【安保法案】 安倍官邸の工作失敗 民主・維新、一転共同提出 (田中龍作ジャーナル)
【安保法案】 安倍官邸の工作失敗 民主・維新、一転共同提出
強行採決を誤魔化そうとする安倍官邸の目論見は外れた。
戦争法案の行方を握る「領域警備法案」が、単独提出から、一転、民主と維新の共同提出となったのである。
「民主と維新が共同提出する予定になっていた領域警備法案は、採決をめぐって両党が対立したため、それぞれ単独で提出することになった」 ― けさの新聞・テレビはこう伝えていた。
ところが、今朝になって事態は目まぐるしく動いた。国会議事堂内の民主党事務室前で待機していると、同党の事務方が田中や記者団に「9時の法案提出は延期」と告げた。午前8時50分頃のことだ。
「えっ!?」記者団に どよめき が起きた。トイレに出てきた民主党議員にぶら下がると、「あくまでも共同提出する道を探っている」という。
法案提出という国対事項であるのにもかかわらず、協議は国対抜きとなった。
ナンバー2による協議は30分ほどだっただろうか。党首会談が決まった。
午前10時10分、岡田・松野両代表が常任委員長室に入った。両氏は比較的リラックスした表情で会談に臨んだ。
「徹底した審議を求めることを確認した」「採決については党首会談の中で出なかった」という。
官邸の分断工作が失敗した瞬間だ。安倍首相と大阪維新の橋下最高顧問が、歯噛みする顔が目に浮かんだ。
「関ヶ原の合戦」同様、昼前に大勢は決したのである。
午後2時、維新の馬場国対委員長(大阪17区)が記者会見した。充血しているのか。目が赤い。
記者団からの質問は「採決」に集中した。馬場氏は「(与党が60日ルールを使えないようになる)28日以降に採決をするよう民主党に求めていく」と答えた。
支持率低下に悩む安倍政権は、何としてでも強行採決に対する批判は避けたい。「採決に応じるよう」。橋下最高顧問を通じた維新への働きかけはさらに強まるだろう。
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