正倉院展を観に行きました。


第68回正倉院展、最終日に滑り込みました。
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平日なので並ぶことも混み合うこともなく、お宝をゆっくり鑑賞することができました。
素敵だなぁ・・と思ったものを図録の写真からご紹介。
今年の目玉は、このペルシャ風の水差し「漆胡瓶」(しっこへい)
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▼胡は、中国より西の国を意味し、この形(鳥の嘴をかたどったような注ぎ口、長く伸びた首、丸く膨らんだ胴部)は、ササン朝ペルシャで流行し、その影響で中国、唐でも作られたため「胡瓶」という。
聖武天皇の遺愛品で、内外とも黒漆が塗り込められていて、精緻な文様も美しい芸術品です。

植物で編んだ美しい箱「白葛の箱」
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これは、あけびの蔓茎とエゴノキを使っているとのこと。他にもイグサや棕櫚のようなもので編まれた丸いかごが展示されていました。今でも見かけそうな美しい籠でした^^

 粉地金銀絵八角長机  (献物用の台)
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▼仏様への捧げものを置いた台。台板は八弁の花をかたどり、6本の脚は葉を表す植物のモチーフ。側面は銀の絵の具で鳥や草花が描かれ、その下には金の絵の具で連珠文。
色合い、デザインとも時代を超えていますね。
美しいものは、時代を越えて美しく、普遍的な価値を感じます。


磁皿 (二彩の碗)
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▼磁皿(じざら)と呼ばれる深めの碗形で、実際は高温で焼かれた磁器ではなく、低温で焼かれた陶器。白と緑の釉薬をかけた二彩の技法で色づけされ、清澄な趣がある。東大寺における法会に使われたものとみられる。

縹地唐草花鳥文夾纈あしぎぬ(はなだじからくさかちょうもんきょうけちのあしぎぬ)舌かみそうな名前ですが、板締め染めの裂(きれ)イメージ 7
▼版画のような優しい味わいが特徴。
江戸時代の屏風に貼られた古裂の一つ。

撥鏤飛翔型(ばちるの飛翔型)  (染め象牙の鳥型飾り)

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象牙に飛ぶ鳥をかたどった装飾品。
実物はとても小さくかわいらしいもので、精緻な技術の高さに驚きました。
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皮帯や、象牙の櫛などの身近な装身具も見ることができました。
革帯は、今もベルトとして使えそうですね。
楽器も単なる楽器でなく、大変手の込んだ芸術品でした
笙(しょう)の笛 
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▼長短17本の竹管を壺と呼ばれる円筒形の部材に並べた楽器
奈良時代の寺院音楽で用いられた。壺の文様も美しい。

美しいものや芸術は心の潤い。たまには、鑑賞の時間も必要ですね

今回は、現代にもあるような身近な物の展示が多く、親しみが感じられました。
皆様のお気に入りはありますか?

最後に・・・この時代はこんなこともしていたようです。
正倉院古文書正集より
賑給(しんごう)…一般の人々に対して、臨時に食料を給付すること
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▼賑給(しんごう)について、ネットで論文を探して見てみると・・
・・・疫病の大流行や飢饉の発生に応じて、速やかに対応を見せる律令政府の姿である。八世紀の賑給は、飢疫民救済の意義を持っていたと考えてもよいのではないだろうか。(藪井真沙美「八世紀における賑給の意義と役割-)
「日本の良き伝統」を叫ぶなら、為政者はこういう福祉の歴史も心に留めてほしいものです。