参院選の真の争点は「改憲」だと
参院選の真の争点は「改憲」だと
安倍首相は、もしも参院選で改憲勢力が2/3以上を占めることができれば、間違いなく憲法改正の発議をします。しかし現時点では世論は改憲を支持していないので、改憲については公約でも目立たないように数行載せるだけにして、選挙演説でも口にしないようにしています。
しかしこれまでの例から、選挙に勝てば白紙委任されたかのごとく振る舞うことが明らかなのに、その目的を隠したままで投票日を迎えることは許されません。
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愛媛新聞 2016年06月23日
参院選がきのう公示された。選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられて初の選挙となる。来月10日の投票に向け、これまで以上に分かりやすく、丁寧な論戦を求めたい。
安倍晋三首相による3年半にわたる政権運営に対し、評価を下す選挙だ。戦後の安全保障政策を大きく転換させ、集団的自衛権の行使を認めた安保法制や経済政策の是非など重大な争点が並ぶ。政権選択に直結しなくとも、結果は国の針路を大きく左右する。選択の意思を示す有権者の責任も大きい。
改憲に並々ならぬ意欲を示す首相は1月、「参院選でしっかり訴えていく」と述べ、争点に位置付けていた。ところが選挙が近づくと発言を控えるようになり、自民党の公約でも具体的な項目には一切触れていない。共同通信の先週の世論調査で、安倍首相の下での改憲に反対の人は半数近くの48・2%で、賛成の35・9%を上回った。改憲に否定的な世論の反発を避けようとした「争点隠し」と言わざるを得ない。
首相は19日のインターネット番組で「選挙の結果を受け、どの条文を変えていくか議論を進めていきたい」と表明し、秋の臨時国会から具体論を検討する構えだ。そもそも憲法を変えなければならない根拠を、首相は自らの口でほとんど語っていない。任期中に改憲を目指すというのであれば、まずは最優先で争点にし、「なぜ、今」なのかを説明するのが筋だ。
首相の政治手法こそ問い直さなければならない。これまでの選挙戦で、経済最優先を前面に掲げて多数の議席を獲得し、選挙後は争点にしていなかった政策を「数の力」で押し切った。3年前の参院選後には公約に全くなかった特定秘密保護法を成立させ、2年前の衆院選後には同様に憲法違反と指摘される安保関連法の成立を強行した。選挙に勝てば「白紙委任」されたかのように振る舞うのが安倍政治の本質だろう。
今回も「最大の争点は経済政策だ」と強調する。これまでと同じ手法が繰り返されるのではとの懸念が募る。改憲は「国のかたち」を変えるに等しい。曖昧なまま選挙を終え、「信を得た」として、改憲に突き進むことが許されるはずはない。