9条改憲にふみこむ首相 戦争法とつじつま合わせ
[政治考] 9条改憲にふみこむ首相 戦争法とつじつま合わせ
しんぶん赤旗 2016年2月9日
安倍晋三首相が国会答弁で、戦力不保持を規定した憲法9条2項の改定=削除に連日言及しています。自ら、昨年9月の戦争法=安保法制の強行で、憲法で権力を縛るという立憲主義を破壊しながら、9条の条文そのものを変えようというのです。
メディアも批判
3日の衆院予算委員会で安倍首相が、7割の憲法学者が自衛隊に違憲の疑いを持っている状況を引き合いに出し、「憲法違反の疑いを持っている状況をなくすべきだ」と9条改憲を発言したことに、全国紙・地方紙が批判の社説を掲げました。
「甘利経済再生相の辞任で内閣支持率低下は避けられないと思っていたが、逆に上昇した。(衆参)ダブル選へ意欲を強めている」「年末の日韓『慰安婦』合意では、右派から突き上げも受けており、それへの対応という面もある」
「2014年の『閣議決定』と昨年の戦争法で、従来の政府見解を覆し、集団的自衛権の行使をはじめ海外での武力行使を認めるさらなる解釈改憲・立法改憲を強行しました。ますます憲法9条とつじつまが合わなくなったのを一挙に打開するため、改憲案では『国防軍』を創設するとまでいっています」
世論とも隔たり
自民党の稲田朋美政調会長は3日の衆院予算委員会で、「(改憲は)やりやすいところからやるという議論もあるが、9条2項などのように本質的な議論をする」と述べています。本質的な議論に向かわざるを得ないという「本音」です。
「憲法学者の7割が自衛隊の存在自体が憲法(9条2項)違反であると解釈している以上、当然、集団的自衛権も憲法違反になっていく」「しかしながら…いまや自衛隊に対する国民の支持はゆるぎない」(安倍首相、3日)
「合憲」論の根拠
こうした政府解釈や国民意識の前提を、戦争法で乱暴に破壊し、自衛隊「合憲」論の“根拠”を自ら壊したのが安倍政権です。だからこそ、保守派も含む広範な国民が立憲主義破壊に対する空前のたたかいに立ちあがっているのです。
世論は9条支持
もともと安倍首相が「憲法解釈の変更」によって海外派兵に突き進んだのは、9条改憲反対の世論の壁があるからです。昨年、NHKが行った「憲法改正」についての世論調査では、憲法9条が「戦後果たした役割」を「評価する」とした人は79%に上りました。その他マスメディアの調査でも「9条改正」に「反対」が6割を超えています(「朝日」15年5月2日)。国民は、9条を支持しています。
「先の総選挙においても憲法改正を目指すことは明確に示している」「(国会発議を)国会議員がしなくていいのか。それは責任の放棄ではないか」
4日 「(9条2項は)変えていくということでお示ししている」「思考停止になってはならない」