来年の参院選で与野党逆転が可能 (五十嵐仁氏)
来年の参院選で与野党逆転が可能 (五十嵐仁氏)
今度の安保法制の審議を通じて、多数を頼んで憲法違反の立法を強行しようとする安倍政権の本性が暴露されました。それに対して学生や学者、女性たちや市民が一斉に立ち上がりました。いずれも自発的に立ち上がった人たちで、組織動員されたのではありませんでした。彼らの心底からの怒りがこの先簡単に消滅するとは思えません。必ず次回の選挙に反映される筈です。
25日には、何を思ったのか安倍首相はTVに出て、「アベノミクスは第2ステージに移る。目指すは1億総活躍社会だ。強い経済・子育て支援・社会保障の新しい3本の矢を放つ。GDP(国内総生産)600兆円を目指す」などと言葉を踊らせましたが、誰もそんなものは相手にせず、翌日の社説は、例えば朝日新聞は「新3本の矢―言葉が踊るむなしさ」、新潟日報は「600兆円目標 躍る言葉にむなしさ募る」、南日本新聞は「新3本の矢-目くらましでは困る」という具合でした(それにしても旧3本の矢は一体どこに飛んで行ったのでしょうか)。
アベノミクスの破綻はもう明らかで、国民の生活は悪化の一途を辿っています。株価はこの先乱高下しながら下がり続けると見られます。
それだけに野党共闘の実現は絶対に必要なのですが・・・
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五十嵐仁の転成仁語 2015年9月27日
もちろん、選挙協力の内容や選挙をめぐる情勢がどうなるかは分かりません。今から予断を持たせることも、楽観論を振りまくことも避ける必要があります。
とはいえ、全く可能性がないというのでは頑張る気持ちも出てこないでしょう。条件が整えば大きな成果を上げることができるというのであれば、その条件を整えるために力を尽くそうという気にもなろうというものです。
そこでは、「第1に、選挙区の定数が変わり……、結果的には自民党にとって不利に、他の政党にとっては有利な形で選挙区の再編がなされ」たこと、「第2に、選挙権が拡大され、18歳以上とな」ったこと、「第3に、国民の政治的覚醒が格段に高ま」ったこと、「第4に、政党支持構造の地殻変動が始まり、政党支持率にも変化が生じ」たこと、「第5に、この間の『戦争法案』反対運動の中で野党間の連携が強まり……、このような経験を生かして、参院選の1人区などでの選挙協力の可能性が出てき」ことなどを指摘し、「これらの変化は、来年の参院選で与党に不利に、野党に有利に働くにちがいありません。安倍政権の暴走を阻止し、政権打倒にまで追い込んでいく運動が、とりもなおさず参院選に向けての準備になっている、それも野党勝利に向けての準備に、という関係が強まっているのではないでしょうか」と指摘しました。
「というわけで、来年の参院選が楽しみです」というのが、この時の私の結論でした。
「この点では、沖縄での衆院選小選挙区の経験に学ぶことが必要でしょう。この間の運動によって培われた経験や信頼関係を、ぜひ来年の参院選での取り組みに活かしていただきたいものです」と、先のブログに書いた私の希望はかなえられる可能性が出てきました。ぜひ、これを実現していただきたいものです。
すでに、戦争法廃止をめざして次の選挙で賛成議員の落選運動が呼びかけられており、もし、明文改憲が争点とされればこのような運動の勢いはさらに増すでしょう。安倍政権打倒をめざした倒閣運動の一環として参院選が位置付けられているということも大きな意味があります。
さらに、参院選前の通常国会では消費税の10%への再増税が問題となり、軽減税率をめぐって自民・公明の選挙協力がギクシャクする可能性が出てきています。間もなく再開されるTPP参加をめぐる閣僚協議が決着すれば、関連法案が審議されるのも来年の通常国会になります。
600兆円のGDPを目標とする経済成長などは実現不可能で、株価は乱高下しながら下がり続けており、アメリカの利上げも今年中には確実と見られています。アベノミクスを支えてきた円安・株高は終わりつつあり、ほとんど指標は「元の木阿弥」になっています。
先に紹介したように、野党が協力すれば1人区で8議席入れ替わる可能性があり、都市型の複数区でも与野党の議席が数議席入れ替われば10議席ほどの入れ替えは可能です。これに加えて、比例代表での議席が与党から野党に5議席入れ替われば「ネジレ」が生ずることになります。
そのような可能性が高くなれば、衆参同時選挙に打って出るかもしれません。そうなれば、戦争法廃止の暫定政府樹立を目指して一気に政権交代を実現するチャンスが訪れることになります。衆院選が無くても、安倍政権を追い詰めて3割以下にまで内閣支持率を低下させれば、安倍首相を辞任に追い込むことができます。
そうならない場合でも、参院選での敗北によって「ネジレ」が生じ、その差が大きなものであれば、いずれ解散・総選挙に追い込まれるでしょう。つまり、野党協力の進展次第では、安倍政権は長く持っても来年7月の参院選までということになります。
これは、「夢物語」かもしれません。しかし、今後の運動の発展や野党の連携と協力、政治情勢いかんでは十分に実現可能な「夢」です。