GDPも偽装「統計をいじる」ことが安倍政権の成長戦略だった

GDPも偽装「統計をいじる」ことが安倍政権の成長戦略だった 

 役所の統計に官邸が介入することが安倍政権の経済成長戦略の一つだったことが、4日開かれた衆院予算委員会小川淳也議員(立民)が指摘し明らかになりました。
 
 2015年9月、安倍首相は「GDP 600兆円」の達成をぶちあげました。それは唐突で驚きでしたが、翌年5月の第9回経済財政諮問会議(議長:安倍首相)の説明資料には、成長戦略として何と「経済統計の改善」が掲げられていました。多分その手法で達成できると考えたのでしょう。
 その方針のもとで官僚たちは、いわば全知全能を傾けてどうすればGDPを統計上押し上げることが出来るのかについて検討しました。そこでは「国際基準」に合致させるという合理性のあるものもありましたが、ありとあらゆる要素が検討されたということです。「帰属家賃」はその成果のひとつですが、そんな「偽装」に官僚の緻密さや狡猾さが発揮されたとは情けない話です。
 
 田中龍作ジャーナルと日刊ゲンダイGDP統計の偽装を取り上げました。
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アベノミクス偽装】 「統計」は安倍政権の成長戦略だった
田中龍作ジャーナル 2019年2月5日
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【写真説明】官僚出身の小川淳也議員は役所と政治の関係をよく知る。4日の衆院予算委員会では徹底的に閣僚たちをやりこめた。「裁判劇」顔負けの迫力だった。=1月31日、衆院16控室 撮影:田中龍作=
 
 役所の統計に官邸が口を出すことが、安倍政権の経済成長戦略の一つだったことが分かった。4日開かれた衆院予算委員会小川淳也議員(立民)が指摘し明らかになった。
 好景気の偽装は2016年5月18日、首相官邸4階の大会議室で開かれた第9回経済財政諮問会議(議長は安倍晋三内閣総理大臣)の説明資料に記されていた(写真参照)。
 
   【写真説明】「経済財政運営と改革の基本方針2016(仮称)=骨太の方針」の第2章「成長と分配の好循環の実現」の中に「新たな有望成長市場」「TPP等に対応した海外の成長市場との連携強化」などと共に「経済統計の改善(改悪)」が掲げられているのである(写真参照)。
 
 数字を都合のいいようにイジッて「成長と分配の好循環」を実現したことにしたい意図がアリアリだ。
 小川議員は「なぜ統計改善(改悪)が成長戦略に必要なんですか?」と政府を質した。
 茂木敏光・経済再生担当大臣は、質問には答えず、意味不明の答弁を続けた。安倍内閣得意の はぐらかし だ。
 
「第2次安倍政権になって凄まじい勢いで統計手法が変えられていった」。小川議員は政府統計を司る総務省の出身だ。「アベノミクス偽装」のため行政がどう歪められていったか、全体像をよく知っている。
 
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   【写真説明】統計改善。「経済財政運営と改革の基本方針2016」(いわゆる骨太の方針)の項目のひとつが「統計改革」だったことを示す目次。
 
 偽装の本丸はGDPだった。自民党総裁に再選された2015年9月、安倍首相は「アベノミクス新三本の矢」として「GDP600兆円」の達成をぶちあげた。マスコミはもて囃した。
 小川議員は、いくつもの段階でGDPがかさ上げされていった とした上で、具体例を次々と挙げた。
 日雇い労働者が統計から除外された。賃金の安い日雇い労働者を計算に入れなければ、その分、賃金が高めに出るのは必定である。
 驚いたことに根本匠厚労大臣は「事実です」とあっさり認めた。
 インターネット通販が好調であれば、それを消費者物価指数に組み入れた。こうして都合のいい物ばかりを集めた数字に3を掛けたのである。
 

 この年(2016年)の12月には首相腹心の山本幸三行政改革担当大臣が臨時議員として経済財政諮問会議に乗り込み「政治主導で各省を動かし統計委員会を強く後押ししなければならない」と檄を飛ばした。事務方は身もすくむ思いだったに違いない。
 こうして官僚たちは国の根幹である統計の改竄に手を染めていった。
 

   

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【写真説明】インターネット通販。2016年12月21日に発表された「統計改革の基本方針」。インターネット通販の価格をよりよく反映すべしとの取組方針が掲げられた。
~終わり~
 
   動 画(小川淳也議員 2月4日衆院予算委質疑)
           ⇒ https://youtu.be/V7Eba1mGC8M (1時間3分51秒)
 
       
勤労統計と手口ソックリ 安倍政権から膨れたGDPのカラク
日刊ゲンダイ 2019年2月5日

「毎月勤労統計」で火がついた「不正統計」問題が、ついにGDPの数字にまで拡大し始めた。以前から、専門家は指摘していたが、4日の国会で、不自然なGDPの伸びが取り上げられた。「勤労統計」同様、アベノミクスが成功しているように装うために計算方法を変えていたのだ。
 
■国会で追及

 2015年9月に自民党総裁に再選された安倍首相はいきなり「GDP600兆円の達成」を掲げた。すると、GDPの算出方法について、15年度から研究開発費なども組み入れる「国際基準」に変更。さらに、新しく項目を追加した。その結果、16年12月に発表された15年度のGDPは、旧基準より31兆円も増えた。
 かさ上げされた31兆円の内訳は、「国際基準」要因が24兆円、「その他追加」が7.5兆円だった。
 きのうの衆院予算委で立憲民主の小川淳也議員は、欧米でも「国際基準」適用で2~3%増えるため、24兆円増は妥当だとしながら、「その他」の7.5兆円について不自然さを指摘、「安倍政権になってうなぎ上りだ」と追及した。
 民主党政権だった12年度の「その他」は0.6兆円プラスだったが、安倍政権発足後に急増。▼13年度4兆円▼14年度5.3兆円▼15年度7.5兆円になった。
 そもそも、「その他」は過去、GDPを押し下げるマイナス要因になるケースが多かったという。実際、94年度から99年度の平均はマイナス約3・8兆円。2000年から12年度はマイナス約0.7兆円だ。
 
安倍政権で膨張のカラク
 ところが、なぜか安倍政権になった途端、どんどんプラスが増えているのである。
 著書「アベノミクスによろしく」(17年10月)で早くからGDPかさ上げ疑惑を指摘してきた明石順平弁護士が言う。
「GDPのかさ上げは、勤労統計の調査方法を変更することで賃金を上振れさせたのと構図がソックリです。賃金の上振れは、安倍首相が『3%賃上げ』の目標を掲げたタイミングで行われています。GDPのかさ上げも安倍首相が『GDP600兆円』を口にしたタイミングで、算出方法が『国際基準』に変更され、『その他』が追加されています」
 
 政府は「その他」の中身について、「防衛装備品」や「不動産仲介手数料」を例示するが、安倍政権発足後、急に「その他」がプラスになるのはどう見ても不自然だ。
「GDPのかさ上げ疑惑について、ようやく国会で取り上げてくれました。『その他』についての政府の説明は腑に落ちません。野党は、安倍政権の統計偽装の本丸ともいえるGDPに切り込んでほしい。真実が明らかになれば、国家ぐるみの粉飾決算ということになり、日本の国際的信用は失墜することになりますが、安倍首相が在任中に、アベノミクスのウミをすべて出し切るべきです」(明石順平氏
 
 安倍首相はきのう、GDPのかさ上げについて、「目標(達成)は、跳躍して進んでいくということだ」と言い繕った。野党は「跳躍」の正体を暴けるか。
投稿者 湯沢 事務局 時刻: 9:00