子どもにとって大切な10の必要(2)


子供にとって大切な10の必要(2)
 
「子供にとって大切な10の必要」というテーマでお話をしています。
最初の4つは、愛情(Affection受容(Acceptance尊敬(Respect、そして承認(Approvalです。

II. 子供は、自分に関心を持ってくれる人を必要としている。(Attention)
A. 関心を持つとは何をすることなんでしょうか?
B. それはまず、相手を理解しようとすることです。
1. 英語でAttentionという単語は、伸ばすとか、広げるという意味のtenseというラテン語からできた言葉だそうです。つまり、attentionとは、人に向かってこちらの注意を広げるとか、関心、興味をもっと広げて、相手を知ろうとすることだ、と言えます。
2. 愛の反対は憎しみではなく、無関心だと言われます。無関心とは、相手に興味・関心を持たないこと。その人の存在を無視します。いないかのようにふるまいます。
3. 今、親が子供の面倒を見ない、ニグレクトとか、育児放棄ということが社会問題となっています。十分な食事を与えない。衣類や下着など、よごれたまま。病気になっても病院に連れて行かない。これらはもちろん極端な例ですが、当然このような中で育つ子供たちは、人格的に大変な傷を負ってしまうことになります。
4. 愛の反対は無関心です。自分以外の人に対して、無関心でいてしまう。
5. 中学生の頃に使っていたノートに、こんな文章が書いてありました。愛することは、理解すること(To love is to know)です。愛することは、相手を知ることから始まるというような意味なのかなあと思います。
C. さらに、相手の興味あることのために、付き合うということではないでしょうか。
1. その人の興味あることにこちらも興味を持とうとするのみならず、時間をかけて、時にはお金をかけて付き合うということ。
2. 子供たちが小さい時に、良く寝る前に絵本を読んであげました。宣恵先生が読む時もありました。私が読む時もありました。1冊読み終わると、大体もう1冊読んでとか、もう1回読んで、と言われます。親は疲れているので、もう終わり、と言って早く寝たかったり、あるいは早く子供を寝かせて、途中になっている仕事にまた取り掛かりたいと思ったりするのですが、しかし、そうやって、子供と一緒の時間を過ごす、子供が好きなことに、子供が欲するだけの時間をかけて親が一緒に過ごすということは、子供にとっては最も豊かな時間帯なんだろうなあと思うんです。
 
D. の体験】小学校低学年から野球が大好きでしたが、5年か6年の頃、春休み中、高校野球の試合をどうしても野球場で見たいと思うようになって、親に連れて行ってほしいとお願いしました。家から野球場までバスと歩きで片道1時間半位かかるんですでも父親がそんなに行きたいなら連れて行ってやるか、と言って、一緒に行ってくれました。今思えば忙しかったと思いますが、父親が野球を見に連れて行ってくれたことは、今でも心が暖かくなる思い出です。なぜいい思い出として、今も忘れないでいるのか親が私に付き合ってくれた。私が関心を持っていることに対して、時間とお金をかけてくれたからです。一緒に野球を見てくれました。その間、本読んだりとかつまらない、退屈な様子を見せることもありませんでした。ちなみに父は、野球ファンと言うわけでない。ましてその日見た高校野球の試合に特別興味があったわけでもありません。父にとって大切だったのは、野球よりも私だったんだと思います。それによって私は満足して帰って来ることができました。そしてその日のことを今も覚えています。
E. 全ての人は、誰かに注目してもらいたいという欲求がある。自分が誰かにとって大切な存在であると思われる必要があります。自分は誰かにとって大切な存在であることを確認したい、そうであると思いたいという欲求がある。
F. 関心を持つとは、相手を理解しようとすること、相手と時間を過ごすこと、そして、自分より「自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい。」ということを、家庭で、職場で実践したいと思います。
 
III. 2つ目に、子供は、自分を安心させてくれる人を必要としている。(Security
A. 安心させるとは:相手の心から恐れを取り除いてあげること。
子供でも大人でも、色んな不安や心配があります。何かに対して、恐れを抱いてしまうことがあります。安心させるとは、そのような不安や心配を受けとめて、少しでも少なくしてあげること。
B. 安心させるとは、何でも言える自由があること。
1. 不安や心配事を話せない環境ではなく、それらを自由に話せる安全な環境をあたえること。何か言ったら、叱られたり、どなられたり、茶化されりするとわかっていると、人は話せなくなります。
2. 先日、テレビのバラエティの番組を見ていたときのことですが、ほんの5分か10分位しか見てないんですが、1人の人が何か意見を言うたびに、それに対して、いちいち間違い探しをして、突っかかる女子アナがいました。ですから、全然会話がかみ合わない。そして、それを見て回りはみんな笑うわけです。バラエティだから笑って終わりですが、しかしそのような会話が家庭で行われたなら、家庭は壊れちゃう。子供の人格は壊れてしまうだろうなと思いました。ちなみに、見ていた私はとてもイライラしました。
3. 話さなきゃ良かった、と思うような経験を続けることによって、子供はだんだんと親に話さなくなります。
C. 安心させるとは:相手の人に、「信頼しても大丈夫だよ」、と思ってもらうこと。
見放さないとか、変わらない、動かない、とわかると、人は信頼でき、そこに安心が生まれます。

 
IIII. 最後に、子供は、自分を慰めてくれる人を必要としている。(Comfort)
A.慰めるとは、、、一緒にいることですギリシャ語で、「パラクレーシス」という言葉だそうですが、これはすぐ隣りに誰かがいることを意味するんです。慰めるとは、どんな言葉を投げかけるか、ということではなく、一緒にいること。誰かと一緒にいる時に、そこに慰めが生まれるということです。
さらに、慰めるとは、力を与えることでもあります
1. 英語でcomfortという単語ですが、Com は「共に」Fort は「要塞、とりで」という意味です。つまり、一緒にいるから、それが力になる。一緒にいるから強くなり、一緒にいる時に、そこが要塞となる、とりでとなる、ということです。
2. 実際問題として、大きな悲しみや、大きな苦しみの中にある人が、本当の解決に至るには時間がかかることがあります。落ち込んでいる人を、無理やりに元気にしようとすることが慰めではありません。苦しんでいる人を、すぐにでもその苦しみから解放してあげようとすることが慰めではありません。慰めとは、その人と一緒にいることであり、その一緒にいるところに、苦難に耐え抜く力が生まれて来るということです。
 
V. 結び:
A. 以上3つの必要:関心、安心、慰め、が満たされていく時、人は、自分のことを大切な存在、価値のある存在なんだと、思えるようになります。
B. そして、自分に対して肯定的な評価が出来るようになり、自尊心が育って行くのです。
C. 関心を寄せあい、安心感を与え、必要なときに慰めを与えることができる、そんな家庭でありたいと心から願います。