腐った編集人は去れ!<本澤二郎の「日本の風景」(1992)

腐った編集人は去れ!<本澤二郎の「日本の風景」(1992)

<沖縄基地NOに1・5万人が国会包囲>
 5月24日のNHK国会討論で中谷防衛相が「中東原油が半年止まれば派兵する」とうそぶいたという発言を本日、共同通信が報じた。確か安倍訪米直後に、共同は米戦争屋の代表格・共和党のマケイン上院議員にインタビューした。彼は「まずは中東で働いてもらいたい」と自衛隊派兵希望を述べた。すかさず自衛隊トップが「わかった」とNHKで全世界に公表したことになる。ワシントンの指令は絶対的なのだ。他方で、沖縄の基地NOの首都圏住民1・5万人が、同日、国会を包囲していた。


<まともな沖縄タイムス
 筆者はこのすばらしい市民の平和運動に拍手した。それを共同の電子版で見つけた。沖縄タイムスが大きく報道したものだ。
 さっそく他の新聞テレビで見つけようと試みた。なんでも取り上げていると信じ込む「ヤフーニュース」にも出ていない。おかしい。いまも反政府運動は朝日も記事にしていないのか。改めて驚いてしまった。
 腐った編集者で新聞テレビが作られている、まぎれもない事実である。政府のお先棒を担ぐ今の言論体制が、これからもずっと続くのであろうか。沖縄タイムスのみ真っ当な新聞といえる状況は、本当にあぶない。
 4月2日の武漢大学で講演をしたさい、日本のメディア研究者が「朝日は違うのではないか」と質問されたばかりである。そう、朝日新聞が健全であれば、なんとか日本も持ちこたえられるのだが、朝日も腐ってしまっている。ここが悔しい。
東京新聞はトップ記事にしたか>
 「東京新聞は違うだろう」と思って、今朝も電子版で確認した。大きなニュースの中にはない。社会記事の細かいところまで開いてみて、ようやく見つけることが出来た。
 1万5000人が国会を包囲することは、デモに無縁な日本では大ニュースである。しかも沖縄基地反対の首都圏民怒りの平和運動である。戦争法が作られている危険極まりない事態の日本である。
 首都圏を代表する東京新聞が、トップ記事で扱って当然の場面である。米CIAの手先とされる読売新聞には期待できないが、当面、日刊ゲンダイと東京しかまともな新聞がないのだから、その期待は大きい。それに応えない東京の編集人も、官邸の毒が回ってしまったのか。
<NHKは報道ゼロ>
 念のため、NHKの電子版を数回、確認してみたが、国会包囲デモはゼロだった。「従軍慰安婦はどこにもあった」と暴言を吐いた三井の落下傘会長にNHK編集人は、完全に屈服させられてしまっている。
 「NHKに金を払う馬鹿は日本を潰している共犯者」との怒りの指摘は、ますます列島全体に拡大するであろう。NHKと契約を交わしている国民は、ほとんどいないはずだから、銀行口座からの自動振込み手続きを止めれば済むことであろう。

 国民への影響はNHKがずば抜けている。ついNHKニュースに目が向いてしまう国民は多い。実は、そこでは巧妙な世論操作報道がなされているのである。新聞テレビにごまかされない国民でないと、健全な政治の受益者になれない。
 日本は憲法学と言論学を重視する政府を構築しないと、本当に同じ過ちを繰り返すことになろう。
<まともな言論誕生の好機>
 政府に媚を売る新聞テレビの日本である。そのことは、まともな言論が生まれる機会なのだ。善良な資産家の投資に期待したい。人間は最後は、いいことをしてこの世から消えたいと願う。悪人も最期は善人になるという。
 平和を願う良心的な言論人と資産家の協力さえあれば、いいものが出来る。ネット新聞でもいい。最近、理解するようになったのだが、自由なネット・ブログにも闇の力がもぐりこんで、彼らが問題をはぐらかしてしまう。それをネトウヨという。最初は何のことやら理解できなかった筆者である。
 そうした輩は、政府・電通の配下に限らない。腐敗した組織・団体も、ネトウヨの真似をして健全な批判を封じる。恥を知れといいたいのだが、これが現実の日本である。
<沖縄NO・原発NO・戦争法NOで「真のメディア」を!>
 日本の政界が、腐りきっていることは以前からである。言論界もそうだ。経済界の腐敗はいうまでもない。そこにへばりつくエコノミスト団体も、腐敗の渦の中で生き抜いている。彼らは、海外の腐敗した研究機関とも合作して、よこしまな情報を人民に垂れ流し続けている。
 いま大事なことは不条理な3悪を退治することが、日本国民の責任である。3悪とは、政府と自民・公明が強行しようとしている戦争法である。列島の放射能汚染の元凶である原発を、なんとしても封じ込めることである。再稼動・原発輸出を食い止めることが、核兵器の拡散防止につながる。
 放置すると、日本核武装が具体化するであろう。3番目が米軍の沖縄基地撤去である。日米同盟を返上しての日本の独立確保である。いまどき外国の属国に甘んじる民族が存在するだろうか。
 この3悪推進勢力が誰なのか。極右・国家主義と背後の財閥である。カルトの神社本庁が立ち上げた極右団体の日本会議と財閥である。三井住友・三菱の傀儡政権が、日本国民を自由自在に操っている。
 健全なメディアは、極右と財閥にメスを入れることが目的である。事のついでだが、創価学会婦人部の覚醒に期待したい。極右支援をやめなさい。
2015年5月25日記(武漢大学客員教授・日本記者クラブ会員)