平和問い続けた夏 安全保障の転換期 声上げる若者
平和問い続けた夏 安全保障の転換期 声上げる若者
神戸新聞 2015年8月31日
戦後70年の夏。戦争の記憶が遠ざかる一方で、体験を語り継ぐ学生がいた。政府が安全保障の仕組みを大転換しようとする中で、異を唱え、思いを発信する若者がいた。平和とは? 平和を守るためにできることは? 10~20代の3人にこの夏考えたことを聞いた。
【病院職員の橋本銀河さん(29)】
戦争は人間が人間として扱われない、残酷なできごとだ、そしてその上に今の平和があるのだと知りました。家族や友人とすごす日常がどれだけ大切かも実感しました。
安保法案は、武力衝突の連鎖につながりかねない内容だと思います。戦争の悲惨さを訴え続け、流れを変えていきたいです。(聞き手・宮本万里子)
【神戸学院大生の合田七海さん(19)】
自衛隊は国防の最後のとりで。活動の幅を広げる安保法案に、友人から「怖くない?」と聞かれます。審議を見守っていきたいです。
戦争で傷ついたり、災害や貧困に苦しんだり…。みんな望んでそうなるんじゃない。だから放っておけない、平和を自らの手で作っていきたいのです。(聞き手・宮本万里子)
【同大生の川上侑さん(23)】
僕たち日本基督教団神戸教会の青年会は今月、戦時を生きた人の体験を若者が尋ねるという催しを開きました。今の若者は平和への意識が薄れていると言われますが、感受性は強い。何かを感じてくれたら、と思います。
牧師を志してます。災害や原発事故でつらい思いをしたり、貧困にあえいだり、あらぬ差別に苦しむ人たちの心に寄り添う。そのことで争いをなくし、平和を作るのが宗教の役割だと思っています。
戦争は「国対国」という単純なものでないと知りました。身近な人が命を落とし、人間性も奪われます。安保法案は戦争への一歩に感じるから反対。想像力を持つことが平和を守る一歩です。(聞き手・藤村有希子)