アレルギーの治療と鈴木富美先生 「健康の基本は食事」

2010年の古い記事ですが、
春先には、花粉症などアレルギー症状が悪化します。
でも、「食生活に気をつける、例えば、砂糖や菓子パンを止めるだけでも症状は良くなります。」
そんなことを言われた昔のことを思い出し、
子供たちがお世話になった鈴木先生の記事を再掲載させていただきます。



肌のかゆみが続き、これは「アレルギー」の症状では?と気がついた。

 

「アレルギー」で、とっさに思い出したのは、鈴木富美先生のこと。

 

今から遡ること24年・・・まだ、生後6,7ヶ月の赤ちゃんを連れて、京都の仁和診療所まで、鈴木先生を訪ねていった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

長男の喘息っぽい咳。

 

次男は、赤ちゃんの肌はきれいなはずなのに、頬はかさかさでひび割れ、耳の下が切れて血がにじんでいる。とろんとした目で、動きも鈍く、言葉も遅い・・。

 

東京の実家からは、脳に障害があるのでは?と何度も言われた。

 

「そんなことないよ。言葉は話せくても、私の言葉をよくわかってくれるもの・・」

 

そうはいっても、ますますひどくなる湿疹の状態があまりに不憫で、
良いお医者さんがいないかと必死で探した。

 

 
皮膚科に行くと、副腎皮質ホルモン系の塗り薬を出されると聞く。

 

この薬は劇的に効くけれど、依存症になると後が怖い。

 

ある大きな病院のアレルギー科では、毎日免疫をつけるための注射をしてくれる・・という。

 

冗談じゃない・・

 

怖い副腎皮質ホルモンに、毎日注射?だなんて、絶対にごめんだ!

 

根本的に原因を突き止めて、対症療法ではなく、
薬や注射に頼らない指導をしてくださる病院はないものかしら??

 

幸運にも、子供のアレルギーにかけては日本一とも思えるような名医との出会いがあって、二人の子供たちのアレルギー症状は、薬も使わず、注射一本打たずに、みるみる良くなった。

 

そのすばらしい先生というのが、京都大学医学部を卒業されて、仁和診療所に勤められていた鈴木富美先生。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

当時、大阪に住んでいた私は、次男をだっこ帯に入れて抱え、4つの長男の手を引きながら、2時間かけて、病院まで連れて行った。

 

病院にはアレルギーで全く毛のない子、肌がじゅくじゅくでかきむしっている子、ただれた皮膚をひっかくので、悪化しないようにと手袋を付けられた赤ちゃん・・など悲惨な状態の子供たちが順番を待っていた。

 

すさまじい形相で、かきむしりながら泣く赤ちゃんや、見るのが気の毒なほどのぼろぼろで変色した皮膚の子供たちを見て、あまりにかわいそうで胸がつぶれそうだった。

 

アレルギーって、こんなにもひどくなるのかとショックでもあったし、

 

うちの子供たちも、こんなふうになっていくのだろうか?と、不安にもなった。
イメージ 1

 

湿疹だらけで、表情も乏しくあまり笑わない・・・治療前の写真

 

でも、鈴木先生のご指導のおかげで、そんな不安はすっかりなくなった。

 

先生は大きな目で子供の顔をじっと見るなり・・・・、

 

「あ、大豆、牛乳、卵のアレルギーがありますね。」と言われた。

 

血液検査で、何に対するアレルギーがあるのかをチェックしてみると、先生の言われたとおりの三大アレルゲンを全て持っていた。

 

「こんな小さな赤ちゃんなら、治療は簡単です。アレルゲンの除去食をしてください。母乳で育てているのですから、お母さんがアレルゲンを摂らない食事をされればいいんですよ。」

 

次男を苦しめていたアレルギーは、なんと私の食べ物のせいであり、
母乳からこの子の体に入って、悪さをしていたのである。

 

そう教わると、本当にこの子に申し訳ない気持ちになった。
母乳は白い血液と言われるが、母乳も食べ物が作るものなのだ。

 

その日から私の食事の内容が変わった。

 

卵、牛乳、大豆を含まない食事・・。

 

大豆は大豆油が良くないので、お豆腐や納豆ぐらいは大丈夫

 

しかし、卵は鶏肉も、魚卵も全てダメ、

 

牛乳も同じく乳製品や牛肉もいけないし、

 

砂糖や油は症状を悪化させるから、摂らないこと・・・。

 

食品添加物や食べすぎにはもちろん気を付ける

 

(私は桶谷式母乳育児で子供を育てたのだが、
面白いことに「良い母乳のための食事」も同じ内容であった)

 

この時の基本の食事は和食。

 

肉も卵も牛乳もとらないので、栄養が偏らないように玄米食に。

 

この基本の食生活で、家族全員が健康になった。

 

なにより、子供の皮膚がみるみるきれいに治っていくのが嬉しかったし、子供の表情までが、まるで違ってきたのには驚いた。

 

治療後の写真。

 

    
イメージ 2

 

   
イメージ 3

 

イメージ 4

よく笑い、目に快活さが加わって、
以前とはまるで別人のような顔つきになった。

 

   


人間は、食べ物で、こんなに表情が変わるものなのか・・と改めて知った。

 

逆に、身体に合わないアレルゲンを与え続けると、身体がぼろぼろになっていく恐ろしさも見た。

 

それは単に顔や皮膚だけの問題でなく、消化器系、循環器系、神経系、・・と全身の病気に発展していくこともあるということも知った。


・・・その後も、鈴木先生のご指導により、小学校前までは、きちんと除去食で通した結果、次男は、身体の中にアレルゲンの抗体ができて、

 

