レベル7の事故が起こっても、政府(や電力会社)が原発を推進したい理由

レベル7の事故が起こっても、政府(や電力会社)が原発を推進しようとしています。どうしてなのでしょうか?


A:幾つかの理由があると考えられますが、
大きな理由は原発で利益を得る人がいるからです。

< 電源3 法交付金>

国から交付されて自治体が得をする。
原発を導入すると、導入した自治体に下記の交付金がおりる仕組
みがあります。
○「電源開発促進税法」による交付金
○「特別会計に関する法律」(旧電源開発促進対策特別会計法)
による交付金
○「発電用施設周辺地域整備法」による交付金
財政の逼迫した自治体にとっては、この交付金は莫大な収入とな
り得ます。
< 総括原価方式>
電気事業を拡大すればするほど、電力会社が儲かる。
電力会社の電気料金収入は、「総括原価方式」というルールで決
められています(電気料金=総括原価÷販売電力量)。簡単に言え
ば、電気を生み出すのにかかった必要経費=コスト(減価償却費、
営業費、諸税等含む)に、適正な利潤を加算して電気料金を決めて
よいというルールです。つまり、利潤を増やしたければ、コストま
たはレートベースに含まれるものを増やせばよいというルールにな
っています。他の発電方法より圧倒的に建設コストの高い原子力
電は、推進すればするだけ、料金収入が増える事になります。民間
企業でありながら、一般家庭や企業がコストを電気料金として負担
する事により、倒産しない仕組みです。この仕組みが出来るに至る
には、電力会社が戦時中、国の管理下におかれた歴史と深く関係が
あります。
詳細は「Q:ではなぜ「原発」を採用しているのですか?」
をご参照下さい。

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現在、この「経費」と「レートベース」に含まれる内容に多々問
題がある事が指摘されています。
「レートベース」の「特定投資」には天然ウラン等の資源開発や高
速増殖炉等の研究開発費等が、「収益は期待されないものの電気事
業の適切な運営のために必要かつ有効であると認められる投資」
(1979 年3 月電気事業審議会料金制度部会中間報告)として計上
されています。
また「核燃料」については、「営業費」の中の「燃料費」と「レ
ートベース」の「核燃料資産」の両方に計上されています。「資産」
としてカウントされている核燃料には「装荷中」と「加工中」の燃
料が含まれ、「装荷中燃料」は原子炉装荷より約3 年間資産として
計上されますし、「加工中燃料」には「加工中」「半製品」「完成核
燃料」「再処理核燃料」他が含まれるため、原子炉に装荷されない
段階から使用済燃料となっても再処理して新たな燃料となれば、ま
た「資産」として扱われるという事になります。
このような算定システム自体が、レートベースを肥大化させる基
本的要因となっていると指摘されています。
< 原発推進キャンペーン・広告>
電力会社は地域独占でありながら、本来ならライバルがいないの
で必要ないのに、多額の予算やいわゆる御用学者を使って、マスメ
ディア・媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等)で原発推進のキャ
ンペーンを常に行なっています。
この予算は、広告代理店及び広告媒体に広告費として支払われ、主要なメディア・テレビや大手新聞などを通じて「原発なければ電気が足りない」と宣伝し続けられ、その圧倒的なスポンサー力でキャンペーンは残念ながら成功しています。
このため、今回ほどの事故が起きてもなお、メディアが公平な情報の伝達をする事が事実上難しくなっているのではと推測されます。

< 核技術保持>
日本の核爆弾による被爆の悲劇を経た今も、世界中で戦争が終わり
を告げる事はなく、先進国の各国がいまだ核(爆弾)保有国となっ
ています。日本には「非核三原則」があり、「核兵器をもたず、つ
くらず、もちこませず」という決議があるため、兵器としての核爆
弾はありませんが、核爆弾への転用が可能な技術として「原発」を
運用しているのではないかという見方があります。