原発避難「車列100キロに」 高島市民ら実効性を県にただす

2016年4月9日土曜日

原発避難「車列100キロに」 高島市民ら実効性を県にただす

 福井県若狭湾沿岸の原発群で事故が起きた際、高島市から大津市抜ける国道303での避難者の車列は「百キロにも及ぶ」として、高島大津市の市民、京都、大阪府民らでつくる「避難計画を案ずる関西連絡会」が、滋賀県の避難計画の実効性をただす質問書を県に提出しました。
 それに対して、滋賀県原子力防災室の担当者は、道路の拡幅など県としてできることから一つ一つ対応していきたい」と話しているということですが、いつになったら実現するかわからないことでお茶を濁すのではなく、本来は少なくとも道路の拡幅が終了するまでは原発は稼働させないとすべきです。
 
 それにつけても思い出されるのは、川内原発の差し止め即時抗告審の福岡高裁宮崎支部の決定が、住民の避難に関して「避難の実効性や経路確保などの問題が指摘できるとしても、人格権侵害の恐れがあるとは言えない」としたことです。要するに、避難の途中で大渋滞が起こって長時間の被曝をしても、人格権が侵害されたことにならないというものです。
 原発に関連する人格権は、何よりも被曝しない権利に他なりません。それを「人格権侵害の恐れがあるとは言えない」とは、一体何を考えているのでしょうか。あまりに雑な決定ではないのかという疑問が拭えません。
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原発避難「車列100キロに」 高島市民ら再検討要請を県に訴え
中日新聞  2016年4月8日
 福井県内で原発事故が起きた際、同県が県民の避難ルートとして高島市へ抜ける国道303号を新たに指定したのを受け、同市民らでつくる住民グループが七日、「避難者の車列は百キロにも及ぶ」として、滋賀県の避難計画の実効性をただす質問書を県に提出した。県が関係先に再検討を求めるよう訴えた。
 要望したのは、高島や大津市民、京都、大阪府民らでつくる「避難計画を案ずる関西連絡会」(事務局・大阪市)。
 
 福井県危機対策・防災課によると、若狭地域の原発事故の際、国道27号や舞鶴若狭自動車道などを使って西の兵庫県などを目指すパターンがあるが、万一西への避難路が使えなければ、国道303号で南東の高島、大津市を経由するルートを今年二月に追加した。昨年末に国主導で開かれた福井地域原子力防災会議の決定方針に沿ったという。
 
 住民グループによると、福井県嶺南の四市町から想定される避難者は四万六千人。三人に一人が車一台に乗り合わせても車両台数は一万台を超え、車列は百キロになると推計。
 高島市内には避難が必要な可能性のある人は三万人おり、「高島市民も福井県民も迅速に避難できる保証はない」とただした。住民らは、代替とはいえ福井県がルートを追加したこと自体、県内でほとんど知られていないとし「まずは説明を」とも訴えた。
 
 滋賀県原子力防災室の担当者は、本紙の取材に「避難計画を立てる際、福井県からも住民の四割程度が入ってくる想定で試算してある」と述べ、大幅な避難計画の見直しは不要とした。「住民の方々の懸念も理解できるが、福井側から入ってくるなとは言えない。道路の拡幅など県としてできることから一つ一つ対応していきたい」と話す。(井上靖史)

09- 川内原発差し止め即時抗告棄却に抗告せず

 九電川内原発再稼働差し止め仮処分申し立ての即時抗告審で、請求を棄却した福岡高裁決定に対し、原告側は最高裁への特別抗告などの手続きを取らないということです。
 これは最高裁では新たな証拠などが挙がらない限り公判も行われず、形式的な判例違反などがない限り書類上の審理のみで高裁の決定が是認される確率が高いからで、それよりも地裁における本訴に注力した方が良いと考えたものと思われます。
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川内原発差し止め棄却、抗告せず 「本訴訟で誤った考え論破する」
東京新聞 2016年4月8日
 九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の周辺住民らが再稼働差し止めを求めた仮処分申し立ての即時抗告審で、住民側弁護団は8日、請求を棄却した福岡高裁宮崎支部決定に対し、最高裁への特別抗告などの手続きを取らないと明らかにした。
 
 ある弁護団関係者は「最高裁でも退けられた場合、全国の原発差し止め訴訟などの判断に影響が及ぶ可能性がある」と理由を話した。弁護団は「現在、鹿児島地裁で審理中の(差し止めを求めた)本訴訟で高裁支部決定の誤った考え方を論破し尽くしたい」とするコメントを発表した。(共同)