内閣リコール法律を加えるべき

内閣リコール法律を加えるべき

 ★今週、国会は安保法制可決へ向け、大詰めを迎える。議論が深まったかどうか、国民の理解を得たかどうかは与党にとって、あまり関係ないようで、与党の数で押し切る。
体裁を整えるためには少数野党の次世代の党と維新の党の採決参加で、議会の“与野党参加の採決”を演出できれば成功。土壇場で維新が日よればそれはそれ。その程度で戦後70年間の自民党が積み上げてきた安全保障議論を台無しにする、自民党崩壊法案でもある同法の可決は結果的に国民に不安を与え、憲法改正もこういった手法で成立させようとする与党の強引さだけが記憶に残ることだろう。
 
そもそも、この法律を21世紀の時代が求めているのだろうか。1990年、湾岸戦争で日本政府は135億ドル(約2兆円弱)を拠出したものの、参加の足跡、オンザブーツの評価が世界からないと悔しがった。その時の思いを25年後に果たそうというのだからおめでたい。加えて内閣が判断するという法的根拠に基づかない仕組みで戦闘行為に及ぼうというのだから、歯止めどころか、時の政権が戦争をしやすくさせる法律になろうとしている。

 ★それならば、国民もこの内閣が適正であるかどうか、絶えずリコールが可能な、国民の審判を選挙以外に仰ぐ方法を加えるべきだろう
その緊張にさらされながら戦争の決断をすることが、国民の持つ抑止力ではないのか。荒唐無稽に思うかもしれないが、既にこの安保法制が荒唐無稽なものだけに、内閣を法律で縛れないならばこのくらいの歯止めはあっていいはずだ。ナチスは当時の各国の手本といわれたワイマール憲法すら無力化し、内閣と総統に権力が集中するように法律を変えていった。すでに国民は「急ぐべきではない」と「理解できない」というシグナルを政府に世論調査という形で突きつけている。それでも強行するならば、内閣を縛る法律を加えるべきだ。(K)※敬称略
2015年7月13日8時40分 日刊スポーツ