戦後70年歴史家からの警告。ジョン・ダワー(マサチューセッツ工科大学教授)

 
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戦後70年歴史家からの警告
ジョン・ダワー(マサチューセッツ工科大学教授)
 
日本は今後どこに向かおうとしているのか・・・(彼の著書「敗北を抱きしめて」を読んでみよう。)
 
1章 戦後70年戦争の美化
(彼の著書「敗北を抱きしめて」を読んでみよう。)
今年はアメリカに取ってもベトナム戦争50周年であり、ベトナム戦争追悼式典が準備されている。しかし、アメリカの右派は愛国的な記憶としてベトナム戦争を美化しようとしている。
同じように、日本の保守派も当時の記憶の美化を図ろうとしている。それは、彼らの犠牲のお陰で日本が守られたという置き替えによって。
 
アメリカの戦没者の慰霊碑にはアメリカ兵の名はありますが、その戦争によって殺した人々の名前は一人も書かれていない。
しかし、沖縄の戦没者慰霊碑は素晴らしいものだと思う。なぜなら、同じ犠牲者として亡くなった全ての名前がある。アメリカ人も、中国人も、韓国人も・・・。
靖国には天皇の為に戦争で亡くなった人々が「英霊」としてまつられ、アメリカでは「英霊」として祀られています。が、その中には非道な残虐な行為をした人々も居るのです。

2章 戦争責任日本とドイツ
戦争責任については、ドイツは戦争の中で行った残虐な行為を忘れてはならないという国民意識が徹底していますが、日本ではそうはなっていない。
私は、日本の天皇陛下サイパン訪問の時の言葉に感銘を受けている。天皇陛下は本当に戦争と平和というものについて真剣に考えられている。ところが、日本の政府を見ていると、とりわけ自民党を見ていると全くそれとは異なる印象を受けている。
村山談話は植民地支配にまで触れて謝罪も行いました。その後、小泉、河野談話も発信されました。
ところが、そのスピードの遅さゆえか、反省意識が薄れて行き、特に最近の右系の著名な政治家や安倍総理自身が、それら(「戦争をしてはならない」という意識の徹底)から更に後退させているようです。特に安倍政権に於いては顕著であり、その事が(国際社会において)ドイツと正反対の印象を与えているのです。実に残念なことです。
戦争における様々な指摘に対して、そんな出来事はなかったとか、南京虐殺は無かったとか、先ずは検討してみたからだとか、改めて検証する必要があるとか・・・・・
3章 沖縄の声を聴け
沖縄の草の根運動を通じた姿勢に心から敬意を払っています。沖縄は歴史上3回も日本政府とアメリカの犠牲になって来ました。
一つは本土防衛のための捨て石にされたと言われる沖縄戦講和条約後も日本の沖縄はアメリカの植民地だった。やっと1972年に復帰したあともアメリカ軍基地はそのままになってきた。あらゆる意味で、沖縄の本当の悲劇は1945年から始まったと言え、それが70年経ってもそのまま押し付けられていると言う事ができるでしょう。私たちは彼ら(沖縄の人々)の話に真摯に耳を傾けるべきです。

4章 「普通の国」の正体
日本の保守派の言う「普通の国」は、憲法を改正し、軍隊を持ち、武器を持ち、戦争に参加できる国を指しています。アメリカは普通の国でしょうか。
アメリカとより緊密に行動することです。
同時多発テロ以来、アメリカでは英語で安全保障国家(監視国家)になったと言っている議員も出て来るなどの異常現象が起こっている。
日本の政治家が「普通の国」という時は(こういった一部の人間との細いパイプを通じての)アメリカの国をモデルに話していると言ってもいいのかも知れない。この傾向は、より秘密主義で国家監視の強い社会形成に発展して行くことを意味していのです。
アメリカの戦争はひどい失敗の歴史でした。ベトナム戦争イラクへの軍事介入・・・「普通の国」が将来にもたらすものは何でしょうか。
これからの戦争はドローン戦争と言われます。安倍政権は、日本のテクノロジーを使えば、ドローン戦争ならできると思っているのです。
ハイテク駆使に将来の希望。これらは、狂った状況と言えます。しかしそれは、アメリカが発信源なのです。
日本は素晴らしい国。戦争を経験した国として世界に平和を発信することが理想であり、アメリカが既に忘れ去った尊いものを持っていると思うのです。
平和憲法」それこそが、日本がかつての戦争によって得られた大きな財産であり、それを生かして行くべきなのです。

終章 日本の若者たちへのメッセージ
日本の伝統と文化は素晴らしい。終戦当時の感情を大切に引き継いで居る筈。
あのような失敗は二度と繰り返してならない。
60年代は、反戦運動から経済における問題に対しても、本当に多くの市民運動を起こしていました。また、日本がベトナム戦争に参加しなかった事も日本にとっては幸せでした。
しかし、日本人は、過去の戦争や歴史に対して真摯に向き合えなかったのです。そして今は、再び過去の過ちの再燃を起こしているようです。
戦後70年・・・「あれは本当に酷い戦争だった」と言う事を忘れようとしています。
いま、かつての日本にあった(平和国家における)理想や夢が、今の日本には失われてしまった事が非常に悲しいのです。
 
そのような事を言っているのでしょう。

さんからの転載