検証委員会の報告も菅官房長官の発言もみんなウソ
検証委員会の報告も菅官房長官の発言もみんなウソ
ISによる人質殺害事件で政府対応を検証する検証委員会の報告書が21日に公表され、その内容は「政府の対応に誤りがあったとはいえない」というものでした。しかしそれは後藤さんたちを拘束している主体が何処なのか政府はずっと掴めなかったなどという不自然なものであり、後藤さんの妻が語るところとも全く整合していません。
LITERAによれば後藤さんの妻は、夫が人質となった直後からISからのメールを受け取っており、救出のためのやり取りをする過程で、政府にSOSを発し直接交渉をするように要請したのですが、政府はそれを拒否したということです。
何よりも不思議なことに、検証委員会は検証をまとめるに当たり後藤さんの妻から話を聞こうとはしなかったということです。
何故当事者に最も近い人からの聞き取りをしなかったのでしょうか。それは政府にとって都合の悪い真実が明らかにされることを怖れたという以外には考えられません。このことひとつを見ても、検証委員会が目指したものが何であったのかが分かります。
何故当事者に最も近い人からの聞き取りをしなかったのでしょうか。それは政府にとって都合の悪い真実が明らかにされることを怖れたという以外には考えられません。このことひとつを見ても、検証委員会が目指したものが何であったのかが分かります。
LITERAの記事を紹介します。
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後藤さんの妻が反論!
LITERA 2015年5月25日
「イスラム国」による人質殺害事件で、政府対応を検証する「邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会」の報告書が5月21日に公表された。その内容は予想通り「(政府の対応には)誤りがあったとはいえない」と政府を全面擁護するお手盛り報告書で、一部では批判が噴出している。
報告書では後藤さんの妻への支援について、こう記されている。
「人命を第一に考え、人質を解放するために何が最も効果的な方法かとの観点に立ち、過去の類似の人質事件の経験等も踏まえて、必要な説明・助言を行う等、後藤氏夫人の支援を行った」
「そこについてはですね、ご本人の判断もありますし、そういうなかで警察、外務省、そうしたものは連携して行っていたということです」
「イスラム国」と直接交渉しなかったのは後藤さんの妻の意向で政府はその意思を尊重しただけ。菅官房長官の物言いは、まるで後藤さんの妻にその責任を押し付けているかのようだが、しかし、この菅官房長官の発言は大ウソだった。
後藤さんの妻は、夫が人質となった直後から「イスラム国」からのメールを受け取っており、救出のためのやり取りをしていたのは既に明らかにされているが、その過程で政府へ直接交渉、いわばSOSを発していたにも関わらず、政府はこれを拒否したということだ。
この『報ステ』のコメントは、「交渉過程をよく知る人物」としているものの、実際は妻本人からの“反論”と考えられる。というのも、『報ステ』は翌日にも「後藤さんへのメッセージ」という特集を組んだが、その際、後藤さんの赤坂の事務所での撮影を行っている。事務所の撮影ができたということは、『報ステ』が後藤さんの妻から許可をもらっているということで、だとしたら、反論コメントについても『報ステ』は後藤さんの妻にも事実関係を確認していると考えるべきだろう。
それは、後藤さんの妻への非協力姿勢や責任転換という事実だけではない。
今回の報告書には、ほかにも、「イスラム国」へのメッセージが日本語だけであったことや、常岡浩介氏や中田考氏らが救出に動こうとしたにもかかわらず途中で妨害したことなど、書かれていない日本政府の失態がたくさんある。また、そもそも今回の報告書は有識者会議の報告書という体裁をとっているが、実際に検証しているのは政府という根本的な欠陥もある。
安倍政権はもはや、どんな失政を犯しても頬被りして逃げ切れる体制を築き上げた、といっていいかもしれない。 (伊勢崎馨)