しいのか?というと、何かあるとすぐデモ隊にガス銃を撃ち込むのです。ガス銃の乱れ撃ちがされるのです。
いつだったかは正確には覚えていないのですが、数ヶ月前ぐらいか、イスタンブールの町の中の公園かなにかが公共の広場として使われていたことに対して、政府が何かの構造物を作って、民衆の集会が開けないようにしようとしたことがありました。これに反対する人々がその場に多集まり、最終的には立てこもって、警官隊と攻防戦になったのですね。
トルコは、インターネットの規制も厳しいのです。Twitterが禁止になっていました。(注、Twitterは4月初めに裁判所の勧告を受けて解禁された)どうもYOUTUBEも禁止されているようです。そういう状況で、この攻防の時も携帯電話なんかもカットされてしまいました。そんな中でもFacebookだけは生きていたらしいのですが、実際にドイツの側でトルコの情報をリアルタイムでキャッチしていた人に聞いたのですけれども、凄かったそうです。「今、どこどこ方面からガス銃の集中攻撃を受けていて、友達が何人倒れた。ここに救急車を回してくれ」とか言う情報がFacebookでブワーッと上がっていたのだそうです。
そういう騒乱状態の中で、たまたまそこに買い物に来ていた10歳の男の子が、ガス銃の直撃弾を受けたのです。頭に当たって、昏睡状態になって、結局その子は亡くなってしまった。それがちょうど僕が行ったときだったのです。
だから、講演させていただいた後に、街の中心部で抗議のデモがあるというので、その中に出て行きました。若者がたくさん集まっていて「虐殺を許すな」と叫びながら凛々しく歩くのです。もちろん僕も参加しました。
なんというか、トルコのデモはとても熱い。政府の強権的な弾圧がある中でも、民衆運動がいろんな形で行われていて、民主主義的な権利を守ろうと頑張っている。その中に僕も参加させていただいて一緒に街を歩いたわけですが、心が昂ぶりましたね。
【旅を通して感じたこと 〜Power to the People! 〜】
ただ旅全体を通して言えることは何かというと、それはもう、本当にものすごくたくさんのヨーロッパやトルコの方と知り合って、交わって、それで僕が何を感じたことを、一言であらわせば、「世界はどこもそんなに変わらない」ということでした。
出会った人たちはここにいるみなさんと同じような気持ちで、放射能の危険性をなんとかしなくてはいけないと思っているし、同時に、やっぱり平和を愛していて、人が争うことをなんとかして超えていきたいと、そういうふうにシンプルに発想しています。なおかつそのためには民衆がもっと力を持って、頑張っていくことが大事なんだということを、ピュアに思っている方たちがどこに行っても多かったのですよ。
僕は今年の初めからずっと、Power to the People !という言葉を使っているのですけれど、講演でPower to the People! と言うと、どこでも爆発的に受けるのです。だから、この言葉はもう世界の民衆のひとつの合言葉なのではないかと思うのですね。民衆こそが、力を持つことによって、この混沌とした世界を超えていくことが問われている。そう思ってる人がたくさんいるということだと思うのです。
まだ自分の中で未整理なのですけども、今日はそのことを後半でもう少し詳しく話したいと思います。ベラルーシに行って、いろいろと印象的なことが多かったので、その話をしたいと思います。
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ここで旅の振り返りをいったん締めて、次回は
「市民放射能測定所の役割」について語ってくださいます。