東芝疑獄・中国でも大きく報道<本澤二郎の「日本の風景」(2060)

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東芝疑獄・中国でも大きく報道<本澤二郎の「日本の風景」(2060)

<7月22日付北京晩報>
 財閥・東芝の信用が、世界最大の消費市場・中国でも失墜した。7月22日付の北京3000万市民の愛読新聞・北京晩報で大きく報じられた。一時は人民日報などの記者を買収して「社会的責任のある東芝」というインチキ報道をさせていた東芝が、とうとう化けの皮をはがされてしまった。中国での暴利目当ての原発開発は不可能である。東電福島原発3号機の核爆発にも蓋してやり過ごそうとしてしてきた東芝に対して、人民は本ブログで再三指摘されて理解してきているはずだ。


<「百年東芝造暇」の大見出し>
 北京晩報はタブロイド版で、日本の日刊ゲンダイに似ているが、ページ数は多い。北京随一の庶民の人気新聞である。
 一面は万理元副総理の死去の報道だが、中面は国際報道など世界の動き、国内の腐敗報道などくまなく伝えている。若者から年寄りまで読まれている。
 この14面トップに、横面の全てを使った大きな写真が載っている。そう3人の東芝首脳がお詫びしている、屈辱的な写真である。中央の人物が粉飾決算という、不正経理事件の首謀者である田中久雄である。
 大見出しが「百年東芝造暇」(暇は人ヘンの暇)である。造暇とは嘘つき・インチキという意味である。「2度と東芝製品を買うな」というメッセージでもあろう。
<異例!日本の経済事件大報道>
 財閥・東芝の正体に、ようやく気付き始めた中国ではないだろうか。外交問題や軍事問題は、中国の新聞テレビは連日、大きく報道している。特に中国脅威論に徹する安倍・自公内閣が発足、改憲軍拡路線を強行するようになって以来、それも際立っている。
 「戦争がいつ起きても不思議ではないくらい、その報道・解説も手厳しい」という感想さえ抱いてしまいそうだ。正直、肩身の狭い日本人である。

 ただ救いは、反戦争法・反安倍の国会包囲デモの拡大である。NHKや日本テレビは、数万人規模、5万人の空前の巨大デモを報道しないものの、中国の国営テレビは真面目に報道してくれる。
 「日本にも戦争反対派が国民の多数」という、まともな報道に安堵することも出来る。これは助かる。
 この安倍・戦争勢力の中核が財閥である、という筆者の情報に多少、理解を示すようになった中国人が増えてきたことも間違いない。東芝疑獄を大きく報じた理由ではないだろうか。
 北京では、左手のオリーブで甘いささやきをする東芝、右手では東京で安倍・改憲軍拡路線を推進している東芝である。そのための政官界工作資金を捻出するための粉飾決算である。
 北京では、とうの昔に大手の新聞テレビの嘘を見抜いているのであろう。ともあれ東芝は、世界最大の消費市場から放逐される運命なのかもしれない。三井住友が救済しようとすればするほど、自らの傷を深くするだけだ。
 血税投入で生き延びた三井住友は、配下の東電にも血税救済を図っているが、これを東芝に当てはめようとしても無駄であろう。
<元特攻隊員の証言に注目>
 中国のテレビが、ここ数日、70年前の神風特攻隊の生き残り組の証言を取り上げて、注目を集めている。
 20歳前後の若者に「死んで来い」と厳命するような、神国・日本軍国主義のカルトに耐えられる現代人はいない。安倍・自公内閣は、中国を利用して国民をそんな地獄へと日本を追い込もうとしている!
 これが、反安倍・反戦争法の大掛かりな国民デモの背景だ。元特攻隊員の証言は、平和を愛する人類に教訓を与えるものである。中国のテレビが繰り返し報道する理由であろう。
<なぜ戦争?(財閥の)資源略奪のため>
 記者の「なぜ侵略戦争なのか」という特攻隊員への質問と、それに率直に答える90代の元戦士の真実の証言に意味があるため、報道するのであろう。何ゆえの天皇国家主義なのか、なにゆえの軍国主義なのか。
 答えは「資源略奪のため」である。誰がそうさせるのか。背後の黒幕は誰なのか。いうまでもない、財閥である。資源略奪で暴利を手にするのは、国民ではない。財閥である。侵略戦争の真犯人は財閥なのだ。
 元特攻隊員の率直なコメントにうなづく中国人は多いはずだ。

 最近になって、三菱はアメリカの元捕虜の強制労働に対して謝罪した。しかし、日本の裁判所はアジアのそれにはずっと拒絶してきている。むろん、財閥も、である。
 だが、風穴が開いて来ている。財閥の横暴に、世界はようやく気付き始めてきた。北京晩報の報道もその表れだとみたい。
2015年7月23日記(武漢大学客員教授上海交通大学研究員・日本記者クラブ会員)