「政府は助けることができたが、助けなかった」のだ

政府検証結果とは逆に「政府は助けることができたが、助けなかった」のだ
   西谷文和氏 晴耕雨読 2015年5月24日
政府から「人質事件の検証」が出た。
 案の定「対応に誤りはなかった」だった。
 水面下でISから「後藤さんを20億円で」と後藤さんの奥さんにメールが来たとき、なぜ交渉しなかったのか?
 仏、独、伊、スペインなどは、水面下で交渉して、人質を取り戻している。
 1人あたり2億数千万円で。
後藤さん1人で20億円というのは確かに高すぎる。
しかし交渉しなければダンピングもできない。
 「ISと直接交渉することはテロに屈したことになる」といいながら「政府は今後も人命を尊重する」と。
 意味不明。
まず何を持って「テロに屈した」ことになるのか、定義もない。
 米軍は空爆で一般市民を巻き添えにしながら、殺戮している。
IS側からすれば、まさにテロだ。
 安倍首相が「米国の空爆もテロも殺人行為。日本は平和外交で、紛争を解決します」などと演説しておけば、あの動画公開はなかっただろう。
ISは明らかに安倍演説で激怒し、動画を公開したのだ。
 動画公開後も、安倍首相はイスラエル国旗の前で「テロには屈しない」と演説した。
アラブ世界を敵に回したかのような映像が、アルジャジーラアルアラビーヤ、BBCなどで流れてしまった。
アラブの友人は、あの演説を悲しんでいた。
72時間以内に英と2+2を行った。
いずれもISを激怒させた
対策本部をヨルダンに置いたのは最悪だ。
トルコなら解決できただろう。
 再三、トルコに置くべきだ、という声を無視してヨルダンに置き続けた。
リシャウィーとの交換交渉になったのは、本部がヨルダンにあったからだ。
トルコなら、後藤さん解放のために、別の人質との交換に応じただろう
①交渉をトルコに頼んで、手数料を支払う。
②トルコは別の人質か。
 手数料の中からなにがしかの金をつけて、iSと交渉。
③人質または一定の金で後藤さんとの交換成立。
こうすれば日本政府はISに直接金を払ったことにならないので、米国への顔も立つ。
この三角トレードしかなかった、と思う。
ちなみに日本とトルコは友好国である。
 安倍首相とエルドアンは何度も親交を温めている。
なぜか?
それは日本がトルコに原発を売るからだ。
エルドアンは非公式であるが、「日本政府が頼んでくれたら、俺が解決に向けて動く」と言っていた。
しかし政府はなぜかトルコに頼まなかった。
 政府検証結果とは逆に「政府は助けることができたが、助けなかった」のだ。
 「政府の不作為」によって、後藤さんは殺されてしまったと言っても、過言ではない。
この検証作業は茶番である。