南北首脳会談:対話こそ平和への道

南北首脳会談。いろんな憶測が流れてはいるが、外交は武器に頼らず、お互いが平和的に解決できるような努力をすべきだと思う。
 
今回の文大統領と金正恩委員長が開いた南北平和への道は、「対話」から始まった。
今後、核の問題にも触れることにはなると思うが、何より、辛抱強く「対話による平和的外交」への道を選択した文大統領の努力とそれに応えた金正恩氏に拍手を贈りたい。

以下は、金正恩氏の冒頭の言葉から・・。日本のマスコミにさんざん煽られた彼のイメージとは違うように感じた。

 金氏「心を合わせて歩めば良い方向に向かうのではないかと思いながら、歩んできた。懸案や関心事について心を開いて話し合い、良い結果を作り出し、未来に進む契機になるように・・・」。

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金正恩 :どんな気持ちで200メートルほどの短い距離を来たか。歩いてみると、とても簡単に分離線(軍事境界線)を越えられ、来ることがなぜ、こんなに大変だったのかと思いました。
 今日のこのような歴史的な席には期待する方も多く、過去のようにどんなによい合意文が出て、その発表があっても、これがきちんと履行されなければ、むしろこのような出会いがあってもいい結果が出なければ、期待を抱いていた方たちをがっかりさせるのではないでしょうか。
 私たちが心構えをしっかりとし、我々が失われた11年の歳月をむだにしないで、随時、会って懸案を解決しながら心を合わせればうまくいくのではないでしょうか。
 こんなことを考えながら、万感の思いで200メートルを歩いてきました。

 今日のこの場を平和繁栄、北南関係の新しい歴史が書かれる出発点とし、信号弾を打ち上げる気持ちでここに来ました。

 今日は関心事について腹を割って話し合い、よい結果を作り出す。我々はかつてのように元に戻ってしまって合意が履行できない結果になるのではなく、心構えをしっかりして、今回を、未来を見通しながら志向性を持って手をつないで歩いていく契機にして、人々の期待にこたえたい。

 今日の晩餐(ばんさん)会のメニューについていろいろ話があるようですが、平壌から苦労しながら平壌冷麺を持ってきました。大統領が気軽に、平壌冷麺を召し上がれるよう遠いところから……遠いと言ったらだめか(笑)。おいしく召し上がってもらえたらいいです。

 虚心に真剣に率直に文大統領と必要な話をし、いい結果を作り出すということを文大統領に申し上げ、記者の皆さんにも申し上げます。

文在寅

今日、私たちの出会いを祝うように天気ものどかです。私たちの韓半島の春が真っ盛りです。韓半島の春、全世界が注目をしています。全世界の目と耳がここ、板門店に集まっています。私たち南北の国民たち、海外同胞たちがかける期待も大きいと思います。それだけに私たち2人の肩の荷が重いと思います。
 金正恩委員長が史上初めて軍事境界線を越えた瞬間、この板門店は分断の象徴ではなく、平和の象徴になりました。
 私たち国民、全世界の期待が大きいなか、今日のこの状況を作り出した金正恩委員長の勇断について、もう一度敬意を表したいです。私たちは今日、対話も大胆に行い、合意を成し遂げ、すべての民族と、平和を望む全世界の人々に大きな贈り物を作ってあげられたらと思います。これまで10年間、できなかった話を十分にできたらと思います。

【解説】笑いながら訂正した金正恩

 金正恩氏の冒頭発言は印象的でした。文在寅氏に「平壌から苦労しながら冷麺を持ってきた。大統領が気軽に、おいしく召しあがったらいいです」と夕食会の話を持ち出しました。
 韓国の人にとって平壌冷麺は憧れの食べ物。今回も韓国側のリクエストで平壌冷麺がメニューに加えられたそうです。そのことを金氏が持ち出し、会場の雰囲気を和ませたわけです。
 さらに金氏は、冷麺を「遠いところから(持ってきた)」と思わず語り、その後で「遠いと言ったらだめか」と笑いながら訂正しました。アドリブです。
 韓国ではよく、お客さんを歓迎する言葉として「遠いところからおいでになり、ありがとうございました」と言います。ですが、同じ民族同士の心理的な近さを強調することが大事だと、話しているうちに気がついたのでしょう。
 平壌から板門店までは約150キロです。
こちらに詳細が掲載されています。