「天皇のお気持ち」に対して、「公務を削減すればよい」 と考える政府!?

天皇のご公務の在り方 引き続き考えていくべき と政府!?

 天皇陛下8月8日、高齢などを理由に「次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」と、生前退位への考えを強く示唆するお気持ちをビデオメッセージで表明されました
 
 それに対して安倍首相と菅官房長官がコメントを出しましたが、いずれも「天皇陛下のご公務のあり方などについて」「考えていく」というものでした。
 天皇陛下がお気持ちを表されたことを受けて、国民も海外のメディアもみな「生前退位」のことを話されたと受け止めているのに、政府は、それとはまったく無関係な「公務の削減」に矮小化しようとしているわけです。
 
 天皇陛下は、「公務の削減」などは一言もお話にならずに、「天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます」と述べられ、「摂政を置く」ことについても、「天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けること」になると、否定的な思いを話されました。
 
 政府の対応は驚くべきもので、自分たちの主義主張に反するものであれば、天皇がどんなに苦しまれていてもその「お気持ち」は無視すると言わんばかりです。
 それらはいわば「日本会議」的な想念に由来するもので、海外メディアも政府は「生前退位」に反対の意向だと報じています。この段階において政府がそうした派利・派略に捕らわれるなどということは決して許されません。

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 安倍首相のコメント
ハフィントンニュース 2016年8月8日
本日天皇陛下よりお言葉がありました。私としては天皇陛下ご自身が国民に向けてご発言されたことを重く受け止めています。天皇陛下ご公務のあり方などについては、天皇陛下のご年齢やご公務の負担の現状に鑑みるとき、天皇陛下のご心労に思いをいたし、どのようなことができるのか、しっかり考えて決めなければいけないと思っています
 
 
官房長官 公務の在り方 引き続き考えていくべき
NHK NEWS WEB 2016年8月8日
官房長官は、天皇陛下が、国民にお気持ちを表されたのを受けて、臨時に記者会見し、公務の在り方について憲法の規定を踏まえたうえで、引き続き、考えていくべきものだという認識を示しました。また、天皇陛下のお言葉が憲法に抵触するかどうかについて、「国政に影響を及ぼすようなご発言ではなく、憲法との関係で問題になるというふうには考えていない」と述べました。
この中で、菅官房長官は、「天皇陛下ご公務の在り方については、これまでもご年齢にふさわしいものになるよう必要な見直しを図ってきたところだが、今後とも、憲法上、『天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく』とされていることを踏まえ、引き続き、考えていくべきものだと思っている」と述べました