誤報より悪質な意図的な情報操作

誤報より悪質な意図的な情報操作

きょう9月25日の毎日新聞が一面で大きく書いた。
日本政府が求めていたニューヨークでの日露外相会談が、ロシア側の拒否で見送られることになった、と。
プーチン大統領だけが頼りの「安倍片思い外交」の息の根が止められた瞬間だ。
これえほどの外交失態はない。
これまで散々喧伝してきた安倍・プーチンの個人的信頼関係は何だったのか。
森元首相の親書外交は何だったのか。
安倍首相はプーチン大統領と電話会談をしたばかりではなかったのか。
しかし、私がここで強調したいことはそのことではない。
この毎日新聞の報道はスクープでも何でもないということだ。
メディアなら誰もが気づく事実である。
岸田・ラブロフ外相会談の重要性と期待感について、あれほど大きく報じてきたメディアだ。
だからその会談が行われないとなると、皆が気づくはずだ。
毎日新聞以外のメディアが報じないだけだ。
それを報じると安倍首相の足を引っ張ることになるからだ。
それを報じると安倍首相に怒られるからだ。
同じような事は日中経済協会の訪中団をめぐる報道でも言える。
中国の副首相は訪中団と会って日中経済改善に意欲を示したという。
それは間違いではない。
しかし日中経済関係の改善・強化を望むのは当たり前の事だ。
そして日中経済関係の改善・強化は、政治が介入しなくても民間企業の努力でなんとなる。
今度の訪中団の最大の目的は習近平主席と会って安倍首相との首脳会談の道筋をつけることだった。
しかし中国側は習近平主席はおろか李克強首相との会談に応じなかった。
そして訪中団との会談に応じた汪洋副首相は、領土問題(尖閣問題)と歴史認識問題で安倍首相に釘を刺した。
これを要するに訪中団の成果は何もなかったということだ。
この事を報じることなく、中国側が経済関係強化に前向きな姿勢を示したことをことさら強調して報じる。
これは誤報ではないが都合の悪い意事を報じず、都合の良い事だけを報じる一面的な報道だ。
誤報はいつかはバレル。そして訂正させられる。
しかし真実をそのまま伝えない事は誤報ではない。
誰にも批判されずに人々を誤誘導することができる。
誤報より悪質な意図的な情報操作だ。
安倍政権は、メディアによる国民の誤誘導によってのみ、ここまでなんとか持ちこたえてきたという動かぬ証拠である。
メディアが本当の事を伝えていたなら安倍政権はとっくに終わっていたに違いない(了
2003年、当時の小泉首相に「米国のイラク攻撃を支持してはいけない」と進言して外務省を解雇された反骨の元外交官。以来インターネットを中心に評論活動をはじめ、反権力、平和外交、脱官僚支配、判官びいきの立場に立って、メディアが書かない真実を発信しています。主な著書に「さらば外務省!」(講談社)、「さらば日米同盟!」(講談社)、「アメリカの不正義」(展望社)、「マンデラ南アフリカ」(展望社)。