学校給食でも何でも食べられるようになった。

 

しかも嬉しい「おまけ」がついた。
子供たちは二人とも、それ以降、全くの病気知らず、病院のお世話にもならずに、また予防注射などしなくとも、健康に恵まれたことだ。
(二人とも予防注射は受けさせていない)

 

食物というのは食べ方を間違えると怖いが、身体にあったものを食べれば身体を健やかに整えてくれる。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

しかし、子供が治ったからといって、手放しでは喜べない現実もある。

 

アレルギーの子供たちは増え続け、国民の3人に1人は何らかのアレルギーを持っているとか・・。

 

このようなアレルギーの要因を鈴木先生は「化学合成物質による食物環境汚染と大幅な食生活の変化」と考えられている。

 

化学合成物質による食物汚染、添加物、砂糖や油脂たっぷりの食事、食べ過ぎ、ジャンクフード・・・たしかに、こんなものが健康な体を作るとはとても思えない

 

私も何かのアレルギーでは・・?と考えて、仁和診療所に問い合わせてみると、先生はご自分の診療所をお持ちになって、まだお仕事を続けられていることがわかった。

 

*鈴木診療所
電話番号は075-712-7181
京都市左京区下鴨蓼倉町68(下鴨中学校北側)

 

先生は、ご自分の診療所でお変わりなくアレルギーの指導をされていた。

 

私は、アレルゲンの検査で、チタンとニッケルに反応が出た。

 

意外な物質で驚いたが、チタンは多くは、酸化チタンという物質で日焼け止めに含まれているという。そう言われると、このかゆみは、新しい日焼け止めの入ったクリームを使ってからだった。

 

ニッケルは、ステンレスの鍋に食材を長時間入れっぱなしにしておいたりすると溶け出すこと、包丁からも溶けて身体に入ったりするそうだ。

 

金属を身体から排出するには、コリアンダー(中国パセリ)が良いそうだ。

 

「甘い物好きな人は控えめに・・。そういう人にはドクダミ茶も良いし、肝臓の機能を高めるには、ニンニクもしっかり摂ってね。」と丁寧なご指導。

 

そして、「基本は食生活です。」と念を押された。

 

①日本の食文化を大切に・・穀類、たっぷりの野菜(特にアブラナ科の野菜)、海草を摂る。

 

②動物性タンパク質の摂りすぎに注意‥特に自分のアレルゲンは避ける。

 

③油、砂糖は控えめに。

 

④うす味で、素材の味を生かす

 

⑤良い素材を‥できるだけ添加物や農薬を使わないもので、旬の物を使う

 

⑥加工食品は避けて、できるだけ手作りで

 

この基本を守った食事をしていれば、たしかに身体も治っていくことだろう。



鈴木診療所も非常に患者さんが多く、午前の診察が終わったのは2時過ぎ。

 

先生は、基本の食生活をきっちり実践されていらっしゃるのだろう。

 

こんなに仕事で忙しい毎日を長年続けられていらしても、
24年という歳月の隔たりが嘘のように、若々しく健康的なお顔で、
それが何よりの証拠に思えた。

 

私の子供たちを含めて、どれだけたくさんの子供たちがこの鈴木先生に救われたことだろう。

 

あの悲惨な状態の子供たちも、きっとみんな良くなって、
今は、ウチの子のようにむしろ健康な若者となってがんばっているかもしれない。
そう思うと嬉しいし、そうあってほしいと思う。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
京都には、たくさんの患者会もある。

 

鮎の会、にんじん畑、ピノキオの会、アトピっ子の会・・・etc

 

鈴木先生との関わりで、アレルギーの子供を持ったお母さん方が二人、三人と集まってできた会だ。
自分の子供たちだけでなく、同じアレルギーの子供たちにも手を差しのべたいと頑張ってくれているお母さんパワーだ。

 

今ではアレルギーだけでなく、食や暮らしの問題にも目を向けて、学習会や活動を続けている。

 

先生のアレルギーへの取り組みが、お母さんたちに引き継がれ、京都の地で、また別の小さな花をたくさん咲かせているのだ・・・。

 

お世話になった先生と再会できたのは、光栄であり喜びであったが、それ以上に、24年の歳月の中で、このような先生の後継者となるような会がたくさん生まれ、育ち、多くのアレルギーの患者さんや子供たちを陰で支えているということへの感動が大きかった。

 

先生の丁寧なご指導が実を結び、食生活の改善などが、会を通してじわじわと広がっている。

 

これらの会は、これからの子供たちの健康を支え、食の大切さを伝え、その歪みを糺していく力になってくれるだろう。
会の発展に期待したい・・。

 

「鮎の会」の彼女たちは「アトピーの診察室」という本を鈴木先生とご一緒に出版された。

 

アレルギーの除去食の作り方などをやさしく紹介している。


その本の後書きには

 

「アレルギーの子供を持って、よかったね」という言葉が載っていた。

 

なぜなら、一家で食事療法に取り組むうちに、    
        家族全員が健康になってしまったから・・。

 

健康であるためにはどんな食事がよいのかを、     
       身をもって知ることができたのだ。

 

   我が家もそうだった。

 

これはアレルギーだけではなく、他の病気でもいえることだろう。

 

病気になったら、まず食生活を見直すこと。

 

「健康の基本は食生活」

 

  食の大切さをしみじみと実感した日であった。


(長文を読んでいただきありがとうございました。)