戦闘行為に巻き込まれなかったらいいじゃないか…っていうのは、かなりえげつない話じゃないですか?

2015-05-21

戦闘行為に巻き込まれなかったらいいじゃないか…っていうのは、かなりえげつない話じゃないですか

党首討論の記事を読んでて、ぼくがどうにも違和感を感じたコトをまた書いてみます


民主党岡田代表は、政府が用意する「戦争法案」に関して「自衛隊員のリスク(の高まり)」を論じ、

その理由として「(海外での)戦闘に巻き込まれるおそれ」を挙げ、

これに対して、安倍首相は「そのおそれは回避できる」として

自衛隊員のリスクは従来と変わらないのだと、繰り返す…というのが

党首討論の流れでしたけど、ぼくはこのやりとりを読んでて、

これって、「自衛隊員が戦闘に巻き込まれなかったら、それでいいじゃないの」…って話なのかと

素朴な疑問を感じたんです


そやかてね、政府が用意してる戦争法案は

自衛隊が「地理的な制約もなく」、海外で戦闘してるアメリカ軍に対し(非戦闘地域において)

「武器や弾薬(に加えて兵士の)の輸送などもできるようになる」という内容であるところ

いくら戦闘になってない地域とはゆうても、アメリカ軍がどこかの国とドンパチやってる最中に

そのドンパチのすぐ近くまで自衛隊が出ばって、ドンパチの一方当事者であるアメリカに

武器や弾薬あるいはアメリカ軍兵士まで輸送のお手伝いをする…ってことになると

これは、アメリカ軍と戦闘をしてる相手国から見ると、「間接的」という関与を通り越して、

アメリカ軍の兵站を担う行為そのもの」であって

アメリカ軍の武力行使と一体になる」って話になっとるやないですか


で、アメリカ軍の戦闘のお手伝いはするけど、

実際にドンパチはしない(あるいは、ドンパチの場には行かない)なら

自衛隊員の生命身体へのリスクは回避できるからそれでいいじゃない…なんていうのは

それこそ「自分のことしか考えてない話」…でありまして、このような日本政府の説明は

自衛隊アメリカ軍と一体となって武力行使する相手方のこと、

すなわち、自衛隊アメリカ軍への加勢によってより多くの犠牲者が出るであろう相手側のことを

すっかり忘れてるやないか…と、素朴に思います


そもそも集団的自衛権とは、自国が攻撃されたわけでもないのに

自国と密接な関係にある他国(→日本の場合でいえばアメリカなど)が攻撃されたから…という口実で

これに対して攻撃すること…なので、他国の殴り合いに参加する…という、

「攻撃(参加)権」みたいなもんであるところ(→こんなん、ホンマは「自衛権」って言うたらアカンで…)

このような「攻撃権」を認めれば、それこそ、日本の自衛隊員の命のリスクは飛躍的に高まるし

(→それは「日本人の命のリスク」そのものですよ)

日本を攻撃してきたわけでもない国の人々を、「間接的」を通り越して「アメリカ軍と一体になって」

攻撃し殺す…ということになるんです


だから、ぼくはもちろん、自衛隊員の命をそのようなリスクにさらすのは大反対であるし

日本を攻撃してもいない国の人々を殺すことに積極的・直接的に加担することにも大反対です




※参考記事です…

(時時刻刻自衛隊派遣、リスク論戦 党首討論 (朝日:2015年5月21日)

 約1年ぶりとなった党首討論では、後半国会の最大の争点である安全保障法制をめぐる論戦が交わされた。民主党岡田克也代表は、自衛隊の活動拡大に伴う「リスク」を中心に追及。維新の党の松野頼久代表も、慎重審議を求めて国会運営で民主など野党と共闘する姿勢をにじませた。

 ■岡田氏「戦闘巻き込まれる」/首相、回避できると説明

 10年ぶりに党首討論で質問に立った民主党の岡田氏がまず取り上げたのは、戦争中の他国軍への後方支援で、自衛隊の活動範囲が広がることへの懸念だった。

 岡田氏は、恒久法「国際平和支援法案」が成立すれば、「自衛隊の活動範囲は飛躍的に広がる」と指摘。戦闘現場以外であれば、武器や弾薬の輸送などもできるようになることから、「戦闘に巻き込まれるリスクは飛躍的に高まるのではないか」として、自衛隊が攻撃を受ける危険性について国民に説明すべきだと主張した。

 首相は自衛隊の活動地域が「戦闘現場になることがありうる」と認めたが、現場の判断で危険を回避できると強調。「戦闘に巻き込まれることがなるべくないような地域を選ぶ」とも述べ、従来と危険性は変わらないと説明した。

 岡田氏は集団的自衛権の行使にも焦点を当てた。政府は昨年7月の閣議決定で、集団的自衛権を行使できるよう憲法解釈を変更。「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」など「武力行使の新3要件」を満たせば、日本が直接攻撃されていなくても、密接な関係にある他国への武力攻撃があった場合、自衛隊が反撃できるようにした。

 岡田氏は、集団的自衛権を行使することになれば、「相手国の領土、領海、領空に及ぶのは当然ではないか」と追及したが、首相は「一般に海外派兵は認められない」と強調。集団的自衛権の行使によって「日米同盟は、効率的に抑止力を発揮できるようになる」と述べた。

 ただ、海外派兵をめぐっては、安倍内閣が19日に閣議決定した答弁書で、他国の領域での武力行使について、新3要件を満たせば「憲法上の理論としては、許されないわけではない」としている。岡田氏は「米軍の戦いが相手国で行われている時、そこまで行かなければ集団的自衛権は行使できない。そういう場合も当然ありうるというのが本来の解釈だ」と述べ、矛盾していると指摘した。

 さらに、岡田氏が問題視したのは、米国の戦争に巻き込まれることへの懸念だ。岡田氏は、朝鮮半島有事で米国が北朝鮮核兵器を攻撃すれば、「跳ね返りが日本に来ることは考えられる」と指摘。首相が14日の記者会見で「米国の戦争に巻き込まれることは絶対にあり得ない」と断言したことを批判した。

 これに対し、首相は武力行使はあくまでも新3要件が前提であるとし、「日本の意思に反して戦闘活動に巻き込まれていくことはない」と反論した。

 安保関連法案をめぐる国会審議の幕開けとも言えるこの日の党首討論だったが、首相と岡田氏の考え方の違いが際だった。岡田氏は討論後、記者団に「自衛隊のリスクが高まらないはずはない。逃げて答弁しない姿勢が変わらないのは残念だ」と首相を批判。公明党山口那津男代表も記者団に「必ずしもかみ合った議論にはなりきれていなかった」と語った。

 一方、自民党中堅議員からは「リスクが高まらないわけがない。誰だって分かっているが、正直に『リスクが高まる』と言ったら、何国会あっても足りなくなる」との「本音」も漏れた。