MBS報道特別番組「作業員の語る福島第一原発」(2)

その後、この前放送された、小出先生と、東工大の澤田さんの対談が採録されました。

 冷温停止について
 澤田さん冷温停止は2つあり、壊れた燃料が移動し、圧力容器の底か、メルトスルーして格納容器の底にあるのか、見ないと分からないが見えない、それが冷やされているか。圧力容器の温度計を見ると冷えている。今冷やして、除染して、まわっている水の温度を見たら、極端なことにはなっていない。蒸気も出てこない、放射能も減っている。環境への影響は抑えられている。

 小出先生、放射能が環境に出てしまい、被曝する。融けた炉心がどこにあるかが問題で、冷温停止は圧力容器が健全で、水を蓄えられることを言う。しかし圧力容器の底が抜けており、炉心は下に落ちて、格納容器は放射能を閉じ込める最後の防壁で、それが破壊されている可能性があり、確かめられず、測定器もない。分からないのが原子力の問題で、分からないのに安定しているというのは正しくなく、格納容器の底を破っている可能性があれば、その防護が必要。
 
 作業員の現実について
澤田さん、原発推進の根拠は、下請け、9~10次請けがあり、どういう環境で作業しているか聞いている。被ばく管理が甘く、確認できない。作業環境は水素爆発のあと、放射能の付着した瓦礫が散乱し、無人のブルドーザーで片づけられ、現場の作業員の被曝は以前より軽減している。しかしガンマー線の管理がいる。
小出先生、作業員は、チェルノブイリで4号機一つ壊れたものを収束させるために、60~80万と言われる軍人、労働者が集められた。日本でそれだけ集められるか、難しい+3つの原子炉が爆発し、4号機も危機で、この事故をどうやって収束するのか、人類が経験していない。万の単位では足りないのかも知れない。

 澤田さんチェルノブイリは、格納容器はなく、福島では一部破損しているが、チェルノブイリで核暴走して、福島より過酷で、融けた燃料がむき出しになり、それを止めるために事故後1週間に何十万人投入された。そこで数十人死んだ。福島は、融けた燃料の回収はハードルが高いが、ロボットでも出来ない。人を使うと被曝する。どういう形で出来るか、チャレンジで、時間的な余裕が福島にはあり、冷却ループを回して冷やせる。出てくる放射能は下がり、次の策は出来る。

 地震大国でなぜ推進すべきか
澤田さん、福島だけでなく、女川、東海もやられたが、プラントがどうなったが、壊れなかった原子炉を見て、重要なところが壊れなかったところを見たら、これからも成り立つと言うものです。この20年、地震に関する知見が増えて、耐震補強している。断層のデータと照らし合わせて、条件に合わせたものも出来ると言うのです。

小出先生、安全な原発は出来ない。東海原発地震を想定せず作った、みんな同じ。こういう条件で建てるが、時が経つとまずいところが出て、小さな事故から大きな事故まで起こるのです。人間、覚悟がいるが、覚悟して対応できるのではないのです。

 澤田さん地震対策は地震計の感度を上げて、速く冷やせば出来る。韓国は原発を倍に増やす、中国は100基以上作る、日本は積極的に関与すべきと言うのです。
 
小出先生、韓国からも原発を無くすべき、中国も、そのために日本からも撤退と言われました。

 この論議より、作業員がこれからどれだけ被曝するか、分からないのです。
 作業員、ガンになる確率が高い、対処法の書物を読み、紛らわさないとやっていられない。国は、原発で作業したからガンになったと補償してくれるのか、とコメントしていました。
 
別の作業員は、どこにいるか分かると安心。しかし、仕事で行っているとしか言えない。子供がディズニーランドに連れて行ってくれと言う。電話しない。連絡のないこと=無事だから、電話すると、帰りたくなるからと、言われました。
 
放射能は付きまとう。不安はある、原発に行ったからという目で見られるのがつらい。他の仕事をして、原発へ行っていたと分かるとクビになるのがいやであるし、怖い。これを隠して結婚して、その後発覚したら、目に見えないもので、不安が残ると言うのです。自信を持って原発へ行ったと言いたいが、それで何と言われるか、不安なのです。

 水野さん、作業員さんの命を削る覚悟、差別への恐れ、幸せな暮らしを絶たれる人がいるが、彼らなしで、我々の安全は保たれない。
 
これが、原発の今の姿と締めくくられました。