マハティール首相憲法9条の導入を検討

マハティール首相 憲法9条の導入を検討

 
5月9日、マレーシアでの下院選挙で勝利し、15年ぶりに政権に復帰したマハティール首相(93)は28日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、
「世界は国連創設時よりも結束できていないように見える」、「国連創設時は戦争予防について多くの国が考えていたが今の世界は本当の方向性を持っていないように見える」と苦言を呈しました。
 一方、日本の憲法9条について「侵略戦争を認めない日本の憲法にならうことを検討している」と述べ、日本の憲法改正の動きにクギを刺しました。
 
 マハティール氏は8月に訪日して福岡県で高校生を前に演説した際も、「日本には模範とすべき平和憲法がある。マレーシアでも同様の憲法を作りたい」と意欲を示していました。                           (8月9日)「日本の平和憲法 マレーシアにも」とマハティール首相
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世界の結束、国連創設時より劣る                      憲法9条の導入「検討」 マレーシア首相
時事通信 2018年9月29日

 【ニューヨーク時事】マレーシアのマハティール首相(93)は28日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、地域機構が弱体化して未解決の問題もそのままになっていると指摘し「世界は国連創設時よりも結束できていないように見える」と危機感を表明した。5月の総選挙で首相に返り咲いたばかりのマハティール氏は、前回首相を務めていた最後の年である2003年以来の国連総会出席となった。
 
 マハティール氏は、中東の紛争が広く拡散し、パレスチナ問題もいまだ解決しない現状に触れ「国連創設時は戦争予防について多く(の国)が考えていたが(今の)世界は本当の方向性を持っていないように見える」と苦言を述べた。国連が発足した1945年、マハティール氏は20歳だった。
 また、国連安保理などによる制裁を、罪のない人まで巻き込む「現代の包囲攻撃」と表現。米国による対イラン制裁を念頭に「マレーシアがイランと問題がなくても、イランと貿易できない」と批判した。一方で「われわれが大国に制裁をかけたくてもそれは不可能だ」と語り、大国と小国の間に横たわる不平等を訴えた。
 
 一方、日本の憲法9条について「(侵略)戦争を認めない日本の憲法にならうことを検討している」と述べ、マレーシアの憲法改正に意欲を示した。

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国連総会での憲法九条の支持決議を目指す埼玉の市民グループが、マハティール首相に親書ではたらきかけ(小さな市民運動が実る)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018093090070855.html?ref=rank

 【ニューヨーク=赤川肇】マレーシアのマハティール首相(92)は二十八日、日本の改憲の動きについて「もし改憲して戦争することを許容するなら大きな後退だ」と警鐘を鳴らした。国連総会での一般討論演説後の記者会見で答えた。
 かねて評価してきた日本の憲法九条について認識を問われ「(改憲は)平和を促すのではなく、問題解決のために戦争を使う他国に加わることになる」と指摘。九条を「日本が戦争することを許さない憲法」と位置づけ、「私たちも追随することを考えている」と述べた。
 総会の演説でマハティール氏は、テロの続発や米中の貿易戦争を例に「世界は十五年前より悪化している。経済的、社会的、政治的に混乱状態だ」と指摘。パレスチナ問題ではイスラエル不法行為が国際的に看過されているとして、国際社会の関与を呼び掛けた。
 マハティール氏は五月に十五年ぶりに首相に復帰した。親日家として知られる。
◆国連の場で意義を 市民団体働き掛け
 マレーシアのマハティール首相に対しては、埼玉県日高市市民グループ「SA9(九条を支持せよ)キャンペーン」が、国連の場で憲法九条の意義を語ってほしいと働き掛けていた。中心メンバーの在日ドイツ人平和歴史学者クラウス・シルヒトマンさん(74)は本紙の取材に「私たちが望んでいた発言とほぼ同じ内容だ。とても勇気づけられた」とマハティール氏の発言を歓迎した。

 シルヒトマンさんらは、マハティール氏が八月に来日した際、憲法九条に倣って自国の憲法を改正する考えを表明したことに注目。今月、マレーシア首相府に同氏宛ての親書を送り、国連で九条の価値に触れ、各国が憲法に同様の規定を設ける重要性を訴えてほしいと要望していた。
 市民グループは、国連総会での憲法九条の支持決議を目指している。憲法に平和規定を持つ国や非武装国を中心に、在日大使館や国連本部に趣意書を送付。非武装パナマや世界的に影響力があるバチカン市国の在日大使館を訪れ、大使らと意見交換してきた。マハティール氏への働き掛けも、こうした運動の一環だ。

 今後は運動にマハティール氏の発言を取り入れ、賛同の輪を広げていきたい考え。事務局を務める政治学者の大森美紀彦さん(66)は「マハティール氏の発言にはとても感動した。小さな市民運動だが、これからも頑張っていきたい」と話した。 (安藤美由紀)
東京新聞